第6話 Joker(木戸涼)

「大丈夫。何も無いよ。」そう言ってあの頃の僕は強がっていた。気がつけば、僕の中の化物は大丈夫という言葉で自分の本心を食べ尽くしてしまっていた。

「本当に大丈夫なの?」闇を見せることが弱いことだと思っていた。そう言ってくる彼女に苛立ちを感じていた。僕は大丈夫だと言っているじゃないかと。

「勿論だよ。僕が無理するはずはないじゃないか。」彼はそう言うけど、私は彼が何かを隠しているのじゃないかと思うの。浮気をする彼じゃないことはわかる。むしろ、逆で自尊心が低い彼は無理してる様に見える。

「私はあなたの何?私はあなたの一部になりたいの。」あなたはそう言って泣き出した。僕はどうしようもなかった。どうすればいいのか困ってしまった。

「最愛の彼女だよ。」なら何で!打ち明けてくれないの?彼氏の悩みを解決出来ないなんて彼女として失格だよ。ねぇ、教えてよ。

「何か抱えているんでしょ?精神的にも支えてあげるのが彼女の仕事だと思う。教えて?」鈍感な僕はそこまで言われなければ、悩みを打ち明ける事は無かったと思う。僕はもう彼女の前では嘘つき《Joker》はもう辞めることにした。

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Ayame with Musician 恋住花乃 @Unusually_novel

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