第四話

〜優太視点〜


 ゴブリン討伐の依頼で、善戦以上の戦いであったが、初の遠出という事で、妙に疲れていた。

 いつもなら気になる屋台から漂ういい匂いが気にならないくらいに。

 それを気遣っているのか、周りの人はみんな道を開けてくれる。

 この国の人は優しいなぁ、と思いながら、俺は宿屋に行った。


「おかえりなさ…ってアンタなにその格好!?てか臭い!」

「?だれ?」

「ここの女将さんには会ったでしょ?その人の娘のヴェルよ。それよりもアンタ、ゴブリンでも倒してきたの?」

「ああ。疲れた…」


 寝たい…


「その前にあんた、その返り血臭いわよ!風呂はいってきなさいな。これは洗濯しとくわ。着替えはある?」

「あ。買忘れた」

「アンタバカじゃないの!?…まあいいわ、お父さんの服貸してあげるから、風呂入ってきなさい。あ、待ってて、服持ってくるから。えーっと、これでいいかな?はい、これ服。これがタオル。あ、タオルは無料で貸し出してるから気にしないでね。明日洗濯した服渡すから、その時にこの服は返してね。あとその防具、今ならまだ間に合うから渡しなさい。手入れしとくわ。じゃあ風呂言ってらっしゃい」


 よく喋るやつだな、まあ、可愛いからいいか。


「ああ、行ってくるわ。」

「ええ、行ってらっしゃい。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 あまりにも長い時間風呂に入っているのを不思議に思ったヴェルが風呂に突入して、俺の裸体を直視。ものすごい勢いで、押すつもりがもはや掌底となっていた掌が俺の顎を直撃。気絶して風呂で溺れかけるというハプニング以外は特に何もなく、俺は今、部屋のベットで横になって、そのまま眠ってしまっていた…………




 翌朝

「ほら、これが昨日の洋服よ。」

「あ、ありがとう。この服は洗って返そうか?」

「いいわよ、洗わなくて。」

「そうか、なら下で返すわ。」

「あ、あと、今日の午前は洋服買いに行きなさい。服が無いと不便よ。あとはそれを入れる鞄ね。そんな鞄じゃ入らないわよ」

「そうだな。そうするよ。わざわざありがとな。」

「気にしないで。あと、朝ごはんできたから、食堂に来てね。」


 そう言ってヴェルは部屋を出ていった。

 朝ごはんはとても美味しかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「地図によると……ここか、雑貨屋は。」

