第十三話

 大陸暦100年7月21日、朝


「おお…魔力がまた40上がってるよ…」


 昨晩、魔力枯渇を起こして寝た俺は、魔力最大値が大幅に上昇していることを確認した。


「魔力枯渇を起こす度に40上昇するのかな?とはいえ、まだ何とも言えないな…」


 一通り考えたあと、羊皮紙にメモをしてから広間にいった。なんのことは無い。朝飯を食べるためだ。


「ユウタおはよう。」

「お兄ちゃんおはよ〜」


 こんな風景も、慣れたもんだな。取り敢えず、メアに魔力のことを言っておくか。


「メア、寝る直前に魔力枯渇起こして寝たら、魔力がまた40増えていたぞ。」


 そう言うとメアはびっくりした顔をして、徐々に顔を青ざめ始めた。


「なあ、ユウタ?あんまりわかってないんだぞ?この事は。つまり、命の危険がある可能性がある事はわかってるのか?」


 ほう、そこまではわかっていなかったのか。


「っても、実験しろといったのはそっちだろう?」

「いや、勝手にユウタで始めたんだろうが」


 そうだっけ?


「そ、それに、ここ最近でわかったことだが、魔力が少ない時と多い時とでは、疲労感が違うんだ。」

「それはそうだろう。魔力を使うという事は疲れることなんだから。」


 うーん、実践してもらったほうが早いかな。


「俺には魔力回復の魔法があるんだ。手っ取り早いから、適当に魔力を消費してくれ。」

「…………はい?」


 あれ?聞き取れなかったか?見た目にそぐわず年食ってんだな。


「ユウタ、後で覚悟しとけ。それはそうと、魔力回復の魔術?そんなの聞いたこともないぞ?」

「説明めんどいとっとと実践あるのみほら早くしろ。」

「……はあ、わかったよ。」


 そう言うと、メアの周りが少しだけ揺らめく。魔力強化で魔力を消費するのか。


「どれくらい消費すればいい?」

「50くらいだな。」

「わかった。」


 〜5分後〜


「よし、消費できた。」


 50消費に5分か…すごい効率の良さだな。


「じゃあ、回復するぞ。【フェアリーソング】。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


フェアリーソング

消費魔力:30

対象の状態異常を治し、魔力を50回復する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 メアの体が淡い光に包まれる。どこからか綺麗な歌声が聞こえた。気がした。


「おお、疲れが取れていく………」


 光が収まった。リラックスしたメアの顔、ごちそうさまです。


「む…もう終わりか………今度またお願いしてもいいか?」


 この魔法には中毒性があるようだ。


「まあ、時々なら、な。」

「頼んだぞ。」


 趣旨を忘れている気がする。


「で、どうだ?」

「どうとはなんだ?」


 ほらやっぱり。


「疲れ、とれただろう?」

「…………おお、確かに、疲れはとれてるな…」

「つまり、魔力の残りが少ないほど疲れが溜まっている状態で、0になると疲れのピークとなり、身体が眠ってしまう、とこういうわけだ。」


 実際はもっとデータ取らないといけないが、まあ仕方ない。


「確かに、それならばいいかもしれん、な。」


 そうして、この実験方法は認められた。


「明日からも頼むぞ。」

「ああ。」


 朝ご飯は、鶏肉で作った料理だった。

 ………鶏とか居るのかよ!?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「さて、魔力強化だが、流石にそろそろできると思う。どうだ?」

「まだ無理だな…。」


 あ〜、イライラする!


 ブワッ


「バカもの!そんなに出したらまた!」


 おっとあぶねえ、押さえ込まなきゃ。と、無理やりに魔力を身体に押さえ込もうとしたその時、


 スウッ


 俺の周りに魔力が纏わり付いた。しかも、魔力の供給を無くさない限りは消えないようだ。


「あれ?出来たのか?これ。」

「ユウタ、おめでとう。まさか一気に全身で出来るとは思いもしなかったぞ。」


 これで、メアに勝てる可能性が出てきた!


「これで午後の戦闘で魔力強化しても問題なくなったな!」


 ………………少しくらい、夢見させてよ…


「でも、これだと魔力の効率が悪いんじゃ?」

「そうだ。魔力の効率が悪いと、やらないほうが強い可能性もあるからな。ただ、ユウタは魔力強化しなくても充分強いからな…どうなんだろうな。」


 おい、どうなんだろうな、って。


「じゃあ、魔力の供給をギリギリまで減らしてみようか。」


 ギリギリまで…あ。


「消えちまった。」

「本当に少しずつ減らしていかないとすぐ消えてしまう。そのギリギリのラインを見極めなくてはならないのだよ。」


 うーん、蛇口を少しだけ開ける感じで…………


「また消えた…」

「難しいぞ。それは。私でも3日掛かった。」


 そりゃまた厄介だな。


「でもいい筋行ってるぞ?ユウタは。明日にはできているかもしれないな。」


 その後、まあ、無理だろうがな。と付け加えた。一言余計だよ!


