第8話 おじんちゃ、嫁が現れ驚愕す(もしくは過去話)

 

 バルが勇者をやめてこのヒノヤグラの地に来て半年の月日が経っていた。

 その間他の武生者に絡まれたりと、勇者の時は出来なかった経験をしたりした他は、概ね平和というか穏やかに過ごしていた。

 

 この地では円環大陸と違い季節シズキというものがあり、スプラスマレウーラフインタルと温暖が季節をおう毎に寒くから暑くなりまた寒くなるという循環を繰り返しているらしい。(ちなみに一年ヒトトセ十三月トミツキで、陽昇りの月、二の月………十二の月、陽沈みの月となる)

 

 らしいというのはバルが未だ半分の季節しか過ごしていないからで、バル自身はよく分かっていなかった。

 今は夏を過ぎ秋の実りの季節になってるらしい。

 たまに行く武の生業寄合所でそのような話をちらほら小耳に挟む事があるからだ。

 そうなると獣も妖獣も寒くなると皆一様に冬籠りをしてしまうという。

 そうなる前に武生者達は、普段より数多く討伐を行うとのこと。


 とは言えバルとしては、そのように慌わてて冬籠りとやらの準備もする必要もなく、食料などはすでに干し肉や日持ちのするものへ加工しているので問題はない。

 なので近頃は近隣の山々を巡り薬草や果実などの収穫をするのがもっぱらであった。

 

 それ以外は家々の片付けや整理などをして過ごすのが常である。

 時折縁側に腰を掛け、茶を啜り香煙をくゆらせる。

 バルはそんな生活にある種、満足をおぼえていた。

 

 それは勇者であった時には得られぬ安息の日々だった。

 はへーと身体の力を抜き脱力したバルは、ふと何かが足りないなと思い至る。

 そう、いつもうるさいくらいにバルの側に侍る精霊獣の3人の姿をしばらく見ていないことに。

 

 そういや円環大陸から遥かに離れたこの様な地にまでついて来てくれた彼等に何の礼もしてないなぁと。

 或いはバルの今の姿を見て、呆れ果て仲間の元へと戻ってしまったのではあるまいか。

 それとも自分の様な者より遥に己等の“芯”に通ずるものに出会い従うようになったか。

 この数日のことを振り返り、自分もまだまだ至らぬ人間であるなぁと独りごちる。

 

 無理もないことではあるのだ。

 そもそも力があるといって己が配下とし、その人間を矢面に立たせ己はのうのうと享楽に耽る行為を当然と受け入れる人間ばかりだったのだから。

 

 そんな人間ばかりを見て生きてきた我が身にも、やはりそんな人間の匂いや姿形が彼等には見えていたやも知れない。

 まぁ、それでもいいやなぁとバルは思う。自分は来るものは拒まず、去るものは追わずだ。

 

 自由などと口にしても必ず不自由というものが纏わりついて来るというものだ。

 それは人であったり、自然の法則であったりと己の人生とはままならぬなぁ等と考えこんでしまう。

 そんな事を考えてしまうのも、今が緩やかに過ぎているお陰であろう。

 

 この縁側に腰を掛けお茶と香煙を嗜む度にバルは思う。

 “平和とはいーもんだなぁ”と。 

 空は青く雲は遠く、空気は澄み渡り色鮮やかに景色を彩る。 

 

 おじんちゃ、おばんちゃ。俺は俺としてこんなに心穏やかに生きている。いや、世界に生きることを許されている。

 

 血と煙と冥き想いと疑心と暗鬼の中で生きてきたバルにとって、この地はまさに理想郷ヘルへーヴであった。

 今日からは少しばかり物足りなくなるかも知れないが、まぁそれでもきっとバルはバルとして生きていこうと心の中で思う。

 

 1人になった事でもあり、ふと何故か3人との出会いを思い起こす。


 

 

 

 

 悪逆神の復活で、共にバラバラな上に足を引っ張り合っていた円環大陸の国々がモザイク模様ではあっても1つにまとまり始めた頃。

 精霊王と名乗る存在から託宣を告げられた神官達は、各国の王へとその言葉を伝えそれに基づき各国から勇者が選ばれその試練に挑むこととなった。

 

 試練の1つは大森林に住まう猿の精霊獣を従わせること。

 

 イダカクアン帝国の一員としてバルはこの試練に望んだのであった。他の勇者と認められた者と共に。

 大森林―――グショーン王国、円環大陸の東に位置する場所にある精霊獣が住まうという森に各国の勇者に選ばれた者達が先を争うようにこの中へと入って行った。

 

 バル自身は勇者としてではなく、勇者の従者の1人としてこの戦列に加わっていたので、特に使命感とか義務感に囚われることもなく大森林の中を進んでいた。

 イダカクアン帝国で選ばれた勇者達は目に入る獣を屠り、弑逆しながら前へと進む。

 猿の精霊獣を従えるために。

 

