虹色のキャンディドロップス

木村(仮)

第一章 氷の星のあたたかなひとびと

プロローグ

「つまりは不幸な話だよ」


 とテグリは言う。


 赤茶色の髪をぐしゃぐしゃとかきながら、呆れたように、憐れむように言う。


 そして木槌きづちを振り上げる。


 そう、不幸な話。

 これは不幸な話なのだ。

 でもじゃあ、どうしたらよかったのだろう。


 ぼくには、よくわからない。


 待って――という言葉が出る前に、木槌はを割った。


 薄っぺらい音と共に割れた。

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