 結局その日には綿密な魔力操作すらできなかった。

 昼ごはんを挟み、何かがあったあとそのまま気がつけば夕飯の時間となっていた。


 戦闘?メア?………………ガタガタガタガタガタ


「もう、女性に年齢の話はしないようにしよう……………」


 これが、今日の教訓である。

 そう考えながらメアの……………部屋を訪れる。震える体を動かして、扉を開ける。

 入るなりメアは、


「おお、ユウタ!ついに完成したぞ!」


 …………おう。何がだ?


「これはスゴイな!画期的だぞ!ただ、量産は出来そうにないことが難点だな。3つしかできなかった。」

「落ち着けメア。何ができたんだ?」

「けーたいでんわだよ。」


 なに?出来たのかあれが!メア……恐るべし。


「試しに使ってみよう!ユウタ、これを持って自分の部屋に行ってくれ!」


 そう言って渡された水晶には、1と書かれた台座がついていて、そこにボタンがついていた。これは……2、3、発信、着信、切、か?


「ボタンは書いてあるとおりだ!じゃあ頼んだぞ!」


 そう言われた俺は、部屋から追い出された。

 ………………………わっかんねえ。とりあえず戻るか。


 部屋についてしばらく経ったあと、水晶が光り始めた。

 着信してるのかな?着信ボタンを押してみた。

 すると、水晶にメアの顔が映った。


「おお!?」

『お、ユウタ、操作はわかったみたいだな。』

「お陰様で。」


 相手の声は少しかすれて聞こえるな。まあ、それは仕方ないか。


『ユウタ、風邪引いたか?声が掠れてるぞ?』

「これはおそらく仕方がないと思うぞ。それより、よくこんなの作れたな。」

『フフン。天才にかかればこんなもの、作ることなど造作もない事よ!』


 ドヤ顔うぜえ。と、そんなことを考えていると


『とりあえず、作動はするな。じゃあ、それはあげるよ。私はもう疲れたんで寝る。じゃあな、お休み』


 と言われ、ブチ切られた。

 …………自分勝手だな…


 さて、時空魔法のレベル上げと行きますか。

 アイテムボックスを今まで使ったことがないので、使ってみることにする。

 先ほど拝借してきた肉を一切れ入れてみて、時間の経過を見てみる事にした。


「【アイテムボックス】。あ、詠唱いらないんだっけこれ。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


アイテムボックス

消費魔力:

あらゆる物を出し入れ可能な空間に繋げる。ただし、生物を入れることはできない。詠唱不要。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 肉を突っ込む。すると、目の前に薄っすらと、たくさんの四角が現れて、そこの一つに肉が出てきた。これをタッチしてみると、黒いモヤから肉が出てきた。


「魔法って便利だなぁ。」


 まあ、便利じゃないなら存在危ういけどな。アイテムボックスは、とりあえずはこれで終わり。次に時空の時の方の魔法を作ることにした。

 なぜか、それがレベルアップの鍵だと思ったのだ。


 結局、今日中に作ることは出来なかった。時間については、流石に軽いイメージでどうにかなるものでは無かったらしい。


 また魔力全放出して、眠った。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ユウタ ジンノ

種族:人間族、異世界人

ステータス


レベル50


体力…500/500

魔力…500/500

筋力…194(+8)

敏捷…200

耐久…194(+3)

器用…170

精神…206

意志…198

幸運…7


装備

アイアンソード絶

革の鎧



スキル

鑑定Lv1


魔法

光魔法Lv1

 ヒール

 ハイヒール

 聖域サンクチュアリー

 フェアリーソング

 フラッシュ

 ホーリーソード

炎魔法Lv2

 フレイムアロー

 フレイムランス

 フレイムウォール

 ファイヤーストーム

水魔法Lv2

 記憶操作

風魔法Lv2

 エアーカッター

 

木魔法Lv1

 ツリーカーニバル

 ドレインシード

雷魔法Lv2

 ライトニング

 サンダーボルト

 トールハンマー

 スパーク

時空魔法Lv4

 転移門

 転移

 アイテムボックス

 召喚魔法

闇魔法Lv2

 ダークボール

 ダークエクリプス

 ブラックドレイン

 


複合魔術

 風+光:閃光弾

 

 

 

称号

異世界人

武術の心得


残金:558540


ギルドランク:D

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