「いらっしゃーい。何をお求めで?」

「ん?ああ、服と下着だな。あと、ポーションとかってあるか?」

「ポーションですか?ええ、こちらは冒険者ギルド直結店なのでね、当然置いてありますよ〜」

「ならそれも欲しいから、見せてくれ。」

「わかりました〜」


 中に入ってみた。本当にいろいろおいてある。子供からオトナまで見てるだけでも楽しめそうだ。


「服はこちら、下着もここにあります。ポーションはこちらですね。」

「ああ、ありがとう。」


 服は、一律100ミヌらしい。

 ファッションとかわかんないので適当に5枚ずつ確保しておく。

 あとはポーションだ。体力ポーションと魔力ポーションの二種類があり、効果の違いが3段階らしい。

 低いものから順に値段は、一本あたり100ミヌ、250ミヌ、500ミヌらしい。

 そして、値段と同じだけ体力(魔力)が回復するらしい。

 とりあえず250のものを20本ずつ買うことにした。


「これくれ。」

「毎度ありがとうございます。ええ〜と……11500ミヌとなります。」

「わかった。」


 カードでお支払い。

 なんか気持ちいい。


「………、はい。ありがとうございました。」

「あそうだ、なんか鞄とかないか?これら入れたいんだが。」

「それでしたら、このマジックポーチなんていかがです?何が入ってもかさばることはありませんし、重さも変わりません。戦闘の邪魔にもならないので人気ですよ。」


 お、よさげだ。


「いくらだ?」

「こちらは50000ミヌとなっております。」

「一応確認していいか?」

「どうぞ。」


 試しに入れてみたが、店員の言うとおり、重さも変わらず、かさばることも無かった。


「わかった。これも買おう。」

「ありがとうございました〜」




「またのご来店をお待ちしておりますー」


 61500ミヌの買い物か…でかかったな。

まあ、これからずっと使えるんだし、必要経費だな。


残金:540400ミヌ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 昨日とおなじく、ゴブリンの森。

 今日は昨日とは違って群れに会うようなことはなく、5体だけきっちり倒した。


 そしてその帰り道のこと…………


「ん?なんであんなとこに女の子がいるんだ?」


 7歳くらいの女の子が何かから逃げるように街に向かって走っていた。

 その進行方向には俺がいるので、丁度俺に向かうように走っている。


「後ろのは………スライム?」


 そう、ドラ○エとかで、序盤でバンバン倒されるあのスライムだ。


「折角だし、倒すか。」


 とそんなノリで女の子に声をかける。


「大丈夫か〜?」

「これが大丈夫そうに見えますか!?ああ、このまま私はスライムに捕まって、粘液のような体であんなことやこんな「大丈夫そうだな。」失礼な!」


 こんなこと言えるようなら大丈夫だろう。


「俺がアレ倒そうか?」

「できるんですか?」

「多分」

「じゃあお願いします。」


 よ〜し、ヤルか。

 と、剣を構えまっすぐ突っ込んでくるスライムに一閃。


 ブチュッ


……あれ?手応えない…あ、スライムだから物理攻撃効かないんだ!?


 と、察した時はすでに時遅し。

 頭がスライムに包まれていた。


 少女が咎めるように叫ぶ。


「何してるんですか!?魔法じゃないと効かないんですよ!?」

「ガボガボガボガボガボガボ《そんなこと言われたって》、ガボガボガボガボッガボガボガボ《知らなかったんだ》!」

「何言ってんのかさっぱりですよ!師匠!どうせどっかにいるんでしょ?この人助けてやってください!」


 ああ、まさかの、スライムの中で窒息死が俺の最期だとは……あ、ヤバイ………意識が…………遠のいていく…


―サンダーランス!


「アババババ!」

「師匠!」


 そこにいたのは、『大人の色気』を具現化したような、とてつもない美人さんだった。


「大丈夫か?少年よ。」


 そう優しく話しかけてくる。


「大丈夫じゃ……ない……」


 そうして俺は、スライムの中で窒息しかけた挙句、助けてくれた人の魔法で気絶したのであった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ハッ!?」

「おお、目覚めたか少年よ。」

「ここは……?」

「ここはギルドの医務室だよ。」


 確かスライムに挑んで……


「なんか釈然としないけど、運んでくれた事には感謝する。ありがとう。」

「いや、いいんだよ。それより、私が誰だがわかるか?」

「?いや、知らないな。会ったことあるか?」

「そうか。じゃあ最後に、これは私の家から持ってきた本だが、手にとって見てくれないか?」

「これか?………っ!」


 こんな反応をしてしまったのも、しょうがないとは思う。何故ならその本は……


「その反応で十分だ。」

「!?」


 し、しまった!


「大丈夫だ。すでに人払いは済んである。君は……別の世界から来たのだろう?」

「!?」


 この世界の文字ではない、漢字で書かれていたのだから。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ユウタ ジンノ

種族:人間族、異世界人

ステータス


レベル13


体力…178/178

魔力…130/130

筋力…39(+8)

敏捷…35

耐久…33(+3)

器用…29

精神…27

意志…27

幸運…7


装備

アイアンソード絶

革の鎧



スキル

鑑定Lv1

生物の名前及びレベルがわかる。

パーティーメンバーのステータスがわかる。

物の名前と詳細の一部がわかる。

自分の鑑定レベルより高いレベルの隠蔽がかかってるものは読み取れない。


魔法

光魔法Lv1


称号

異世界人

詳細:異世界から来た人に送られる称号。言語自動翻訳(様々な言語が、認識した時に自動的に翻訳される)限界突破(レベルの上限がなくなる。それに加えて必要経験値ダウン、取得経験値アップがつく)の効果を得る。

注釈:隠蔽可能


武術の心得:武術の経験があるものに送られる。対人型攻撃力の上昇効果が付く。


残金:540400


ギルドランク:E

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