第十二話
大陸暦7月20日、昼頃
魔力枯渇を起こし、ぶっ倒れた俺の魔力が40も上がっていた。なんで!?
「40もか…恐らくは、魔力を極限まで使い、それが回復するときに過剰回復するからなのだろう。それにしても、40か……」
異常なのだろうか。
「普通、魔力枯渇を起こすまで魔力使うバカはいないからな。よくわかっていないのだよ。」
精神のステータスがあがった。気がした。
「ま、まあ、これから寝る前に少し実験してみるよ。」
「ああ、頼んだ。」
どうせ寝るんだ。魔力枯渇を起こして寝るか。
「とりあえず、だ。昼飯にしようか。結局、午前中は寝たきりだったしな。」
…………時間を無駄にしたようだ。
午後の戦闘訓練は、メアに一撃は入れられるようにしよう。
そう決意した。
「ま、無理だろうけどね。」
「ん?何がだ?」
「いや、こっちの話だ。」
お昼ごはんはメイドさんが作ったらしい。ちなみに、姿をあまり見せないので普段何をしているか聞いたところ、
「気配を消して掃除洗濯など、色々なことをやっていますよ。」
とのことだった。この家は従者も別格のようだ。
「貴方に言われたくはありませんよ。」
……この人は読心術も使えるようだ。
「メア様のメイドですから。」
……何も考えないように「貴方には無理ですよ。」…………諦めよう。
というわけで、メアとの勝負……となった所に、メアが「話がある。」と切り出した。
「前回、私の動きを見切っていたな?」
え、また機嫌損ねちゃったの?今度は何されるんだろう……
「…………私はそこまで器の狭い人間じゃない。では無くてだな、あの時私は、手加減をしていたんだ。あるレベルにな。」
「へぇ〜、いや、手加減してたのはわかったけど、レベル設定なんて出来るんだな。」
「私ほどの熟練者になると造作もないことよ!」
ドヤァァァァ。という音が聞こえてきそうなメアのドヤ顔。
「………ではなくて!あの時のレベル、70レベルくらいにしていたんだ。」
「へえ、70レベルか〜、って、俺50レベルなんだけど!?」
手加減って言わないそれ!………ん?おかしくないか?
「気づいたようだな。お前はレベルに見合わないステータスを持ち合わせているんだ。ちなみに、理由は恐らく一つだけだ。」
「ほうほう。もうわかってるのか。流石はメアだな」
「ふふっ。もっと褒めてもいいんだぞ?」
子供だ………まいいや。
「で?なんなんだ?」
「そうだな……詳しく言うと長くなるが。」
そりゃそうだ。
「端的に言えば……慣れ、だな。」
慣れか。
「いや、わかんねえよ。」
「だろうな。」
だろうな。って。それはないんじゃないか?
「13レベルの時に、30レベルのリリィと戦っていただろう?それも、たくさん。」
「ああ。」
「つまり。慣れ、というのはだな。筋力はリリィに対して様々なことをするうちに、負荷がかかる事によって。敏捷は30レベルの動きについていこうとして。耐久は30レベルに殴られる事によって。精神は
なるほどな。
「そして、俺は気がつくと35レベルくらいのステータスを13レベルの時に持つこととなった。」
「そうだ。その状態でレベルが50まで上がるとどうなるか。ステータスは当然、35レベルのものから37レベル分まで上がるわけだから、72レベル相当のステータスとなるわけだ。」
だからあの手錠も壊れたのか。リリィ様々だな。
そして、メアが次の目標を発した。
「つまり、だ。90レベルの私の本気の動きについていければ。90レベル相当のステータスを手に入れることができると、そう思わないか?」
…………………死にたくない…よ………
「では、始めようか。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
まあ、当然のことながら、5戦とも負けましたよ。
何アレ。ソニックブームだけで倒されたんだけど。いや、もういいや。
「軟弱者だなぁユウタは。」
ここに鬼がいた。
「もう少しやってもいいんだよ?ん?」
……………俺の周りには読心術が使えるものがたくさんいるようだ。
「いや、二人だけではないか。」
…もう何も言うまい。
「お兄ちゃん、女の人に負けるとかダッサーい。」
「………リリィにはもう負けるとは思いなえ……ないがな………」
やばい、喋ると死にそうだ……痛すぎて。
「……お兄ちゃん、本気では無いとはいえ、師匠の技受けてよく気を失わずにいられるよね。」
それは、あっちの世界でも凄い師匠がいたからな。いや、もうアレは人間じゃないよ。魔王の方が似合いそうだよ。
「お兄ちゃん、夕食まで休んでれば?」
「…言われなくても………それしか出来ない。」
動くと痛い。
「そ。なら、じゃあね〜。」
ちなみに今、俺は庭先にいる。立つことすら、痛みでままならない。
「た、助けてくれ……」
このままだと風邪引いてしまう。
「私がお部屋までお運び致しましょう。」
メイドさん!ありがとうございます!!