 この森の中には魔獣はおらず、獣ばかりが現れるばかりであった。ただ獣というには何ともあやふやな存在だ。或いはこれが精霊獣なのかも知れないとも思う。

 この時バルは違和感を覚える。なぜ彼らは精霊獣を従えるのにその存在らしきモノを倒しているのかと。

 そう、彼等と精霊王との認識はあまりにも乖離していたのだ。

 従える事―――即ち力を示し、その力に服従させること。それこそが人、いや勇者に選ばれた者達の共通の認識だったのだ。

 

 あまりにもあんまりな彼等の行動についていけなかったバルは、わざと彼等からはぐれるように1人道を外れ行った。

 この頃になって、むやみに力を使うのは危険だと悟ったバルは極力能力ちからを使わないように過ごしていたので、勇者たちの誰もがバルの存在に気にも留めないと分かっていたので、逃げるように森の中をあてどなく歩き進む。

 

 ただ道に迷ったという訳ではなく、目に見える理の流れのままに歩いていただけだったバルの目に、1体の小猿《リィルエイペゥ」目に入って来た。

 その小猿の茶色体毛に覆われた身体は刃物や鈍器で傷つけられてボロボロとなっていた。

 

 その小猿の痛々しい姿を見てバルは立ち尽くす。

 やはり人は神―――悪逆神にめっせられる存在なのではないか。もう自分達に世界で生きる資格は失われてるのではないか………と

 

 あまりにも幼く拙い考えであったが、その意識は目の前の小猿の方へと移っていく。

 

「ゥ……キィ………」


 その微かな声にバルは生きていると知って、初めて何者を傷つける為でなく能力ちからを使う事となった。

 傷つき倒れ項垂れる小猿に手をかざし、力を集中させる。

 小猿の下に光る魔法陣が現れゆるりゆるりと回転を始める。

 火属性から木を経由して水へと力を変質させていく。

 光が激しく強くなり眩しさを伴うと、パリンと砕け光の粒が散り飛びまた砕け小さな光の粉となり消えて行った。

 

 光が消えた後には、すっかりと身体の癒えた小猿の姿があった。

 その時バルの中に在った縛鎖が外れ覚醒をひとつ促した。

 そしてバルの目の前に緑色の透けた板の様なものが現れる。

 

 見たことのない文字の羅列が流れ、やがてバルの知る文字へと変化していく。

 そこにはバルの能力を数値化したものが記されていた。

 そしてバルが使える能力ちからとその意味も。


 それはバルが勇者として歩むその1歩だった。

 

 バルがその板を愕然としながら見ていると、小猿が意識を取り戻し立ち上がり、こちらを見つめる。

 逃げることもなく、身動ぎもせずにただバルを見つめている。

 

「ウキィ………」

 

 バルは不思議でならなかった。もともと大森林―――すなわち不可侵領域の生物は総じて警戒心が強く、すぐさま逃走するというのが常なのだ。

 だた今回はなぜか派遣された勇者の前に自ら現れ、その姿を晒し屠られていたのだ。

 何か意味があるのだろうかと考えながら、何気なく逃げずにこちらを見つめる小猿へ手を差し伸べる。

 小猿リィルエイペゥがバルに近づきその手を取ると、瞬間小猿の体が光り輝きその光が収まると茶色だったその体毛は黄色混じりの白銀のそれへと変化していた。

 

 そして再びバルの目の前に板が現れる。

 そこには「精霊獣との契約が成されました。名前を付けて下さい」と書かれてあった。 

 どうやらこの小猿――――精霊獣らしいものの名前を付けられるようだ。

 

 そこでバルは目を剝く。この小猿が精霊獣だと?

 その事に驚きつつも、半ば呆れて思わず吹き出してしまう。

 

「くっ、ふっっ、はっはっははははっっ」


 とんだお笑い種だった。

 従わせると聞いて力を以って、それを示す為の相手をひたすら勇者達やつらは屠っていたのだ。

 これが笑わずにおれようか。本当に呆れ果て笑うよりほかない。

 バルが突然笑い出したので、小猿はバルを見て不思議そうに首を傾げている。

 

「………お前の名はサルカ。おばんちゃ―――俺の育ての親が聞かせてくれたお伽話の森に棲む偉大な賢人の名前だ。よろしくな」

 

 本当はサァルゥーカだが、同じ名というのも味気ないだろう。

 

「ウキィーッ!」

 

 小猿―――サルカがひと鳴きすると、互いの身体が淡く光それぞれの意識が1本の線で繋がれる感覚を与えてきた。

 そしてまた板が現れ、そこには「サルカとの意識共有ジィギスリネが繋がりました」と書かれていた。


 意識共有とは何だとバルが思った瞬間に、小猿―――サルカからの痛い程の好意がバルへと伝わってきた。

 言葉にすれば、好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き―――――っっ!!だった。

 普段そのような感情が向けられる事が無かったバルは、思わず戸惑ってしまう。

 

