第九話

 大陸暦100年7月18日


「さて、光魔法を――」


「覚えてます」


「――闇魔法を覚えてもらう」


 ……うん。まあ、いつも通りだろう。


「これは少し難しくてな、私が今から魔法を君にかけるから、それを解いてくれ。」


 ………ん?


「どんな魔法だ?」


 嫌な予感


「ダークネスフォースと言ってな、相手を闇に包み込み、幻覚を見せるというものだよ。何も知らされずにやられると、幻覚ともわからずに気がついたら殺され、死んでしまうのだよ。」


 が当たった。怖い魔法だな………………って


「ミスったら死ぬのかよ!?」

「いや、幻覚を見ている間に相手に殺されるだけだ。殺しはしないから安心しろ。殺しはしないから。」


 ナニスルンデスカ!?


「じゃあいくぞ。【ダークネスフォース】!」


 その瞬間、俺は闇に包まれた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「優太!もう起きて!帰りだよ!」


 この声は……陽菜か。懐かしいな。


「やーっと起きた。全くもう!」


 どうせ幻覚なんだ。言いたいこと言っちまおう。


「陽菜、今日も可愛いなぁ…」


 そういった瞬間、


「ななななな、何言ってるのよバカぁ! 気色悪いわよ!」


 あらら、嫌われちゃったかぁ…?


(嬉しいこと言ってくれるじゃないの、バカ……)


 ……ムッフッフ。聞こえてまっせ。さすが幻覚。ちゃんと好かれてますなぁ。


「陽菜、好きだぁ! 結婚してくれ!」

「ふぇぇぇぇぇぇ!? な、何言ってるのよ!? まだ早いわよ結婚なんて!?」

「早いってことは、付き合ってくれるのか?」


 そういうと、顔をトマトのように真っ赤にして、


「違うわよバカァ!」

「ごふっ」


 殴られた。イジりすぎたかな。

 さて、楽しんだことだし、そろそろ解くかな。

 最初からずっと魔力を流して、もういつでも大丈夫なようにしておいたのだ。


 最後に、陽菜に言っておくか


(ブツブツブツブツ……)

「陽菜。」

「ひ、ひゃい!」


 びっくりしすぎだろ。


「好きだ。」

「!?」


 そこで俺は魔法を解き、現実世界へ戻っていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 目覚めるとそこは、ベットの上だった。

 何故かメアもリリィも、目を見ると恥ずかしそうに目を逸らす。


「終わったぞ。」


 と、声をかけると


「あ、ああ。」


 と、曖昧な返事を頂きました。

 なんだろう。なんか、妙にスッキリしてる………


 これは何かあるなと、リリィを問い詰めると、


 ボンッキュゥ


 顔を真っ赤にしてそのまま倒れちゃった……

 という事で、メアを問い詰める


「さ、最近ご無沙汰だっただけだ!悪気はない!」


 と、自白してくれた。内容を聞くと


「そ、それは……」


 はぐらかされた。


 ……………なにしやがった!?


「な、なにはともあれ、全ての属性を覚えたな。おめでとう。」


 話をそらされた。

 案外あっけなかったなぁ……


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 さて、闇魔法も覚えたことだし、リリィとの戦闘だ!

 いつもは負けていたが、今日こそは勝つ!


「お兄ちゃん、いつ勝つのかな〜?」

「今日、さ〜」


 やはり、勝算があると心がぴょんぴょんしちゃうね!


「お兄ちゃん、自信満々だね。なら、私もちょっと本気出すよ。」


 そんな俺の耳に、リリィの呟きは全く入ってこなかった。



「でははじめ!」


 そんないつもの掛け声とともに、俺はある魔法の……ってあれ?なんで俺は空を向いているんだ?


「そこまで!」


 な、何が起きた……


「あれれー?お兄ちゃん、勝てるんじゃなかったのー?」


 ……見極めてやる


「もう一度だ。」


 グフッ


「もう一度だ!!」


 ゴハァッ


「もう一度!」


 ガハッ


 見えた!

 俺は4回吹き飛ばされ、もとい、戦って、遂に見切ることができた。

 次こそ勝つ!


「もう一度だ!」

「お兄ちゃん、もう飽きちゃったよ。これでやめようね?お兄ちゃん!」


「はじめ!」


 リリィはまっすぐつっこまずに、少し迂回して、猛スピードでやってきた。

 迂回していたから、視界に入って見れなかったんだな。だがもう見切った!


 ここだ!俺は目を瞑り、耳を塞いでこう叫んだ。


「【閃光弾】!」

「きゃあ!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


複合魔術

 風+光:閃光弾

消費魔力:200

爆音と閃光で自分を含む周囲の目と耳の機能を一時的に潰す。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 閃光弾は記述の通り、爆音と閃光で、目と耳を一時的に潰す。

 その状態でリリィは見動き取れるはずもなく、


「終わりだ。」


 リリィの首筋に手刀を落とし、気絶させた。


【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】…………



 おいおいおいおい、どれだけ上がるんだよ!?ええーっと、一気に50まで上がっちまったよ!?

