第11話 ダンジョン探索5
気を取り直し、恒例のご褒美タイムの時間を楽しむことにする。今回は何が手に入るかな、ドキドキするぜ。宝箱を開けると小瓶が入っていた。今回の液体の色は紫色だ。なんて毒々しい色をしているんだ。間違いなく毒だと思う。一応師匠に確認を取ってみるか。
「それはマジックポーションよ。色の濃淡で回復量が決まってくるわ。その色合いからすると、大体一人前の魔法使いの魔力を全回復するくらいね。今の耕太の魔力量だと勿体ないから取っておいたほうがいいわ」
俺の魔力はまだ一人前には程遠いようだ。アドバイス通り保存しておこう。よし第四エリアも攻略したことだし次のエリアに行きますか。
俺たちは第五エリアの階段を下りていく。
次のエリアも洞窟タイプだったが上のエリアよりジメジメした感じがするな。あまり長く居たくはないので探索を急ぐ事にしよう。俺はそう思い索敵をしながら進む。
なんだが能力が上がったのか、魔力感知での索敵の精度が上がってきたようだ。前は前方十五メートルほどの間しかモンスターを感知出来なかったが、直径二十メートルの円形の範囲で感知できるようになった。レーダーのような感じといえばいいのかな。進んでいけばエリアの構造も分かるようになるかもしれない。
俺は褒めてもらいたく師匠に報告する。ホウレンソウは基本だからな。
「頻繁に使用していけば上手くなっていくものよ。いつまでも成長しないようだと教えている意味も無駄になってしまうもの」
褒めてほしかったが甘かったようだ。俺は褒められて成長する派なんだけどな……なんてくだらない事を考えてしまった。
「バカ言ってないで早く探索を進めなさい。時間は有限なのよ」
叱咤され探索を続ける。ダンジョンを進んでいき、順調にモンスターを倒していく。このエリアでは前のエリアのボスだった三匹のゴブリン隊ばかりだった。前回の反省も踏まえ、ゴブリン達を蹴散らしていく。途中、マジックポーション小を手に入れたので魔力を回復することにした。見た目通りなんともいえない味だった。まずいぜ……
そうこうするうちに俺たちは第五エリアのボス部屋に到着した。定型通り部屋を覗くと、いつものゴブリン三匹(剣・弓・杖)に加え、剣と盾を持ったゴブリンが陣取っていた。ゴブリン三人衆と比べて背が高く強そうだ。しかも弓と杖は岩影に隠れているし……
「あれはゴブリンジェネラルよ。ジェネラルに率いられたゴブリンは以前よりも強くなるから気を付けてね。統率の動きで連携してくるから」
ゴブリンジェネラルは指揮官のようだ。ジェネラルを倒せば連携がうまくいかず弱体化するらしいが、あの槍と盾の隙から攻撃を当てるのは難しそうだな……
ひとまず一度退散しよう。俺は気づかれないようにその場を離れた。前回の反省を踏まえ新しい魔法を習得してみよう。この場合どういう魔法がいいかな……うーん、師匠に聞けば簡単だがそれだと俺が成長できないと思う。難しいな……そうだ、杖と弓が隠れている岩を使おう。あの岩を元に魔法で変形させて例えば槍のようにして貫けられないかな。
よしさっそく練習してみよう。練習として地面から生やしてみよう。
俺は地面から土の槍が出てくることをイメージし魔力でそれを形作る。よしイメージが魔力で再現できそうだ。
「ロックランス」
岩で出来たつららのような鋭利な槍が地面から突き出てきた。うまくいったぜ。なんだか自分の才能が怖くなる。おっと、こんな顔をしてたらまた師匠に言われてしまう。師匠を見ると呆れたようにため息を吐かれた……
とにかくこれでゴブリンジェネラル戦も何とかなるだろう。俺は来た道を戻りボス部屋に再度到着する。
まずは、後衛を倒そう、
俺は先ほど習得した魔法を構築する。先ほどよりスムーズに出来そうだ。一応ジェネラルも含めて四匹とも攻撃の対象とする。
「くらえ、ロックランス」
俺が唱えた魔法で、後衛のアーチャーとマジシャンは目の前の岩から生えた槍に対応できず顔面を貫かれてブラブラと空中に浮かぶ結果となる。しかし、ジェネラルには避けられてしまった。ゴブリンは足に当たったのか片足がなく立ち上がろうともがいている。
よし、ほぼ一対一になったぞ。俺は槍を構えてジェネラルと向き合う。
部下をやられて怒っているのか、ジェネラルはウゴウゴ唸っている。鼻息をも荒く、俺を殺るき満々だ。
しかし、盾が邪魔だな。盾でジェネラルの体が隠れているので上手く槍を突き刺せる自信がない。何とか盾をジェネラルから離す方法はないかな。
俺が考えていると隙だと思ったのかゴブリンが攻撃してくる
速いな、だが避けられないスピードではない。俺はゴブリンの攻撃を避ける。
そうだ、これでどうだ。
「ファイヤーボール」
俺はジェネラルが持つ盾を狙い、火球を放つ。
ボシュッと音がし盾が熱せられて赤く色づく、火力が弱かったのか盾を溶かすことは出来なかったが、熱のお陰か一瞬にしてウギャとジェネラルが言いながら盾を離す。
よし、俺はチャンスを逃さず攻撃を繰り出した。
さっくり俺の槍はジェネラルに突き刺さり倒すことができた。
残るゴブリンに止めをさし俺は第五エリアのボス戦に勝利した。
ジェネラルの魔石は今まで手に入れた魔石よりも一回り大きいものだった。これなら大分俺のリュックも容量が増えるだろう。魔石を拾い上げて恒例になったご褒美を貰うことにする。
さて、お楽しみの宝箱チェーック、今回は何が出るかな。宝箱を覗くと小汚い寸胴鍋だった。直径三十センチ、縦四十センチくらいの寸胴が宝箱に入っていた。ふと思ったんだが宝箱も容量アップの魔法でも掛かっているのかな。どう考えても鍋の方が大きいのにな。
俺がガッカリしていると師匠から驚きの言葉を聞く。
「それは錬金鍋よ。手に入れた薬草などの素材をを調合したり、素材と武器や防具を掛け合わせるのに使うものよ」
この汚い鍋もファンタジー道具だったのか。今まで手に入れた、スライムボールがこの鍋を使えば有効なアイテムに生まれ変わるのか。小汚いといってごめんね、寸胴鍋ちゃん。
「じゃあ必ず持って帰らないと行けないな、でもこれリュックに入るかな」
「試してみなさい。もしダメでも魔石で性能上昇させればいいでしょう」
師匠に言われリュックに寸胴鍋を仕舞おうと試みる……ダメだ。容量が一杯なのか入らない。
仕方ないので今まで手に入れた魔石を全てリュックの性能アップに使用する。
魔石を使用した結果無事しまうことができた。すごい、鍋のほうがデカいのにリュックに入った。俺はシゲシゲとリュクを眺めると魔力があることに気づいた。この魔力で収納が多くなるのか。
また一つ勉強したぜ。
(続く)
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