第七話

大陸暦100年7月16日



 んん……朝か……疲れ溜まってんのかな…全身が重い………


 モゾモゾ


………!?


「なんだ!?ってリリィ!?」


 まずい、朝起きたら幼女と一緒に寝てました、とか、ロリコン疑惑かけられかねん!


「おいリリィ!なんでここで寝てるんだ!?」

「んむ………?あ、バカなお兄ちゃんおはよ。朝ごはんだから起こしてこいって師匠に言われたんだけど、なんか寝ちゃった。」


 ミイラ取りがミイラになってどうするよ……


「とにかくそこから降りろ。危ないぞ。」

「え〜…」

「いい加減にしろ!」


 こうなったら無理やりにでも下ろす!


「やめて!そんな!無理やりになんて!」

「クッ…この…おとなしくしやがれ!」


 ガチャ


「お〜いユウタ、いい加減にし……」

「あ……」


 こ、この状況はまずい、しかも直前の会話も……!いや、大丈夫だ!リリィがきちんと…


「頑張ってね、お兄ちゃん!」


 そう耳元で囁き、とてとてと部屋から去るリリィを見て、俺は悟った。嵌められた、と。


「ユウタ……説明してもらおうか。」

「と、とりあえず話を……」

「その前にお仕置きだ!」


 その時、男の叫び声が空気を揺らした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「すまんユウタ!」


 お仕置きのあと話をした結果、俺の無罪が立証された。


「いや、もういいよ……」


 朝ご飯は、血の味しかしなかった……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 俺達は今、庭にいる。と言っても、俺とメアが向かい合って、リリィは隅っこで魔法を創作しているのだが。


「さて、魔法の時間だな。まずは属性を全て獲得してもらう。水、木、風、雷については、イメージのみでどうにかなることもあるので、まずはやってみようか。」


 水……ホースで水を出す感じで…こう………


 ジョロロロロ…


「あ、できた。」

「おお、凄いなユウタは!よし、庭の掃除は後ほどしてもらうとして、次は木だ。」


 木……うーん、栄養を与える感じ……違うか……他には…うん、無理だ。


「わからん。」

「よし、それは後回しにして、次は風だ。」


 風……かまいたちみたいなものを想像しよかな…

 その瞬間、


 スパスパッ


 見えない何かがが雑草を刈っていった。


「お、できた。」

「よし、最後に雷だ。」


 これは簡単だ。スタンガンを想像して


 バチバチッ


これでオーケーと、


「おお、できなかったのは木だけか。意外とユウタは優秀なんだな。意外と。」


 なぜ二回言った。


「さて、ここでイメージがしやすいように魔法の特徴を言っていくか。」

「いや、先に言えよ。」

「リリィと比べようと思っただけだ。」


 こ、こいつ……


「さて、まずは炎だな。これは主に攻撃に使われる。一度燃やしたら燃え続けるから、気をつける事だな。」


 怖いな。


「次に水だ、これは………まあ、旅などに重宝する。水場がないときに飲めるからな。しかも、綺麗な水が出るからな。」


 要するに、戦闘では役立たずと。


「木、これは木で壁を作って攻撃を防いだり、蔓で相手を拘束したりできる。」


 不殺の魔法か。


「ちなみに、この属性は魔力の供給が無くなると元に戻る。」


 便利そうだ。完全犯罪とかに。


「風、これは不可視の攻撃に使えるな。だから避けにくい。」


 魔法って避けられんのかな。


「雷。これは必中の攻撃で、威力によって麻痺にするか殺すかを変えられる。」


 知ってる。


「そして光。これは回復したり、味方の能力をあげたりできる。」


 神官みたいだな。


「闇は、精神攻撃がおおいな。他にも闇の空間を作ったりできる。ただ、わからないことも多い。」


 謎の魔法。カッコイー!


「時空魔法。転移やアイテムボックス、他にも自分の時間の進みを早くする、など、いろいろある。召喚もこの魔法だろう。」


 ……てことは、あっちに帰れるかもしれないのか!?


「ちなみに、送還魔法はあるにはあるが、現代に伝えられていないらしい。」


 …残念


「よし、じゃあ、これから魔法を発動するから、それに魔力を通して操ってみろ。できる頃には獲得してるはずだ。」


 よぉ〜し、やってやろうじゃねえか!



〜〜〜〜〜〜一時間後〜〜〜〜〜


「で、できねえ……」


 俺は最初の木属性で躓いていた。


「魔力は通るんだけどなあ…」


 操ることができないのだ。


「イメージが足りないのだよ。」

「って言われても……!」


 スパルタ教官かよ!


