第八話

 大陸暦100年7月16日、深夜


 メアの部屋がゴミの部屋だった。


「メア、とりあえず掃除しろ。」

「ん?いらんだろそんなの。」

「研究の邪魔だ!こんなんじゃどこに何があるかわからない!」

「わ、私はどこにあるかわかって…」

「掃除できない人の典型的な言い訳ありがとう。はいはい、掃除始めるぞ!」


 というわけで、大掃除が始まった。


 本当にいろいろある。レポート、本、酒瓶、酒瓶、酒瓶………

 酒飲み過ぎだろ。


「む?ユウタ、このカラフルなクッキーはなんだ?」

「カビ生えてるだけ!」


 ったく……ん?この布は……


「パンツ?」

「見、見るな!」


 な、殴られ…た……それは無いだろ……

 メアの、結構オトナなパンツを目に焼き付けながら、俺は意識を手放…


「すものか!」

「ムッ。気絶しないだと?」


 早々何度も気失ってられるか!


「はあ……キリないんで、明日時空魔法教えてくれ。それ使って明日の夜に掃除するぞ…」

「わ、わかった。」

「で、何をすればいいんだ?」


 めんどい事はとっとと終えておくに限る


「異世界人との子供が出来るか「本気にするぞ」なんでもない。」


 はあ…………少し残念。


「この本の、ここの五ページ分、ニホンゴ?で書かれてるらしくてな、翻訳してこの紙に書いてほしいのだよ。」


 なんだ、簡単じゃん。


「わかった。やっとくよ。」

「おお、ありがたい。じゃあ明日までに頼む。」


 ほう?メアは俺に『今夜は寝かさない(物理的に)』とでも言いたいのか?ん?寝ないと明日死んじゃうよ?


「はあ……しょーがない、やっとくよ……」



 そうして俺は部屋に戻り、寝たいと言っている身体に鞭打って、翻訳し始めた。と言っても、読んだものを日本語を意識しないで書けばいいだけなのだが。


「なになに……ここに書くことは、恐らくまた来るであろう日本人に向けて書いています?」


 ふむふむ………


 な、なんだと……!?

 これは大変だ……!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 翌日、大陸暦100年7月17日、朝


「ユウタおはよう。」

「メア、書き写したんだが、大変なことが書かれてるんだ……!」

「ん?ふむ…どこが大変なんだ?」

「よく読んでくれよ!」


『お米によく似た穀物集』


 日本人には一番欲しい食べ物じゃないか!




「つまり、ここに書いてあるものが君たちの故郷ではおいしく食べられてたと、こういうことか?」

「そうだ。」

「他には?」

「ない。」


 メアはため息を一つ付き、眉間にシワを寄せた。


「バカか!?どんな大変なことかとびっくりしたじゃないか!?」


 こいつ……よりにもよって……!


「メア!一度食べてみればわかる!どんだけ美味しいかがなぁ!それとも、怖いのか?」


 瞬間、メアのこめかみがヒクついた。


「天下のギルドマスターが、怖がるのか?」

「ほう?そこまで言うのなら試してやるよ。美味しくなかったら罰ゲームな。待っていろ今買ってくるからな!」


 そう言い残し、虚空へ消えた。転移しよった……


 まあいい。これで奴も虜になるだろうよ!


 ん?俺、悪役になってないか?


「買ってきたぞ! 調理方法を教えろ!」


 早!?


 俺は米の炊き方を教えた。

 

 そして……完成!


「さあ、食べるがいい!」


 …………パクッ


「これが……」


 そうそう、この食感、このしっとり感、懐かしいわ〜


「「「そしてこの味、」」」


 そう、味ね、ここまで来ると流石だよね。


「「「無さすぎる。次。」」」


 折角ここまでいいとこ行ったのに……残念すぎるわこの穀物(?)…




 結局この中に俺達が気に入るものはなかった。


 あ、罰ゲーム………


「さて、罰ゲーム、何してもらおうかなぁ〜?…………と思ったけど、とりあえずこの穀物代全額お支払い。大体のことやってもらうしな。」


 請求書を渡された。なになに……え、7360ミヌ……!? そんなの聞いてない……。


「さて、気を取り直して魔法だ。時空魔法【アイテムボックス】を発動するから、手突っ込んで魔力を通して、自分で中のもの出せるようにしな。」


 言われたとおりに手を突っ込む。


「あ、そうそう。私の魔力が切れたらこれ閉じるからな。手切れるぞ。」

「おいいいいいい!?」

「その前に終えてみろ!」


 結論から言うと、ギリギリ成功した。

………メアの残り魔力3で。


 あぶねえ!