「うおっっ!?えっ?ええっっ!?」

 

 バルが驚くとサルカはあれ?といった感じで首を傾げる。

 

「ウキィ?」

 

 感情の奔流が収まったことでその相手がサルカだと気付いたバルは、申し訳なく思いつつサルカを撫でていく。

 

「ウキュウ………」

 

 小っちゃなサルカが甘えるように身体を擦りつけひと声無く。

 

 “事は成された”

 

 何処からか厳かであるが、落ち着いた男性の声が森にいる全員に聞こえ理由わけも分からず託宣が成しえた事を悟り、勇者達は大森林を後にする。

  誰もバルの肩に乗るサルカの存在に気付かぬまま、そして次の新たな託宣が下される。

 

 

 


 それは南にあるワドショリーカ共華国にある大平原にいるワウゥフゥルの精霊獣を従わせよと。

 

 事が己等により成ったと勘違いした勇者と呼ばれた者達は、大森林と同様に虐殺を繰り返す。

 この時よりバルは彼等と別れ独自に行動を始めていた。

 サルカの協力の下に獣達(特にワウゥフゥル)を説き伏せ避難させようとした。

 

 しかし獣達は何らかの誓約か盟約を受けている様で、自ら人の前に現れ為す術なく彼等に屠られていった。

 それでもバルは諦めずに姿を隠しながら、それを続ける過程で1体の小犬リィルワウゥフゥルと出会う。

 

 始め出会った時はバルを無視し、仲間の獣達をなんとか避難させようと行動していた。が、いかんせん身体が小さい故にその体中を傷つけ黒毛の体躯は血塗れとなり倒れ伏してしまう。

 

「ガゥ、………」

 

 夜になり勇者達が立ち去った大平原には獣形が瀕死の体で横たわる姿がアチラコチラに広がっていた。

 屠るのに飽いた勇者達は、彼等を殺さずに甚振るだけ甚振りその苦しむ姿を見て楽しんでいたのだ。

 それらを見ていたバルは拳を強く握り締め、ギリギリと唇を噛みしめる。

 

「ウキュ……」

 

 サルカが慰めるように頬擦りをしてくるのに我にかえりバルは右手を前に振り透明な板――ウィンドウを出しサルカの時に覚えた息吹たる勇領ブレスヒール・ブレイヴェヘルフを使って彼等に癒やしを与えようとして寸の間手を止める。

 

 たとえここで癒やしを与えたところで、また彼等は奴等の前へと姿を見せて同じ事を繰り返されることになる。

 癒やすだけでは駄目だ。奴等に友愛も偏愛など無い。あるのは自己愛と自己の欲求だけ。

 空を仰ぎ見て考えをまとめる。どうすればいい、癒やすだけでは駄目なら、どうすればいいのか。

 

 黒毛の小犬がその身体を震わせながら立ち上がり、仲間達の元へ向かおうとする姿が見えた。

 そう友愛でなく偏愛でなく、彼等を畏れさせなくてはならない。

 バルは新たにウィンドウを起ち上げ、魔法を作り始める。

 以前と違いシステムが構築されたため、それ程苦もなく創り上げることが出来た。

 

 そしてまた1つバルの軛が外れる。

 

 まずは息吹たる勇領ブレスヒール・ブレイヴェヘルフを発動させる。

 一時的に大平原全体が光を発し、倒れ伏す獣達1体1体に魔法陣が発生し癒やしが始まる。

 死した獣達を除き全ての傷ついた獣達が癒やされ回復する。もちろん眼前にいる黒の小犬も。

 そして次にバルは新たに生み出した力を発動させる。

 

 威光あまねく勇領グローリーフィアス・ブレイヴェへルフ

 

 それはバルを中心に蒼き光の波紋が広がるように大平原を覆い広がっていく。

 我を畏れよ―――!我を忌避せよ―――!人を怖れよ―――!人を忌避せよ―――!!

 地にあまねく生物ものよ!その畏怖をうちに刻め!!

