出会い
なんだろう..身体が重いな。それに、遠くから声が聞こえる....
「あの、大丈夫ですか?」
「・・・・・・」
「あのっ大丈夫ですかっ。」
あぁ、だんだん声が近づいてくる。
「ねぇ、起きてよ....私を助けてあなたが死んでしまったら意味がないじゃないっ。ねぇっ起きてっ。起きてってばっ!」
痛い。顔が痛い。なんか頬を叩かれてるな。ちょ、本気で痛いって!なんだよっ。誰だよっ。
「痛い!」
「えっ」
あぁ、ほっぺたがジンジンする。それに、瞼がおもい..
「ぅおっ!誰っ!?」
「えっ?」
「・・・・・・だれ?・・・・」
「あの、覚えてませんか?私のこと。」
なんだこの状況。目を覚ましたら目元を赤く腫らした女の子が居た....
「まさかの朝チュンが俺の身に起きるとは..いや、朝かはわからんけども。」
もしかして俺はこの子にヤっちゃってしまった的な?記憶が全くない。やべえ、俺やべぇ。何がやべぇかというと女の子の目元が赤く、泣いた後から伺える。にしても、めっちゃこの子可愛い。黒髪のミディアムショート、目は黒目。典型的な日本人特有の白い肌。顔は丸に近い逆卵型で目がクリっとしてて保護欲が刺激される。
いや、そんなことはどうでもいいんだ。ここは正直に答えよう。
「分かりません。ごめんなさい。」
「私はあなたに助けられました。ほんとに覚えてませんか?」
「俺が、助けた?」
帰ってきた答えは俺の予想とは全く違うものだった。
はて、全く身に覚えがないんだが。
「はい、外で何かがおきて、人が逃げていくのが分かりました。その時、動けずにいた私をあなたに助けて頂きました。この恩は決して忘れません。本当にありがとうございます。」
そう言って彼女は俺の両手を握った。
「はぁ....俺は全く覚えてないんだけどなあ。ほんとに俺でした?」
「はい、あなたで間違いありません。私はずっとあなたに守られていました。」
「ずっと?」
「ずっとです。激しく揺れる中、あなたはわたしを離さず、抱きしめていてくれました。お陰で私に怪我はありませんでした....でも..あなたが、揺れが収まると同時に意識を失い....何度呼びかけても応えてくれないし、私にはどうしていいのか分からないし、ほんとに、生きててくれてほっとしました。」
なんだろう、胸が温かくなる。こんな可愛い女の子に真正面から気持ちを伝えられると嬉しくもあり、恥ずかしい。
「そっ、そうなのか。今の説明で大体わかったよ。多分俺は頭でも打って軽く記憶が無くなってるんだろうな。」
「そうなのかもしれません。私のせいで....ごめんなさい。」
「いいっていいって。俺が好きでやった事だろうし、今も俺に後悔は無いよ。」
「そう言って貰えて、ありがたいです。」
「うん、気にしなくていいよ。それに、可愛い子から謝られ続けられると俺のほうがダメージ受けるしね。」
「可愛い、ですか?」
「えっ?うん」
そう言うと彼女は、顔を俯かせて俺の手を一瞬だけ強く握った。
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