第2話 持っていく装備を吟味しよう
「さて、何を持っていくか」
部屋に備蓄してある物資や道具を前に腕を組んで考える。
まずは食料と水だ。
手記にも書いたように持っていける量は限られている。よく考えて持って行くべきだろう。
まず水に関してだが、これは2L入りのミネラルウォーターのペットボトルを持って行こうと思う。それを2つで、これで4kgだ。少し重いか? 重いなぁ……とりあえず一本にしておいて、500ml入りのものを二本持って行くとしよう。
食い物に関しては乾物とカロリーバーを中心に持って行こうと思う。やはり軽いのが良いし、保存性も抜群だ。ビーフジャーキーや帆立の貝柱の乾物、ドライフルーツにナッツなんかが良いだろう。マヨネーズやラードも良い。
意外に思うかもしれないが、マヨネーズやラードなどの油脂というのは常温でも劣化しにくく、ハイカロリーな上に重量も軽いのでサバイバル食にはもってこいだ。ラードなどは旧ドイツ軍でも糧食として配備されていたくらいである。バターやマーガリンのようにパンに塗って食べることが多かったようだ。
まぁ、ラードやマヨネーズを容器から直接チューチュー吸うのは本当に最終的な手段になるだろうけど。クラッカーやカロリーバーを食べるときに一緒に少量摂取すればより手軽に多くのカロリーを摂取できるだろう。食い過ぎたら下痢しそうだが。
他には飴玉やチョコレートも持って行くとしよう。甘味は大事だ。
食料はこの程度で良いとして、缶切りも二つほど持って行こう。一個は予備だ。
今は缶切りがなくても開缶できる缶詰も多いが、あるのと無いのとでは安心感が違う。
これに小型のコッヘルと灯油式のポータブルストーブを用意する。こいつはなんせ灯油式なので、燃料の調達が容易なのが良い。
生水を飲んで腹を壊すとそれだけで死が見えるので、熱源は重要だ。いつでも安全なペットボトル入りのミネラルウォーターが手に入れば良いんだけどな。
他にはスポーツドリンクの粉とか固形スープ、塩と胡椒くらいは用意しておいても良いか。塩は少し多めに持って行こう。
他には少々の着替えと、清潔な布。ナイフにハサミに裁縫道具はあった方が良いな。鎮痛剤に下痢止め、湿布に包帯もあったほうが良い。奴らに噛まれたらおしまいだろうが、普通の怪我も怖いからな。
スマホの携帯充電器に電池、防水のLEDライト、ライターを二つ、あとよく乾かした牛乳パック。牛乳パックはいいぞ。まな板代わりに使うもよし、切って火口にするもよし。実に使いでがある。軽いしな。工具としては小型ハンマー、ドライバーセット、ペンチ、ワイヤーカッター辺りで良いだろうか。あとは釘とテグスだな。何かと使えるんだよ、釘とテグス。それとガスバーナー。ガスボンベに着けて簡単に色々炙れる。
さて、ここまではある意味で普通のサバイバル用品だがここからはゾンビ対策だ。
まずは手のひらサイズの小さな手鏡。角を覗きこむのに重宝するので予備のものも一つ用意。ゾンビどもはあまり目が良くないので角から手鏡で覗くくらいでは反応しない。角を曲がったらばったり、なんてのが最悪なのでぬかりなく行きたい。
次に爆竹とキッチンタイマー。
ゾンビどもは音に強く反応するので、こういったもので引き付けることが可能だ。ただし、周囲のゾンビを根こそぎ集めることになるので事故率も上がる。乱用は控えたい。
パチンコも用意してある。これでゾンビの頭部を狙って華麗に退治……できるわけもなく、これも使い方は爆竹やキッチンタイマーと一緒だ。パチンコ球を飛ばして俺から離れた場所に物音を立てるのに使うのだ。硬いものや金属、ガラスなどに当てればそこそこの音が出てゾンビを惹きつけられる。キッチンタイマーや爆竹よりも誘引範囲が狭いので、割と重宝する。
え? ゾンビを遠距離から排除する手段? いやいや、そりゃ超強力で引くのも苦労するようなスリングショットならなんとかなるのかもしれないが、俺は筋肉ムキムキマッチョマンではないのでそんなものは使えんよ。
クロスボウも手軽に使えるレベルのものだと人間の頭蓋骨を貫通して一撃で仕留めるのは無理だ。狩猟用の強力なものであれば話は別だろうが、そんなものは無い。そもそも引けるかどうかも怪しい。
無いものの話をしても仕方ない。次に行こう。
はい、斧さんです。小野さんではありません。刃は小さめ、反対側には鋭いスパイク、全体的に黒く、ハンドルはポリプロピレン製で高耐久力。タフな扱いでも問題ない一品です。筋肉モリモリマッチョマンではない俺でもゾンビの頭蓋骨を叩き割れます。木も切れるし木製のドアも破壊できる。なんかその筋では有名な海外のナイフメーカー製の斧らしいです。トレンチなんとかとかいう商品名らしい。
物資漁りをしていたらとある家にやたらマチェットやら刃物やらがありまして、その中から失敬してきました。他にもシースナイフとかもあったのでいただいてきています。
マチェットも色々あったけど、そんなに長くも重くも無いものを一本持って行きます。流石にこっちで頭蓋骨を叩き割るのは無理だけど、延髄に一撃入れればゾンビも無力化できる。
そして俺の愛用する最高の武器がこちら、ただの棒です。正確には、鍬の柄だった丈夫でそこそこ長い棒です。
専門的な訓練も受けていない、技術もない。そんな人間が持って強いのは結局のところ単純な殴打武器ですよ。日本刀とか夢見ちゃいけません。突いてよし、足を払ってよし、おおきく振りかぶって叩きつけてよし、棒先輩が最強です。軽いしね。
「こんなものか」
荷物をバックパックに詰め、実際に背負って室内を歩いてみる。パチンコやマチェット、ナイフも実際に装備する。歩いたりしゃがんだり立ったりして装備が干渉して音が出ないかもチェックする。ゾンビどもは音に結構敏感なので、特に気をつけなきゃいけない。
少々重いが、まぁ大丈夫だろう。もう少しバックパックにも余裕があるから、食料を多めに入れておくか。パックのご飯とか魚とか肉の缶詰にしよう。乾物だけだと食事の満足度という点で不満があるし。
あとはちょっと豪勢に食事をして明日に備えて寝るとするかな。
持っていけない物資はここに放置することになるんだし、少々の浪費は構わない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます