scene4:僕のHPはゴリゴリ削られます
目の前にはあからさまに異質な宝箱が鎮座していた。ここまでで何個も宝箱は目にしてきたがそのどれもが一般的な木製で金属で補強された宝箱だったのに対して、現在僕たちの目の前にある宝箱は全体が金属製。そして何故かよくわからないが紫色の謎オーラを放っている。
怪しい。この上なく怪しい。お宝にも眼がないとは言えどもこれは流石に僕でも開くのを躊躇う怪しさだ。
「先手必殺!!
僕の様子や宝箱の怪しさなど、そんな事お構いなしにホリンさんは宝箱を破壊しようと何の躊躇いもなく
流石は
「もるすぁ!!!???」
反射された魔力は見事に僕に直撃。勢い僕は吹き飛んだ。
「ちいっ!!
吹き飛んだ僕の事など気付いてもいないのか、ホリンさんは再度、魔槍葬宴の構えに入る。うん、一撃で宝箱が破壊出来なかったからか多分、躍起になってる気がする…………いや、なってる。
そんな事思ってると二発目をホリンさんは蹴り放った。
同じく二発目も宝箱は簡単に反射して…………
「おっぷす!!??」
初回と同じく僕に反射された魔力が直撃する。
間髪を入れず放たれた三発目もやはり反射。そしてやはり僕の方目掛け一直線に飛んでくる。
「三発目も受けてたまるか!!」
僕はその場から転がり緊急回避を図る。直線的軌道ならば少しその場から動けば…………
「めるせん!!!???」
…………なんて考えは甘かった。既に四発目を撃ち込んでいたらしくそれにやはり直撃してしまう。
…………ここ暫く大人しくしてたのにこの仕打ちは一体何なんだろうか?ホリンさんに嫌われちゃってるのはまあしょうがないとしてもこの宝箱に嫌われた覚えは一切な………
「へめるたぁ!!!!????」
後頭部を魔力的衝撃が襲いかかってきた。多分、三発目が何かに跳弾した可能性が無きにしも非ず。もしかしたら同じ様な宝箱がもう一個くらい存在しちゃってるんじゃないかと考えてしまう。
うん、流石にそろそろホリンさんを止めないとダンジョンから脱出する前…………と言うかホリンさんの好感度を回復させる前に死んでしまう。回復なんてしないかもしれないけど。
すでにボロボロで立ち上がる事すら困難に陥っているが、僕は気力を振り絞り立ち上がる。
「で!!!???」
魔力的衝撃が
「ぱ!!??」
連続して
「ち!!!???」
僕を襲う。
「か!!??」
折角立ち上がったのにまたしても吹き飛ぶ僕。
意識も朦朧としてきた。お花畑も見え始めてきた。
綺麗な川の向こうに可愛い女の子もタクサンイル。
「私に本気を出させるとは…………宝箱の分際で………ッッ!!!!」
物騒な言葉がキコエタキガスルケドボクハモウキニシナイコトニシタ。ダッテカワイイオンナノコガタクサンイルカラ。
「ならばパパ直伝のとっておきを見せてやるですよ…………
…………なんて現実逃避している暇なんてない。パパ直伝だかなんだか解らないけどこれは間違いなく完膚なきまでに(僕の)死亡フラグが成立してしまっている。どうすればホリンさんに宝箱を諦めさせる事が出来るか無理、絶対無理。
なので僕のHPはこの後すぐに0になるのでした。ちゃんちゃん。
「来たれ闇穿つ神の槍!!!
…………そして僕の意識はこの日、僅か数時間程度の間に二度目の意識を失う事となった。
朝起きたら酒場兼宿屋がダンジョンになってた件について 雨都沙恵 @mokapan26
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