第2話

「で、明原くんはなにおされているんですか?」

辻崎は少し寒そうに手をこすった。手袋でもすりゃいいのに。

「見ての通り歩いてんだよ」

「どちらへ?」

「特にあてもなく散歩かな」

ほーと納得したように頷く。

「散歩ですか。私も犬の散歩に行ってまして」

そういえばこいつ犬飼ってたな。でも今コイツ犬つれてない。

妄想で犬の散歩するやつなのか。

「その犬はどこいったんだ?」

「置いてかれちゃいました~」

少し笑いながら辻崎が答えた。

犬に置いてかれる飼い主ねえ。まあコイツぽくていいのかもな。

またあした学校でと言い残して辻崎は去っていく。

でもこの道は一本道だし犬なんてみてない。

まあどうでもいいか。少し変な妄想を振り切った。

僕も帰ろうかな。

来た道を引き返す。

時計は九時四十分を指していた。

特に意味はないけど。


家に帰る。叔父と叔母はまだ寝てるようだ。

昨日もおる夜遅くに帰ってきたみたいだし。

適当にパンを食べて腹を満たす。

相変わらずやることはない。

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