 

 波が収まると、叫び声とも悲鳴とも言い得ぬ驚声が大平原中に響き、獣達の逃げ走る足音が幾重にも広がりドドドという震動が周囲に響き渡る。

 どうやらこの力は人間にも通じたようで、時折り人の叫声と泣き声と慌てたように逃げる足音が聞こえてきた。

 

 周囲に獣達の姿が消えた大地にバルは片膝をつく。

 初めての魔法ちからで制御が覚束なかったため、全力で力を行使した結果であった。

 

 サルカの力を借りて己の身体を回復させていると、周囲にいなくなったはずの獣が1体、こちらを伺うように佇んでいた。

 それは仲間の獣達を避難させようとしていた黒毛の小犬リィルワウゥフゥルだった。

 恐れることも、畏怖することも忌避することもなく、バルを静かにただ静かに四肢をしっかと地につけ、バルと対峙していた。

 

 片膝をつき、力の入らぬバルの姿をその黒い瞳は捉えていた。

 ようやく身体に力が入り立ち上がろうとするバルの前へ、その小犬は進み出てそのまま頭を下げ降ろす。

 まるで臣下の礼を取るように。

 

 サルカの時と同じ様なこの情景にバルは右手を差し出すと、小犬はさらに近づきバルの手へと前足を触れる。

 そしてサルカの時と同様に光り輝き黒だった体毛は銀色のそれへと変化していく。

 光を弾く毎に蒼く輝いていた。

 

 そして名前を付けると意識共有が繋がる。

 名前に関してはやはりお伽話の中から、大平原の孤高の賢人イェヌマゥールハの名からイヌマルと付ける。

 

「お前の名前はイヌマルだ。黒き髪を棚引かせ放浪の民を理想郷カナラヘートへ導いたとされる人の名前を頂いた。よろしくな」

「ガゥッ!!」

 

 イヌマルはひと鳴きして、意識共有でバルへその思いを伝えてくる。

 

―――己の意を帰しても、他者を思う心に感服する―――と。

 

 何とも大仰な物言いであったが、パルは苦笑しつつその言ごとイヌマルを受け入れる。

 

「ああ、お前の意に恥じぬよう頑張ろうと思う。イヌマルよ」

「ガウッ!!」

 

 “事は成された”

 

 再びあの声が全員に響き聞こえ、何かが終わったことを知る。

 さすがの彼等も自分達が何かを成したとなどとは考えられなかった。

  

 そこへバルがサルカとイヌマルを引き連れてその場に現ると、一部の勇者が本来その獣は自分たちの物であるなどという言い掛かりをつけ始め、2体を寄越せと詰め寄ってきた。

 そんな人間が幾人もバルの前に出て来たのを見て、呆れるどころか失笑してしまった。

 あまつさえイダカクアン帝国の見届け人がそれを手助けする様に彼等に譲るが良いと言い放つ。

 

 バルは口元を歪ませ、それなら自分から奪ってみせるがいいといい声を上げると、待ってましたとばかりに5人の勇者がバルへと襲いかかる。

 威嚇するサルカとイヌマルを抑えて、バルは“威光あまねく勇領グローリーフィアス・ブレイヴェヘルフを発動させる。

 

 その瞬間5人は弾けれる様に後ろに飛ばされ、見えない何かに畏れ恐怖して倒れ伏してしまう。

 その顔は恐怖に彩られ涙と鼻水、涎塗れとなる。そして股間はびしょびしょに濡れ汚れる。

 もちろん周囲にいた人間も同様にバルを見るその顔は、あり得ないものを見るかのように恐怖に染まっていた。

 

 ”威光あまねく勇領グローリーフィアス・ブレイヴェヘルフ”を発動したままイダカクアン帝国の見届け人の侯爵に近づきバルは尋ねる。

 

 何を譲れと?

 

 その威圧と畏怖に我を失いそうになりながらも罵り続ける侯爵を殴ろうとした時、限界を越えた侯爵は泡を噴いて気絶した。

 全員が気絶したのを見て、魔法発動を解除する。

 サルカとイヌマルが気絶した侯爵をゲシゲシ蹴ってるのを診て思わず笑ってしまう。

 そこにあの声がバルだけに聞こえてきた。

 そしてウィンドウが勝手に現れ文字が表示される。

 

 “ヴァルダーの精霊獣を従わせよ”と


 場所はウウジョーロ立憲国家の西にある霊峰ハルヴァノールンに棲まう鳥の精霊獣を従わせること。

 ウウジョーロはこのワドショリーカの北西―――すなわち円環大陸の真西に当たる場所になる。

 普通に向かえば数カ月は掛かることになる。

 

 これまでも数カ月の月日がかかっていたのだが、各国の勇者と庇護国であるイダカクアンの勇者と侯爵を威圧したのでは同行することも無理だろう。

 バルはもはや彼等と行動を共にする気は失せている。かと言って、声からの指示を違えるわけにも行かないと思っている。

 

 いずれにせよ託されたものがある以上、最後まで付き合うのが筋というものだろう。

 さて、行くかと思い西へ足を向けると、サルカとイヌマルがひと声鳴いて引き止める。

 

『ガゥッ!』『ウキィ!』

 

 バルは何事かと2体に尋ねる。

 

「ん、どうした?」

 

