scene2:凄く可愛いんだけど………
「まったく酷い目に遭ったですよ」
「はい、ゴメンナサイ」
僕は助けてくれた女の子の前で土下座をしている。その理由は吹き飛ばされ床に叩きつけられた。その後に起こった事だ。
女の子は背中から地面に落ち、僕はその女の子の胸にダイブする形で落下した。無論、完全に事故ではある。事故ではあるが僕はボコスカボコられた。鉄球トラップによるダメージよりもこっちの方が何故かダメージが大きい。
まあ女の子だし、怒るのは当然だよね。
「いや、だけど助けてくれてありがとう」
「客を助けるのは
どうやら、さっきの事故に関しては流してくれたようだ。そして、この子がこの酒場兼宿屋(現在はダンジョン化中)で働く可愛い女の子みたいだ。実際に凄く可愛い。
「よし、僕とフォーリンラブしよう」
「何を戯れ言ぬかしやがっているですか」
「子供は中隊が作れるくらいは欲しいな」
「馬鹿を助けた事に凄く後悔したです」
うん、自分でも馬鹿な事言ったと思ってる。
ともあれ、こうやって想定していた状況とは違うが女の子と邂逅出来た訳だ。僕の計画は一歩前進……と言った所か。
「そう言えば
馬鹿男って呼ばれた。ちょっとショックだったりする。名乗らなかった僕自身も悪いかもしれないけど。
「他人に名を尋ねる時は先に自分が名乗るもんだぜ?」
これ、完全に悪役の台詞だ。
「名乗らなければずっと馬鹿男って呼ぶですよ?」
「はい。ルクス=リティオールです。ゴメンナサイ馬鹿男って呼ばないで下さい蹴らないで下さい踏みつけないで下さいお願いします」
僕、圧倒的敗北である。
そして思った。この子、凄く可愛いのに物凄くサディストだ。外見からすれば受けにしか見えないのに。そして僕がものすっごくマゾヒストなのではないかと思ってきた。
「はい。よく出来ましたです馬鹿男さん。私は
また馬鹿男って呼ばれた。泣けてくる。サディストだ。正真正銘のサディストだ。可愛いから許しちゃうけど。
兎にも角にも、このホリンさんはここの店員さんなんだし何でこの店が……
「ダンジョン化する理由なんて知りませんですよ。かれこれ三十年位働いてるですけどマスター自身何も教えてくれませんですし」
完全に心読まれた。そして明らかにおかしい事言った。
どこからどう見てもホリンさんの外見年齢は十四~十五歳程度。それなのに三十年位働いてるとか言ってた。
耳もエルフ種みたく尖ってる訳でもなく、ドワーフ種みたくずんぐりむっくりでもない。竜人種の様な角や鱗みたいな所もない。完全に人間種の特徴しか持ち合わせていないのだ。
「まさかのロリバ……」
つい口を滑らせてしまった。そして辺りに充ちる殺気。
物凄くにこやかな笑顔を浮かべるホリンさん。冷や汗が、脂汗が止まらない。
今、僕は本当の意味で死の恐怖に直面した。
「
物騒そうな言葉を紡ぎ、ホリンさんの前に巨大で紅い魔方陣が出現する。放出されているエネルギーで僕は身動きする事すら出来ない。
「穿て………
この後、何があったかいヨクワカラナイ。
ただ、覚えている事と言えば意識が途切れる前にちょっぴり見えた純白の薄布の事だけだった。
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