 リリィのレベルっていくつなんだよ!?


「か、【鑑定】」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


リリィ:レベル30


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


なんで?50まで上がる理由がなくないか?


「なあメア、何故か俺50まで…あ。……【鑑定】」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メア=ディーネ:レベル90


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「そういうことか……」


 俺の閃光弾は威力…って、光と音だけなんだけどな……まあ、とにかくメアの意識も刈り取っていたようだった。

 ん?メアの頭から血が出てる………まさか……いや、後で話を聞いてみよう。

 

 なにはともあれ、


「勝った………!」


 俺はリリィに勝つことができたのであった。


 こらそこ、大人気おとなげ無いとか言わないの!


…………とりあえず起こすか。





「ずるいわ!あれはノーカンよ!」


 起きるなり、リリィがそう言い出した。


「って言われてもなぁ、一応魔法だし。あと、だいたい想像つくけど、メアはなんで気絶したんだ?」

「ああ、あの光と音に驚いてな。後ろに下がったら足元の石ころを踏んでしまい、そのまま後ろに転んで頭を岩かなんかにぶつけたのだよ。」


 ですよねー


「とにかく!あれはノーカンよ!もう一度戦いなさい!」

「と言われても、50レベルに上がっちゃったんだぞ?その俺に勝てるのか?」

「50レベル!?」


 そうだった。言ってなかったな。恐らく、たまたまメアがこけて気絶したのが、俺が倒したことになったらしくて、その分のレベルも上がったことを伝えた。


「ず、ずるいわ!そんな方法で……!」


 そこでメアからの助け船が入った。


「コラリリィ。現にレベルが上がってるんだから、認められたってことだよ。それにケチつけるんじゃない。」

「…………はぁい。」


 た、助かった……!

 と思ったのも束の間、


「今度からは私がユウタの対戦相手だからな。きっちり、仕返しするさ。」


 のぉぉぉぉぉぉぉ!?


「いや、まだそのレベルまで達してないかと……」

「既にリリィのレベルは抜かしただろう?それじゃあ意味がないんだ。それにな……」


 それに?


「私も少しムカついてるんだ。それくらい良いだろう?」


 憂さ晴らしじゃないか! 結局!!


「安心しろ、今日は勘弁してやる。」


 そう不敵に笑うメアの姿は……………とてつもなく恐ろしかった。


「あー、私に勝ったんだから、どんだけ強いんだろーなー。まさか、一瞬で負けるなんてことはないだろーなー」


 こいつひでえ! ヤル気まんまんだ!


 今夜、もっと魔法増やしとこ………



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 その夜、昨日のように地球のことを話していると、携帯電話の話になった時にメアは急に目の色を変えた。


「そんなものがあるのか! ふむ……何かを代用できないだろうか…」


 まずい、研究者心(?)をくすぐってしまったようだ……!


「ユウタ、明日の夜からはそのけーたいでんわとやらを創ってみるぞ!」


 ああ、逃げられない……。


 メアはそのまま眠ってしまったので、俺は自室で魔法の創作を始めた。魔力もギリギリまで使うので、魔力増加にもなるのだ。


 いろいろ作り、魔力がほぼ底をついたのでそのまま眠った。

 そう。何故かダークネスフォースを覚えていた。


 これが使えたら、絶対勝てるけど、魔力が足りねえ……。


 ああ、勝てる気がしねえ…………。

 死にたく……無いよ……。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ユウタ ジンノ

種族:人間族、異世界人

ステータス


レベル50


体力…470/470

魔力…350/350

筋力…183(+8)

敏捷…190

耐久…194(+3)

器用…165

精神…198

意志…178

幸運…7


装備

アイアンソード絶

革の鎧



スキル

鑑定Lv1

生物の名前及びレベルがわかる。

パーティーメンバーのステータスがわかる。

物の名前と詳細の一部がわかる。

自分の鑑定レベルより高いレベルの隠蔽がかかってるものは読み取れない。


魔法

光魔法Lv1

 ヒール

 ハイヒール

 聖域サンクチュアリー

 フェアリーソング

 フラッシュ

 ホーリーソード

炎魔法Lv2

 フレイムアロー

 フレイムランス

 フレイムウォール

 ファイヤーストーム

水魔法Lv2

 記憶操作

風魔法Lv2

 エアーカッター

 

木魔法Lv1

 ツリーカーニバル

 ドレインシード

雷魔法Lv2

 ライトニング

 サンダーボルト

 トールハンマー

 スパーク

時空魔法Lv3

 転移門

 転移

 アイテムボックス

闇魔法

 ダークネスフォース

 ダークボール

 ダークエクリプス

 ブラックドレイン

 


複合魔術

 風+光:閃光弾

 

 

 

称号

異世界人

武術の心得:武術の経験があるものに送られる。対人型攻撃力の上昇効果が付く。


残金:558540


ギルドランク:D

 

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