戦い
「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
動く!体が動く!間に合え!
「グギ?グギャッ!?」
ゴブリンは俺の大声に振り向いた。どうやら注意を引いたようだ。それに、何故か驚いた表情をしている。
「今のうちにっ」
ゴブリンがそうしたように、大きな足場を飛び跳ね、時には平らな地面を全速力で走る。
「グ..グギギギギ!」
どうやらゴブリンは、俺を標的に変えたようで、俺のほうに体の向きを変えた。真正面から睨み付ける。
するとゴブリンは、右手の鉄骨を肩に担ぎ俺に向かって走り出した。その動きは小さいくせに素早い。
「はっはっ。んぐ、好都合!」
ゴブリンとの距離はグングン近づいていく。その距離、約10メートル。
おそらく相手は、右斜め上から左下へ振り下ろしの攻撃をしてくるだろう。あの体制からの攻撃手段はそれ以外思いつかない....
あと、5メートル...4メートル..3.2.
「ふぐっ!!」
相手と衝突する瞬間、何とか足に急ブレーキをかける。
ヴォオ”ンッ
「グギャ!?」
目の前を、物凄い速さで鉄骨が通り過ぎてゆく。そして、その鉄骨の重さに引っ張られるようにゴブリンは体制を崩した。体制を崩したゴブリンは、前に進む力に抵抗すらできず、前のめりになって飛び込んでくる。
その無防備なゴブリンの腹、鳩尾めがけて渾身のアッパーを絞り出す!!
「ハッ!!」
想像よりも固く、重い!が、十分に速度の乗ったアッパーである。見事鳩尾に食い込んだ。
「グゲエッ」
ゴブリンはひとたまりもなく吹き飛んだ。
「ヒッグ....ヒッッグ....」
仰向けに倒れ、息ができないようだ。だが、顔だけはこちらを向いており、苦しみではなく、憎しみの顔をしていた。闘気は消えることなく、ふらふらと立ち上がろうとしている。
「はぁ。はぁ。んっぐ。」
ゴブリンの近くに落ちている鉄骨を拾い上げる。
「ふぅぅぅぅぅぅぅっ。ふうぅぅぅぅぅ。ふぐヴっ!!!!」
ヤった。ヤッてやった。だがそうするしかなかった。ゴブリンの目は最後まで俺を睨み付けていた。だが、流石に頭を鉄骨で殴られたら生きてはいられないだろう。今は白目をむいている。
「はあ。はあ。栞さん....怪我はない?」
「う、うん。歩君こそ怪我はない?」
「大丈夫。どこも怪我してない。もう、終わったから安心して。」
「ほんと?良かった。」
終わった....もう、大丈夫だ............................................だが、その時信じられないことが起こった。
⦅テレッテレ~⦆
「!?なんだこれっ!体が!体が光った!それに、なんか音楽が聞こえたような....」
Gate-絶望からの再起- @clome
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