 結局、昼ごはん時になるまで操れなかった。

 ご飯の力すげえ………


 お昼ごはんはメアの手料理だった。

 パンみたいなものに肉と野菜が挟まっていて、地球で言うサンドウィッチのようでとても美味しかった。


「ほのひふふぁんら(この肉なんだ)?」

「これか?これはオークの肉だよ。奮発したんだ。」

「ングッ!?」


 よかった。食べながら聞いて。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「さて、戦闘訓練だが、基本的には実践だな。それで戦闘に慣らしつつ、すべてのステータスを上げることができる。魔法ももちろん使ってくれて構わないぞ。」


 え、メアと戦うの?やだなあ……


「とりあえずしばらくはリリィと戦ってもらうことにする。」


 え?この幼女リリィと?


「え、マジ?」

「ああ、本気と書いてマジと読むぞ。」


 え、いいのかなぁ………


「まあ、やってみろ。」


 そういうメアは、いたずらっ子っぽく笑っていた。


 そのまま庭で構える俺とリリィ。


「では始めるぞ。気絶した場合と、戦意喪失のみ負けとみなす。殺しは無しだ。ああ、そうそう、リリィは全属性使える上に、武術の心得持ちだからな、気をつけろよユウタ。では始め!」


 え?なんと?


 その瞬間、リリィの姿が消えた。背中に嫌な予感を感じたので咄嗟に前に転がる。


「チェーッ。いまので行けるかなーって思ったのに〜」


 こ、こいつ…


「転移とかずるい!俺まだできないんだぞ!」

「転移魔法は、基本的に長時間のイメージ構想か長ったらしい詠唱が必要だからな。まあ、あんな凄い効果があるんだ。仕方ないよ。ああちなみに、リリィは転移など使ってないぞ?それと、余所見してていいのか?」


 へっ?


 今度はリリィがこちらに向かって突っ込んできたので、カウンターを狙うことにした。


―ライトニング


 リリィのその声を聞いた時、俺は背中の痛みとともに意識を手放した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「起きろ〜まだ終わってないぞ〜」

「ハッ!?」

「年下に負けるようじゃあまだまだだな。まあ、勝つまでやり続けることだな!」


 ハッハッハ


 そんな声が聞こえてきそうなほど上機嫌なメア。

 うぜぇ…


 その後5回程戦ったが、1分と持つことはなかった……


 その夜の夕食兼反省会で、

 と言っても、


「ユウタは、動きはいいんだが、魔法のない国にいたせいか、魔法の存在を忘れている節があるな。とりあえずはそこに気をつけて、リリィに勝てるようになりな。」


 だけで終わった。根本なことなのね…


「ああそうだ。ユウタ、今夜頼んだぞ。寝るなよ?」


 言い方がとてもエロい。そんな展開無いだろうけど。


「いや、何すんのかしらねえけど、手伝うんだろ?わかってるよ。」


 疲れたんだけどなー…



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 

 その夜、眠い目をこすりながら俺はメアの部屋を訪れた。


―コンコン

―どうぞ


 入っても大丈夫そうだ。おれはラッキースケべなど狙わない、紳士なのだ。


―ガチャリ


 扉を開けた俺が目にしたものは………


「やあ、ユウタ。よく来たな。」


―ゴミ屋敷のような光景だった…


「なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁ!?」


………絶叫が辺りに響き渡った。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ユウタ ジンノ

種族:人間族、異世界人

ステータス


レベル13


体力…180/180

魔力…145/145

筋力…41(+8)

敏捷…38

耐久…35(+3)

器用…30

精神…40

意志…35

幸運…7


装備

アイアンソード絶

革の鎧



スキル

鑑定Lv1

生物の名前及びレベルがわかる。

パーティーメンバーのステータスがわかる。

物の名前と詳細の一部がわかる。

自分の鑑定レベルより高いレベルの隠蔽がかかってるものは読み取れない。


魔法

光魔法Lv1

炎魔法Lv2

水魔法Lv2

風魔法Lv2

木魔法Lv1

雷魔法Lv2


称号

異世界人

詳細:異世界から来た人に送られる称号。言語自動翻訳(様々な言語が、認識した時に自動的に翻訳される)限界突破(レベルの上限がなくなる。それに加えて必要経験値ダウン、取得経験値アップがつく)の効果を得る。

注釈:隠蔽可能


武術の心得:武術の経験があるものに送られる。対人型攻撃力の上昇効果が付く。


残金:565900


ギルドランク:D

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