 意思共有でウィンドウを出せと言っているのが分かりその通りにすると、知らないうち見慣れない項目が増えていた。

 今まではバル自身の強さの数値しかなかったのだが、サルカとイヌマルの項目が追加されていた。

 

 そしてその下の方には【霊能ヴィテム】と書かれた項目の横に、精霊変化トゥモーフと表示されていた。

 イヌマルがそれを選べと伝えて来たので訳も分からずに従うと、イヌマルが青白く輝きだしてムクリムクリと大きくなっていった。

 

『ガウッフッ!!』

 

 バルの背丈を軽く超える程の大きさになったイヌマルは、乗れとバルにひと鳴きする。

 

「おう!ありがとな」

 

 バルはそう言うと、ヒラリとイヌマルの背に飛び乗りまたがる。そしてそれにサルカも続く。 

 

『ガウゥゥゥ――――ッッ!!』

「うおっ!?おわわっっ!!」

 

 イヌマルが咆えて地面をひと蹴りすると、樹々の高さを超えるほど飛び上がりそのまま宙を駆け移動を始める。

 

『ガウガァ―――――ッッ!!』

『ウキキィイ――――ッッ!!』

「うぉぉおおお―――――っっ!!」

 

 イヌマルとサルカが楽しそうに声を上げるのを聞きながらバルは必死にイヌマルに捕まりその速さに耐えることとなる。

 そして一路、霊峰ハルヴァノールンへと向かう。

 ちなみにこの事は後に神官から各国へ伝えられ、勇者とイダカクアンの侯爵は立場を失くしその“怨”は悪虐神の新たなる糧となった。

 

 円環大陸の西、ウウジューロ立憲国家の外海と大陸を遮る様に聳える霊峰ハルヴァノールンは大森林、大平原と様相が違っていた。

 託宣を受けて神官から話を聞きつけてかの国の重鎮たちは、勇者に任じた者達を霊峰ハルヴァノールンに向かわせ、先の勇者達と同様に鳥の獣を中心に蹂躙しようとしていた。(この時点でバルが勇者となったことは伝わっていない)

 

 だが先の2つと違い獣達は、その勇者達へと攻撃をして来たのである。

 あるものは逆に屠られ、ある者はほうほうの体で霊峰から逃げ帰ることになった。

 勇者達が大敗をきして退散した時に、バル達は霊峰ハルヴァーノルンへ到着する。

 

 そしてその麓に集っていた僧兵兵団と初めてバルは対面することとなる。

 僧とは神殿の神官と違い、神の声を聞きそれを伝え導く存在ではなく、あまねく人の苦境を掬い上げることを教義として活動している集団である。

 そして僧兵兵団とは、その教義を旨に魔獣や盗賊が跋扈する地域の村々を守護する役目を自身に負った者達であった。

 

 サルカとイヌマルを連れてやって来たバルに、彼等は協力を申し出た。

 何故かといえば、彼等にもまた別の存在からの託宣を受けたからだ。

 勇者――すなわち“勇領を越え来たる者”に力を貸し共に悪虐神へと立ち向かって欲しいと。

 この時バルは勇者として他者に認められ、そして共に戦う仲間と邂逅したのだった。

 そしてその様子を1体の鳥の獣がじっと見つめていた。

 

 僧兵兵団から勇者達が襲われた話を聞いて、まずはバルたちだけで霊峰へ登ることにする。

 1度は彼等に引き止められるが、軽く“威光あまねく勇領グローリーフィアス・ブレイヴェヘルフを発動させると、納得したようにその異を納めた。

 

 そうしてバルとサルカとイヌマルは霊峰の中へと足を踏み入れる。

 霊峰と謳われるだけあり人の道はなく、獣道がところどころに見られるのみであった。

 “威光あまねく勇領”を常時発動していた為か、襲ってくる獣は全くおらず、しばらく山を登ると中腹にポッカリと空間の開いた広場のような場所へと辿り着く。 

 

 そこは霊峰の全ての獣達が集まったかのような、大勢の獣達が集まりある1点を見つめていた。

 バルは“威光あまねく勇領”を解除してその1点へと視線を向ける。

 

『キッキィ!?』

『ガゥン!?』

 

 巨大な大木。全長300mはあろうかと思われるその根本。その虚の中に光り輝くものが目に入る。

 サルカとイヌマルが驚いたように声を上げる。

 

「聖獣の卵?」

『ガウ!』

『ウッキ!』

 

 聖獣とは世界の守護を担う一翼であり、世界の危機とやらに誕生し生きとし生くるものを守り慈しむ存在らしい。

 サルカ達の説明に何となく凄い存在なのだとバルは理解した。

 この時期に精霊王からの神託と重なるとは、何ともタイミングの悪いものだとバルは溜め息を吐く。

 

