第6話 マミ子の伝言
ラミ子と泥子とブルセラ子を牧場に預けたので現時点でのコンプリートを目指してマミーを探しにいきます
街を出るとグリスラ子たちがわんさか出現する。無視しても良いのだが、まだまだ俺のレベルも低く、多少の経験値の足しにはなる。
全部を相手するわけではないが、進行方向に出現するグリーンスライムやコボルトを倒しながらマミ子の出現ポイントへ移動した。
それぞれ倒した後に仲間にしてほしそうにこっちを見て来るが、相手にはしない。即経験値玉だ。今の所金に困っているわけではない。
マミーとコボルトのパーティに即刻出くわす。これでノルマ達成だな。
相手が雑魚すぎる時の戦いにおいてターン制バトルというのは面倒なものだ。
普通に体が動くのであれば一気に一匹を切り捨てて返す刀でもう一匹を倒せば、一瞬で片が付くのだが、相手が複数の場合は、いちいち相手の行動順を待たなければならない。
といっても、マミーやコボルトが相手だとこちらがダメージを受ける可能性もかなり下がっている。
マミーを一撃で倒し、コボルトの攻撃を受け流し、コボルトを倒して戦闘を終了させた。
『マミーが仲間になりそうにこちらを見ている』
『コボルトが仲間になりそうにこちらを見ている』
そうそう。マミーを捉えるのが今回の目的。マミーを仲間にする。
コボルトは経験値玉だ。
「うううぅ……」
相変わらずマミーとの意思疎通はできそうにない。
が、マッドゴーレムの泥子を引き連れて冒険していた経験から、なんとなく安心感はある。
頭は悪そうな、幼女(っぽく見える18歳以上)だが、狂っているわけではないので襲い掛かってくることもない。基本的には従順だ。
「マミ子……、あれ? マミ子2なのか?」
名前を確認するとマミ子ではなしにマミ子2となっていた。二匹目?
牧場に預けない限り、名前はリセットされるはずなんだが……。
とにかく一旦牧場に引き返す。
「ひょひょひょひょひょ。
さっき来たばかりじゃなかったかい?
なんのようだい?」
相変わらずじじいかばばあかわからない管理人が出迎えてくれる。
「さっきもいったろう? こいつを預かってくれ。
マミーだ」
「おやおや、そういえばそんなことも言ってたかねえ」
「マミ子2なんだが、マミーってまさかもう牧場に居たりしないよな?」
「ん? マミーなら一匹預かっておるよ」
と管理人は台帳的ななにかをパラパラとめくる。
「確かに、ここに記載があるねえ。マミ子」
それを聞いてマミ子2の顔色が変わる。
正確には顔は包帯まみれで片目しか露出していないのでその片目の輝きが変わった程度であったが。
「どうした? マミ子2?」
尋ねてみるも、返ってくるのは唸り声だけ。
「ううううぅぅぅうううぅう」
身振りも手振りもあったもんじゃない。
よくわからないがマミ子という言葉に反応しているのは確かそうだった。
「おい、マミ子を連れてきてくれないか?」
「お安い御用だよ。ちょっとお待ちよ」
「マミ子と知り合いなのか?」
マミ子2に尋ねるも、首を縦にも横にも振らない。
ただ、唸っているだけだ。
ほどなく、管理人がマミ子を連れて戻ってくる。
「ほんとだな。マミーは既に牧場に預けてあったのか。
すっかり忘れてた」
「まだまだ管理できるモンスターの上限には程遠いからのう。
今いるのはコボルト、マミー、ブルースライム、ラミア、それにマッドゴーレムの5体だよ」
管理人と話をする俺を尻目にマミー同士(マミ子とマミ子2)がなにやら唸りながら抱き合っている。
「どういうことだ?」
管理人に尋ねると、
「うん? 生き別れの姉妹のようですな」
「お前、マミーの話がわかるのか?」
「いや、なんとなくそんな気がしたってだけのことですが」
確かに言われてみれば、涙を流しながら抱き合う二人は感動の再会を果たした何者かに見えなくもない。
「で、新しいマミーのほうもこちらで預かるということで?」
と管理人が尋ねてくる。
「いや、経験値玉にする。今は牧場に余裕があってもそのうちモンスターも増えてくるから置いておく余裕はなくなりそうだしな。
ちょうど次のエリアへ向かうからモンスターの種類も増えることだし。
まあ、どういう間柄かわからんが、最後に再会できてよかっただろう」
マミ子はそのまま牧場に預け、マミ子2を経験値玉に変えて――それを見たマミ子は悲しそうな顔をしていたような気もしないでもないがよくわからない――、俺はグリスラ子達の待つ街へと戻ることにした。
既に牧場に預けてあるマミーを探すという無駄な時間を過ごしたおかげで今からすぐに転移で移動しても、しばらくすれば捜索隊が帰ってくる頃合いだろう。
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