エピローグ~凱旋 再び日常へ

「なんでここだってわかったの?」

「私から経験値を手に入れた人はわかるようになってるんだよ?」

便利な能力だ。雨科はあんな使い勝手悪そうな『魔法』だったのに。

「経験値と言えば。これでレベルいくつくらいになったかな、ディア」

「うん、これで間違いなくレベル10になったと思うよー」

「それ前と同じじゃん……」

「あ、11かな」

「上げ幅ちっちゃ!」

 やっぱり適当言ってやがるな。あてにならないけど、まあ雨科も10になるとかならないとか言ってたし、大枠間違いないのかもしれない。

 それにしても、後始末どうしよう。大の男を四人も転がしてしまった。上の人とやらに報告されたら今度こそ消されそうだし、現実的に言ってもなんかの罪に絶対引っかかる。

「大丈夫だよ、ハルナリ。私忘れさせる『魔法』もってるし」

「万能かよ」

 徹頭徹尾ディアのおかげな気もするが――ともあれ一件落着のようだった。

「刀突きつけたとき。かっこよかったよっ勇者様っ」

「…」

「ハルナリ、勝ってうれしそう」

そっちじゃねーけどな。ドキドキしながら、聞こえないようにそうつぶやいた。

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