 お昼。昨日のようにリリィと戦う。

 今日こそは勝つ!


「お兄ちゃん、今日はもうちょっともってね?」

「いいや、倒してやるよ!」


 ほらそこ、フラグとか言わない!


 メアの開始の合図とともに、リリィは動き出し、俺は迎撃の準備を整えた。


「ハァッ!」


 そんな掛け声とともに放たれる拳。難なく避けるが、避けるとそのまま昨日と同じようになってしまうので、


 パァン


猫騙しをお見舞いした。


「!?」


 一瞬だけだが、リリィは確実に怯んだ。

 そこを見計らって、気絶させるべく鳩尾に軽い貫手を放つが……


「クッ、スパーク!」


 リリィの身体から電流が迸り、それに触れた俺は全身が麻痺。またしても敗北してしまった……


 それから、猫騙しが効かなくなったリリィに、勝つことはもちろん、いいところに行くこともなく、10戦を終えた。


「いい所まで行ったのだがな、魔法には勝てんな。魔法の練習でもしてみたらどうだ?」


 と、ありがたい助言をメアから受けた。



 そして、その夜のこと。空間魔法を駆使して、宇宙の彼方に片道転移門を開き、あらかたのゴミを捨て終え、研究に入ることになった。


「さて、研究内容だが、実はただの口実だ。」

「?なんでまた…」

「それは…………気になったのだよ。」


 なにがだ?


「異世界には魔法がないらしいじゃないか。だから、異世界の話が聞きたくてな。ただそれだけのことだよ。」


 なんだ。それならばお安い御用だ。


「本音は、お話聴きながら寝るのが好きなだけなんだがな!」


 メアは、イロイロと物凄い大きい子供だった。

 それから俺は、科学技術について、いろいろ話し出した。メアも珍しい話に興味津々だったが、眠気が勝ったのか、次第に寝息を立て始めた。


「寝た……かな?」


 いくら精神的には子供っぽいとはいえ、外見は大人、しかもすごく色っぽいのである。イロイロとイタズラしたくなるが、バレた時に命がなくなるのもゴメンなので我慢。


 さて、寝る前に魔法のレパートリー増やしとくかな。


 いろいろな魔法を作ったところで、魔力が少なくなってきたので、俺はそのまま眠った。


 これで、リリィに勝てる!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ユウタ ジンノ

種族:人間族、異世界人

ステータス


レベル13


体力…195/195

魔力…165/165

筋力…53(+8)

敏捷…50

耐久…60(+3)

器用…35

精神…57

意志…40

幸運…7


装備

アイアンソード絶

革の鎧



スキル

鑑定Lv1

生物の名前及びレベルがわかる。

パーティーメンバーのステータスがわかる。

物の名前と詳細の一部がわかる。

自分の鑑定レベルより高いレベルの隠蔽がかかってるものは読み取れない。


魔法

光魔法Lv1

 ヒール

 ハイヒール

 聖域サンクチュアリー

 フェアリーソング

 フラッシュ

 ホーリーソード

炎魔法Lv2

 フレイムアロー

 フレイムランス

 フレイムウォール

 ファイヤーストーム

水魔法Lv2

 記憶操作

風魔法Lv2

 エアーカッター

 

木魔法Lv1

 ツリーカーニバル

雷魔法Lv2

 ライトニング

 サンダーボルト

 トールハンマー

 スパーク

時空魔法Lv3

 転移門

 転移

 アイテムボックス

 

複合魔術

 風+光:閃光弾 

 

称号

異世界人

武術の心得:武術の経験があるものに送られる。対人型攻撃力の上昇効果が付く。


残金:558540


ギルドランク:D

 

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