「では、行きましょう。」
「…え?」
なんで足掴むの?え、なんでそのまま歩き、ってちょ!?痛い!引きずらないで!
ズルズルズル……
「ちょっそこ階段……」
ゴンゴンゴンゴン……………
「着きましたよ、ユウタ様…………おや?お休みになられてしまったようですね。仕方ない。ベットに寝かせておきましょうか。」
ポイッ
ドサッ
「では、ごゆっくり。」
結局、夕食が出来てからも
「ああ、ユウタ。遅かったな。もうみんな夕食食べ終えたぞ。早く食べな。」
…………久しぶりの一人飯。とても味気なかった。
待っててくれても良かったんじゃないのかな?
「ほら、早く食べ終えろ。」
「酷いな!?」
「ん?なにかな?」
「ごめんなさい。」
掻き込んだ。
そして夜。いつもの様にメアの部屋に行ったら、
「今日は来なくていい。」
と言われた。なにか嫌われることしたかな?と考えてみて……………心当たりがありすぎて困った。まあ、返事はしとくか。
「わかった。」
「すまんな。一人でやりたいのだよ。コレは。」
「ああ。何かあったら言えよ。」
「わかってる。」
ふむ。嫌われてはいないようだ。…………嫌いじゃなかったら、あんなに痛めつけたりはしないと思うけど、気にしないことにし、部屋に戻って魔法の練習をすることにした。
自室にて。相変わらず俺は悩んでいた。
「時空魔法のレベルを上げるにはどうしたらいいんだろうか………」
自分が、小暮道場で師匠にもらった日本刀を召喚したいのだが、レベル不足なのである。
「使いまくればいいのかな。【転移門】。」
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転移門
消費魔力:50×通った人数
任意の位置に転移門を開く。ただし、見える位置、または一度行ったところにしか開かない。
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「おお、開いた。」
転移門は、黒い輪の様な物の中に黒いモヤがあるもので、何故か裏から覗き込むと何も無いように見える。という代物だった。今は部屋の端から端までを繋げてみた。
「手を入れてみると……」
向こう側の転移門から腕だけが見えた。試しに振ってみると、確かに動いている。本当に自分の腕のようだ。
「魔法も転移できるのかな…【ドレインシード】。」
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ドレインシード
消費魔力:50
体力、魔力を吸収し、自分に送る種を撃ち込む。5分で効果は切れ、種は消滅する。吸収量は1秒あたり木魔法レベル×1である。
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これは、人に当たらなければ無害なので、気にせずに撃ち込む。
ポンッ
という軽快な音と共に、種が転移門に吸い込まれる。と同時にあちらの転移門から種が飛び出てきた。………………こちらに向かって。
「うお!?ビックリした!」
一応、避けれない速度ではないので避ける。
「なんでこっちに向かってくるん………あ。」
転移門をこちらに向けていたら、こっちに向かってくるのは必然である。
「あー、うん」
やり場の無い怒りを発散するために、転移門を一度閉じ、また開いた。
今度は俺が攫われた時にいた部屋だ。
躊躇いなく魔法を打ち込む。
「【ファイヤーストーム】。」
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ファイヤーストーム
消費魔力:100
任意の位置に炎の竜巻を発生させる。
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ゴウ…………
熱いのですぐに転移門を閉じる。
何処か遠くで爆発音と悲鳴が聞こえた気がするが、きっと俺には関係ないことだろう。
時空魔法のレベルは……………上がってないか。
最後に自身のステータスを確認し、今の最大魔力を確かめた後に全身から全魔力を放出、そのまま眠った。
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名前:ユウタ ジンノ
種族:人間族、異世界人
ステータス
レベル50
体力…470/470
魔力…450/450
筋力…183(+8)
敏捷…190
耐久…194(+3)
器用…165
精神…199
意志…190
幸運…7
装備
アイアンソード絶
革の鎧
スキル
鑑定Lv1
魔法
光魔法Lv1
ヒール
ハイヒール
フェアリーソング
フラッシュ
ホーリーソード
炎魔法Lv2
フレイムアロー
フレイムランス
フレイムウォール
ファイヤーストーム
水魔法Lv2
記憶操作
風魔法Lv2
エアーカッター
木魔法Lv1
ツリーカーニバル
ドレインシード
雷魔法Lv2
ライトニング
サンダーボルト
トールハンマー
スパーク
時空魔法Lv4
転移門
転移
アイテムボックス
召喚魔法
闇魔法Lv2
ダークボール
ダークエクリプス
ブラックドレイン
複合魔術
風+光:閃光弾
称号
異世界人
武術の心得
残金:558540
ギルドランク:D
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