 聖獣の卵とはすべからく護るものと獣達は理解している為、勇者達に襲い掛かることになったのだろう。

 はじめ獣達はこちらを警戒するように伺っていたが、敵対する意思がないと見るや聖獣の卵へと意識を戻していく。

 

 取り敢えず僧兵兵団に伝達魔法で事あらましを伝えると、すぐにこちらに向かうと連絡が来る。

 さて、どうしようかとしばしバルが悩み考えていると、地面がグラグラと揺れ出す。

 揺れが収まると、ズズズッと何かを引きずる音が周囲に響き渡る。

 

 音のする方向へと顔を向けると、そこには黒く靄のような存在“闇”が赤く澱んだひとつ目をこちらに向けて見下ろしていた。

 そう見下ろす―――それは5mを超える木々の上からこちらを見ていたのだ。

 いや、見ていたのは大樹の元で光り輝く聖獣の卵だ。

 

『”GOOOOooooAGAHAaaa――――――――aa!!!”』

 

 “闇”の咆哮で自分たちの、否聖獣の卵への敵対行動と察した獣達が果敢に“闇”へと対峙し襲い掛かっていく。

 

『ウッキッ!キキッキィ!!』

『ガウガウガウッ!!』

 

 サルカとイヌマルが警戒するように吠える。

 その言葉を聞きつけたバルは呆然とそれを見やる。

 

「これが、悪虐神の尖兵………なのか」

 

 それは靄のようであるのに実体を持って、襲い掛かる獣達を叩き落とし踏みつける。

 次第に靄は実体を伴い姿を固めていく。

 それは黒い黒い一つ目巨人サイクロプスの姿へと固着する。

 

 そしてこれが勇者バルと悪虐神の眷属との初めての戦いとなる。

 

『GUaaaAAah―――――――aa‼』

 

 ビリビリとサイクロプスの咆哮が再度響き渡り、獣達は恐慌に陥る。

 それでも恐怖を堪え立ち向かう獣達に、バルは“息吹たる勇領ブレスヒール・ブレヴェへルフを発動させ傷ついた獣達の身体を癒していく。

 

 サルカとイヌマルは精霊変化で巨大化して、一つ目巨人へその爪と牙で立ち向かう。

 バルも彼等のあとに続き攻撃を繰るが、如何せん巨大な存在故に個人での攻撃はあんまり芳しい成果をもたらすことが叶わない。

 

 その中で一際その力を発揮していたのは、鳥の獣達の集団であった。

 △の形に密集し個々のでなく集団の力で、一つ目巨人の周囲を飛び交い顔や腕などを爪とクチバシで傷つけていく。

 

 その成果と比例して、一つ目巨人の攻撃に傷つき倒れる獣達も増えていく。

 それらを癒やしながらもバルも攻撃に加わるが、それも今一歩及ばずにいる。

 何故ならば、一つ目巨人は傷付く先から身体の傷が再生しているからだ。

 

 それこそが人の負の想念を糧にして生まれた悪虐神の眷属の特性なのだが、その姿を見てバルは焦れ始めていた。

 こちらの攻撃力が奴の再生能力に今ひとつ及ばず少しづつ押され気味になるつつある。

 今はまだ均衡を保っているが、時間が経てば経つほど、こちらが不利になることは明白だ。

 

 手立てを言えば、サルカとイヌマルと力を合わせた全力攻撃が浮かびはするが、最善とも言い難くジリジリとしながら戦いを続ける。

 

『『『『寄せし、縛りし光押しめせ!顕現罰封』』』』

『『『『光陣封画!!!!!』』』』

 

 朗々と声が響き流れ空中に幾層に連なり描かれた光の法威陣が一つ目巨人を覆い包中へと捕らえる。

 

『GuaOhoOooo―――――――Oo!!』

 

 一つ目巨人は暴れ身動ぎをするが、ギシリと軋みを立てはするものの、その動きを封じられる。

 

「勇者殿っっ!!」

 

 呆然とその様子を見ていたバルは、遠くから男性に声を掛けられるが、2度ほど同様に声を掛けられ自分の事かと気付き、声のする方へ身体を向けると僧兵兵団の僧達がこちらに向かってくるのが見えた。

 

「ご無事でしたか、勇者殿っ!」

 

 壮年の引き締まった肉体の男性僧兵が、詰め寄り声を掛けてくる。

 バルは勇者ではないので、なんと返答すればいいか少しだけ逡巡した後普通に答えることにした。

 

「ええ、助かりました。それであれは一体何なのでしょう?」

 

 バルは僧兵に一つ目巨人を捕らえている光の事について尋ねる。

 

「うむ!あれは我等僧兵兵団が用いる捕縛陣の1つだ。しかしあれ程の規模のものは我等も初めてでいろいろ問題がある。魔であることは分かるのだが、あれは何なのだ?」

 

