第6話 兄妹対決?! 『天水の巫女 レイカ』
第6話《アバン》
暗闇の中、かつ、かつ、と低い足音だけが響き渡った。一人のものから、二人、三人、四人と増える。
「来たか」
低い声が、期待していたような声で言う。うっすらと、暗闇を照らす蝋燭の光が、四つの影を作る。
「イーヴァル様」
影の一人が、その部屋の主の名を呼んだ。イーヴァル――世界を破滅へ導く“ディス・パレイド”の首領。そして、そこにいる四人はイーヴァルに選ばれた幹部――ガードル。
「手筈は整いました。如何いたしましょう」
薄暗い光が、四人の姿を映し出す。眼鏡をかけた青年、猫のような獣の耳を頭部に持つ女性、筋肉質の体格の良い男、そして顔の半分以上を黒いバイザーで隠している少年。それぞれを見たイーヴァルは、フードで隠した顔の隙間から見える口元に、笑みを浮かべた。
「答えるまでもないだろう」
「御意」
眼鏡の青年が深々と礼をする。猫耳の女性は「ししし」と声を殺すように笑う。筋肉質の男は腕を組み直し、にやりと目を細める。そして少年は、表情も何も変えず、イーヴァルに背を向け部屋を出た。それに続くように他の三人も部屋を出る。足音が消えた頃、イーヴァルはくく、と笑い声を上げた。
「さあ……始まりの時だ」
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