第6話 予約投稿は**時00分「丁度」じゃなくてもできるじゃねえか!!!
恐怖の
どうやら、今日は
他にすることもないので、途中のコンビニで弁当を買って寮へ帰る。
何にせよ、明日からは
どんな連中がいるんだろう。
少なくとも今朝見かけたネコミミ娘は
他にも、異能力者とか、魔法少女とか、色々いそうな気がする。
お、これは楽しみになってきたぞ。
なんて独りごちながら部屋の扉を開けて、
目の前に、
一瞬思考が停止し、ようやく朝のことを思い出す。
そうだ、こいつ、壁をぶち抜きやがったんだった。
そして何のためらいも無く、包丁を振り下ろしてくる。
咄嗟に身を引いてなんとか躱すが、
冷や汗が流れる。
まさか、殺される可能性までは考慮してなかった。
というかちょっと待て。
そもそも俺がいつ帰ってくるかなんて、こいつ知らないはずだろ。
まさか、俺が帰ってくるのをずっと待ってたのか……?
と、ドン引きしつつこちらも臨戦態勢に移り――
――不意に目の前から予子の姿がかき消える。
一瞬の沈黙の後。
何も無い空間に予子が出現する。
包丁を振り上げた姿で。
そして何のためらいも無く、包丁を振り下ろしてくる。
今度は最初から距離があったから、躱すまでも無かった。
つまりこれは……
予約投稿!?
だが、時計に目をやると今は14時42分。
予子が能力を使えるのは00分丁度だけのはず……。
と、またも目の前から予子の姿がかき消える。
そしてその奥から、
「あら、おかえりなさい」
制服にエプロン姿の予子が姿を現したのだった。
「……なわけ。だから、あたしも一生懸命試してみたんだけどね」
万年コタツ予定の机に向かい合わせで座りながら、俺と予子は何故か仲良くチャーハンを食べていた。
「で、気づいたのよ! この能力は、正時じゃなくても行使できるって!」
ごくごく普通のチャーハンだ。素人が作ったものだから別にパラパラじゃ無いし、味も普通というか、創味シャンタンDXの味しかしない。
「ちょっと聞いてる!?」
「あー、聞いてる聞いてる。味覇は今は創味シャンタンDXになったんだっけ?」
「全然聞いてないじゃん! これっぽっちも調味料の話はしてない!」
「まあ、味は及第点かな」
「話聞いてない上に手厳しいし……」
こほんと咳払いをひとつして、予子が自慢話を続ける。
「ってか予子は固定なんだ……別にいいけどさー」
予子が自慢話を続ける。
「あと自慢話じゃないし!」
続ける。
「もー!」
以下、要約するとこうだ。
「へ!? あたしのセリフ全カット!? ひどくない!?」
まず、公開する時に
○今すぐ公開
◎時間を指定して公開
の、下側を選択する。
すると、
2016-03-07 12:00
みたいに日時が表示される。
で、その日時の横にある矢印ををクリックすると日にちや時間を選べるのだが……
その一覧には ※※時00分 しか存在していない わけだ。
が、解決方法はその後にあった。
実はこの日時選択、直接時間の箇所をクリックすると、自分で決めた時間を打ち込めるのだ。
これによって、たとえば日付指定が1週間先までしか選べないのも手打ちで任意の日にちを選べるし、時間だって中途半端な時間を選択可能なのだ。
ということらしい。
「で、さっきの攻撃は、その応用。包丁を振り回す攻撃を、1分おきに予約投稿して、あんたがいつ帰ってきても問題ないようにしてたってわけよ」
ふふーんと、どや顔で胸を張る。
いや、自信満々に言ってるけど、ヤンデレっぽいのに変わりはないぞそれ……。
「あー、大丈夫大丈夫。さっきのは物理ダメージをオフにしといたから、単なる脅しだし」
「……まあいいや」
なんにせよ、お互いに実害が無かったのだからよしとしよう。
「ところで2つ、質問なんだが」
「んあ?」
「とりあえず1つめは、その予約投稿の件、俺に教えてよかったのか?」
「へ?」
「いや、だから、前にも言ったけど、《予約投稿》は、全ユーザーが使えるわけだろ?」
「……?」
「だったら、黙っておいた方が、お前だけ出し抜けるというか、俺もお前が教えてくれたおかげで、これから同じ技使えるわけじゃん?」
「あ……」
「いやー、予子は優しいなー。まさかこんなに簡単に手の内を明かしてくれるなんて」
「あーーーーーーーーーー! ちょ、ま、忘れろ! 忘れろ! 忘れろください!!」
こうして部屋の中は、チャーハンの香りと、予子の叫び声で満たされたのだった。
【次回予告】
本当は6話で書く予定だった物語があった。
だが、それより先に優先して伝えなければならない想いがあったのだ。
俺たちは自由だ。何者にも縛られてはいけない。
予定は未定であり、決定では無いのだから――!
次回
第7話 『「レビューは一度書くと、二度目を書くことができない。それがどういう意味か――わかるな?」(仮)』
今度こそこの物語が語られるのか……?
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