第3話

ラインの通知音で目が覚めた。寝てたことに起きて初めて気付く。

1階から音は聞こえない。叔父さんたちはまだ寝てるのかな。

指を鳴らす。僕の手元にスマホが飛んでくる。もちろん妄想だ。

ちゃんと手で取る。

・・・最近妄想がしょぼくなってきているような気がする。

僕にとってそれは常人より喜ばしいことなのだけれども。

窓から差し込む光で見えずらいスマホの明るさを四苦八苦して調節。

11時。少しおなかがすいてきた。

なんたって17歳。食べ盛り、伸び盛りである。

170まであと少し。頑張ってほしいものである。他人事。

こればっかりはしょうがないしね。

なんてとりとめのないことを考える。妄想よりは健康的かな。

欲望を抑えるのも数学の問題を解くのも使う糖の量はそこまで変わらないらしいし思考に優劣をつける意味はないのだけれど。

めちゃくちゃだな、おい。

自分に突っ込みを入れつつスマホを操作する。


辻崎からラインが来ていた。

珍しい。近所のよしみで一応登録してあるだけだし、ほとんど連絡しない。用もないし。


連絡は一言「犬を探すの手伝って!!('◇')ゞ」

何だこの顔文字。

溜息。

僕のいやな妄想が現実になりかけ始めたわけで。

妄想が妄想のままでありますように。

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妄想少年 @syuu

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