 壮年の僧兵―――僧兵士長と名乗った―――は逆に一つ目巨人についてバルに尋ねる。

 

「あれは悪虐神の眷属ということです。どうやら聖獣の力を取り込もうとやって来たようです」

 

 バルが巨木の根本を指し示し、聖獣の卵へと視線を送ると僧兵士長も目を瞠り驚きを表す。

 

「なんとっ!では、聖獣様の誕生まで足止めすればよろしいのですな」

 

 何やら事情を察しているらしい僧兵長はそう言って、これからの戦いの方針を尋ねる。

 

「もう1つはあいつを倒すことですね」

 

 バルの言葉に一瞬静寂が広がり、そして僧兵長の明るい笑い声が辺りに響く。

 

「そうでしたなっ!なら我等が力を尽くしましょう。和を平かなす民達のためにっ!!」

 

 その声が合図になったかのように、獣達が動けぬ1つ目巨人へと襲いかかる。

 同時に僧兵兵団もそれに加わり攻撃を開始する。

 サルカとイヌマルも再度巨きくなり、1つ目巨人に対峙する。


 時は満ちた。

 

 今の俺の役目は皆の力を底上げし、その力を一心に振るうこと。

 バルはウィンドウを出して魔法を構築しはじめる。

 

 火を5つ連ね左右に木と土を2つづつ。水を上下に――――失敗。

 

 火を6つ連ね前後に水と土を3つづつ、木を左右に2つ―――………失敗。

 

 数が合わない?何かが足りない………。

 

「あ、」

 

 聖獣の分が不足というか、過剰すぎて錬成が上手く行かないということか。

 バルはそう独りごちて、改めて魔法の構築をし直す。

 

 火を螺旋状に45連ね階層ごとに土と木を11づつ、上下にみずを12づつ。

 

 組み上げた構築図は、それぞれ属性の光を纏い形作られていく。

 そして一瞬、眩いばかりの光を放つとクルクルと螺旋を描き中へと伸び上がり上空へと達すると、四方八方へ弾け散り獣達は僧兵兵団を、そして聖獣へと光が降り注ぎ、身体を覆い尽くす。 

 

 ”群勢おこる勇領フレイヴァレイヴン・ブレイヴェヘルフ

 

 地から大気から湧き上がる力を与えられて獣達と僧兵兵団が一斉に1つ目巨人へと攻撃を始める。

 1つ目巨人を縛る力は威力を増し、再生能力をうわまる攻撃が動けぬ体へと襲い掛かる。 

 そして力を与えられ孵化した聖獣が攻撃に加わる。光りに包まれたその姿は鳥のようでも獣のようにも人々と獣の目に映り、その美しさに目を瞠る。 


『Guohhhhhh!GUAHHHHHHHHH――――――hh!!!』


 1つ目巨人が叫声を上げ苦しみ出した。

 その時バルは不可思議な感覚に身体を奪われていた。

 

 いや、精神だけが壁1つ隔てた場所へ送り込まれたようなそんな感覚。

 軛が外れ、縛鎖が弾け、封印が剥がれ落ちる。


――――ようこそ我等が領域へ――――

 

 愛しげな優しさを纏う声がバルの胸に響く。

 それはバルの唯一無二の勇者としての覚醒を促した、何とも不思議な感覚だった。

 知らなかったものが知ってることになり、知っている事もさらに深く知識が蓄積されていく。

 世界の成り立ち、人の業の深さそして遍く慈愛の広がり。

 悪虐神の生まれた要因。そのあまりの情報量に目を回し頭を抱えてしまうほど。

 

――――あとはあなたに託しましょう―――

 

 そう声が頭に響くとバルは元の場所に立っていた。

 いまだ1つ目巨人サイクロプスは力を失わず、封を破ろうと身動ぎを繰り返す。 

 

『ケルルルゥ―――――ッ!』

 

 1体の鳥の獣が先陣に立ち、他の鳥の獣達を率いて編隊を組んで攻撃しているのが見えた。

 その戦いの最中、先頭の1体が隊列を離れバルの前へと降りてきて平伏するように緩くその翼を広げ頭を垂れる。

 まさかと思いつつ手を差し出すと、その鳥の獣は恭しくバルの手に嘴を置く。

 

 途端に鳥の獣が光を放ち紅の羽毛が銀の混じった銀朱のそれへと変化する。

 そして名を付ける。ファルカと。

 押し寄せる敵の軍勢を数人の供を率いて戦った軍神“ファウルィカの名前を。

 

 “我等にすらも力を与えるあなたの意志に敬意を”

 

 そう告げると再び戦列へ加わり戦いへと挑んでいった。

 

『Gohooooowoh――――hooo!!GUAHAaaaaAAhaha!!』

 

 一つ目巨人が叫ぶ。

 それは勢いを増し、流れ落ちる瀑布のごとく、幾層にも連なり攻撃を繰り返していく。

 その勢いに徐々に力を削がれる一つ目巨人の中にバルは元凶と思しきものを見つける。

 

 それは無垢であった赤子を憑代に様々な悪意と詰め込んだ歪なる集合体カリカチュア

 人が下した行為の一部の果てに生まれたモノ。その思念―――いや、怨念の塊は口を三日月の形に裂け開き、醜悪な笑みを浮かべた。

 

『KiiIyyrrrrriHyaaAhhhhh――――――aa!!』

 

 一つ目巨人の中のモノが足掻く様に叫ぶと、封陣が弾け飛び、攻撃をしていた者達がその衝撃に吹き飛ばされる。

 

『ケルルッ!』

「「「うわぁぁぁっ!!」」」

『ガウッ!』

『キイィッ!』

 

 バランスを崩し宙を舞う獣達、吹き飛び転がり回る僧兵兵団の僧兵達が堪らず声を上げる。

 

「1番隊は防御陣を敷けっ!0番隊は再度う封画陣を奴にかけるっ!」

「はっ!!」「おおぅっっ!!」

 

 僧兵長が怒号を上げ檄を飛ばし、僧兵達がそれに応える。意気軒高と言ったところか。

 ただバルには分かっていた。この一撃で終わらせられることを。

 いつの間にか3体の精霊獣がバルの傍らに佇み、その言葉を待っていた。

 

「皆、行くぞ」

『ガゥッ!』

『ウキッ!』

『ケルゥ』

 

 そして一つ目巨人サイクロプスへ向かって駆け出し、地を蹴り飛び出す。

 人の領域を凌駕した動きで一つ目巨人に迫る。

 3体の精霊獣そして聖獣は、バルにつき従うように側へと侍る。

 

『ガウガアァッッ!』

『ウキャキャア――――ッ!』

『ケルルルル――――ッ!』

『フォオオ―――――ンッ!』

 

 4つの咆哮が唸りを上げて一つ目巨人へ襲いかかり、その圧力に威を受けたたらを踏む。

 バルは抜いた剣に“力”を込めて振りかぶる。

 “力”は形をなして剣を包み。人の背丈の幾数倍に伸び長大な光を形作る。そして振り下ろされた光は一つ目巨人を両断。

 

 その怨念とともども絶ち割り、存在そのものを一瞬にして滅殺抹消してしまう。

 一つ目巨人は声を上げる間もなく、散り滅していった。

 バルが手に持つ剣は砕け、全ての力を使い果たし力なく宙で気絶してしまう。

 落下するバルの身体を3体の精霊獣が優しく受け止め地上へと降ろす。 

 

“事は成された。今ここに『勇者』が来たれり”

 

 大陸中の人々、王や貴族のみならず、平民の全ての人間にそんな声が響き渡り、唯一無二の勇者の誕生を識らされることとなる。

 民草は喜びに沸き、王達は畏れながらも苦虫を潰すこととなる。

 

 聖獣に癒やされ回復したバルは、後にその事を聞き勇者として頭を抱えることとなったのだが、やがて諦め悪虐神を倒すまでバルは勇者として戦い続けることになったのだった。

 

 

 

 

 

 今思えば無茶苦茶したよなぁと、縁側で茶を啜りながらしみじみ思い出し噛み締める。

 そして今の何と平穏なことよ。 

 

「マスター!」

「あるじ様!」

「ぬし様!」

 

 いつの間にやら庭の前に3人の少女が現れ、口々にバルの事をそう呼びならわす。


 年の頃は10台後半。左から順に金茶のショートヘヤーにニパリと笑顔を見せる少女。

 黒銀の腰までのロングヘア―の可愛いというより凛々しいと見える少女。

 もう1人は銀朱のツインテールでふんにゃりとした笑顔をバルに向ける少女。

 3人共が膝丈の白のワンピースを身に纏い、裸足で立っていた。

 

「「「霊精格レヴェルを上げてやっと人へと座替えなることが出来ました!!」」」

 

 二コリを笑顔を向け3人がバルへと言って来るのを聞き、やっと誰なのかを理解した。

 

「おめぇ達は………、サルカとイヌマルとファルカ……なのか!?」 


 気配は3人のものである筈なのに、何故か人の姿をとっている。

 その事にバルが驚き身を瞠っていると、3人がバルへと飛び込んできた。

 

「「「約束通りお嫁にしてくださ――――――いっっ!!」」」

 

 3人に身体を抑えられ、服を脱がされ、唇をふさがれバルは混乱してしまう。そして心の中で叫んでしまう。

 

『なんじゃこりゃ―――――――っっ!!』 

 

 その後、お子様にはとても聞かせられない艶やかな声が山々に響き渡って行った。

 

 

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