05絡

 「世界とは何で出来ているか、お前は考えたことがあるか。」

 「…」

 「世界とはすなわち、お前自身だ。お前が見たもの。お前が聞いたもの。お前が触れたもの。そして、お前が考えたもの。それが、世界の全てだ。たった1.5リットルにも満たないその小さな脳髄に、世界のすべてが収まっている。」

 「…」

 「そのちっぽけな世界を、お前は命をかけてまで守れるのか。」

 一閃の光。鳴り止まぬ雷鳴。勇者は怒りに任せて魔王へ全力の攻撃魔法を放った。

 「哀れなことだ。」 

 「また一つ、世界が閉じてしまった。」

 その言葉は魔王の世界に溶け、消えていく。

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