第三話

「さて、何にせよまずは武器と防具だな。」


 そう呟きながらギルドを出た俺は、地図を参考に武器屋まで歩いていった。


「ここか…。いかにもって感じだな…」


 まあ、武器がないと何もできない……訳じゃないが、不便ではあるのでそのお店に入っていく。


「すんませーん。」

「なんじゃ?」


 うおっ、びっくりした。

(背ぇちっちゃいなー。これがドワーフなのか?)


「れっきとした人間じゃい。」


…………声に出てたらしい…


「全く、最近の若いもんは失礼な奴が多いわい。で、何を買いに来たんじゃ?ここを知ってるってことは、冒険者ギルドのもんじゃろ?」

「ああ、ついさっき冒険者になってな。これから討伐クエに行くんだが、武器も何も無いんでな。」

「そうか。そこら辺にたくさんあるから、適当に選びなされ。」


 選んでくれないのか。仕方がない、探すか。


「しかし、いろんなものがあるな〜…ん?なんだこれ?鞭?」


 鞭で魔物を倒すことなんて出来るのだろうか?

 一応見てみよう。


「【鑑定】」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【愛の鞭】

攻撃力を限りなく下げて、ダメージを追わないようにした鞭。

ただし痛みはある。

高確率で状態異常【快感増幅】を与える。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


………俺は何も見なかった。


 さて、気を取り直して剣を見るか。


「お、ミスリルの剣か」

「よくわかったな。」

「ちなみにこれは?」

「15万ミヌじゃ。」


 ミスリルの剣高いわ! あ、普通か。普通だな。うん。


「アイアンソードとかってあるか?」

「あるぞ。ここらへんのモンは全部アイアンソードじゃ。」

「ありがとう。【鑑定】」


 同じアイアンソードでも、効果は違うんだな……ん?


「これは……」

「ほう、それの価値がわかったか。それはわしの傑作でな、切れ味が抜群なんじゃよ。」


 そりゃそうだ。これだけ名前が違うもん。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【アイアンソード絶】

筋力+8


効果:不壊、切れ味+3


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「おっちゃん、これくれ。」

「毎度。25000ミヌじゃ。」

「カードは?」

「当然使えるぞ。」


 そりゃそうか。


「ほい。」

「毎度あり。防具はいいのか?」


 ヤベ、忘れてた。


「あー、動きが阻害されないやつあるか?」

「それなら、革の鎧くらいしかないのぉ」

「じゃあ、それで。」

「あいよ、上下セットで5000ミヌじゃ」

「これで。」

「毎度あり。」


 これは良い買い物ができた。


「また来るんだな小僧。」

「あいよ。」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ユウタ ジンノ

種族:人間族、異世界人

ステータス


レベル6


体力…130

魔力…110

筋力…30(+8)

敏捷…27

耐久…26(+3)

器用…25

精神…23

意志…24

幸運…7


装備

アイアンソード絶

革の鎧



スキル

鑑定Lv1

生物の名前及びレベルがわかる。

パーティーメンバーのステータスがわかる。

物の名前と詳細の一部がわかる。

自分の鑑定レベルより高いレベルの隠蔽がかかってるものは読み取れない。


魔法

光魔法Lv1


称号

異世界人

詳細:異世界から来た人に送られる称号。言語自動翻訳(様々な言語が、認識した時に自動的に翻訳される)限界突破(レベルの上限がなくなる。それに加えて必要経験値ダウン、取得経験値アップがつく)の効果を得る。

注釈:隠蔽可能


武術の心得:武術の経験があるものに送られる。対人型の相手にのみ全ステータスが向上する。


残金:620000ミヌ


ギルドランク:E


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 宿屋に向かうことにした。この街の中で一番大きい規模の宿屋へと行く。そこは、お風呂二食付き、お風呂付き、二食付き、オプションなしの4つがある。

 それぞれ一泊5000ミヌ、3000ミヌ、2500ミヌ、500ミヌらしい。

 お風呂だけで2500ミヌ………

 そう考えると、やっぱり異世界だなぁ、と感慨深くなる。


「すみませーん。部屋空いてま──」

「はいはい空いてますよ〜」

「──はい……」


 奥から出てきたのは奥から出てきた人はおっとりとした、マイペースそうな人であった。

 茶髪の碧眼、出るとこはしっかり出て締まるとこは締まっている、所謂ボンッキュッボンッという人だった。


「で、どのコースをご希望ですか〜?」

「お風呂二食付きで。」

「はいはい〜。何泊泊まりますか〜?」

「とりあえず、一週間でお願いします。」

「ツインにしますか〜?シングルにしますか〜?」


 いや俺今一人!あ、シングル混ぜてるからわかってるこの人。


「シングルで。」

「は〜い、35000ミヌとなりま〜す。」

「はい。」

「確かに頂きました〜。鍵はこちらとなりま〜す。」


 受け取った鍵を手に部屋に行き、自分があっちの世界から持ってきたカバンを部屋に適当にほおりこんだ。

 残念ながら腕時計は持ってこれてなかったので、太陽の位置である程度の時間を予測するしかない。

 今は太陽はほぼ真上にあるので、12時頃である。


「さてと、さっさと依頼終わらせてアリッサのところに持っていくか。」


 そういった俺は、途中の屋台で昼ごはんを食べながら草原に出ていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 所変わって、ここはゴブリンの森。

 名前の通り、種類はあれどゴブリンしかいない森である。

 そこで俺はゴブリンの群れに遭遇して、今まさに戦っているところであった。


「おいおいおいおい!いくら何でも多すぎだろ!」


 そう叫びながら、俺は右手でアイアンソード絶を振るって3体のゴブリンの頭と胴体を分け、左手で浸透勁を別の一体に打ち込み、ゴブリンの内蔵をくまなく破壊した。


「よし、15体目!」


 すでにゴブリンの群れの75%は俺の手で殺されている。


「残りは5体!」


その言葉とともに、瞬時に5体との距離を詰め、アイアンソード絶を一閃、上半身と下半身を分離させた。


「ん?なんかこいつだけでかいな、何食ってたんだこのゴブリンは。まいいっか、帰るか。」


【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】


 お、すごいあがったな。


 20体すべてのゴブリンの右耳を剥ぎ取って、お金が入っていた袋に詰め込んで、俺は帰路についた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜アリッサ視点〜


 私はアリッサ。5年間この、受付嬢をやっている、所謂ベテランです。

 最近、何故かなかなか私のところに人が来てくれません。何故でしょうか。ただお話するときにすこーしだけ愚痴ってるだけなのに。

 そんなある日、ある方が私の元へ来てくれました。久しぶりの接待です、丁寧な対応でなくては。


「ようこそ冒険者ギルドへ。どういったご用件でしょうか。」

「冒険者になりたいんだが、どうすればいいんだ?」


 ああ、新規登録の方ですか。だから私のところに来たのですね。

 とりあえずは、マニュアル通りに動きます。

 …………………ふむ、ユウタさんですか、この人だけでも私の受付に来てくれないかなぁ…。


「ん………はい。必要事項は全て書かれていますね。ではこれから冒険者についての説明を行いますので、耳の穴かっぽじってよぉーく聞いてくださいね。」


 ……あれ?今私なんて?耳の穴かっぽじってよぉーく聞いてください……? あー!またやってしまいました〜!こういう時に限ってやらかしてしまうんですよ〜!

 あ〜、やっぱりユウタさん呆けちゃってる!仕方ない、諦めますか……


 と、いつもの少し辛辣な感じで説明していたのです。その後、ユウタさんはゴブリンの討伐依頼を受けました。

 いつもの、周りに引かれる辛辣な感じの説明。それなのにユウトさんは私にこれからもお世話になると約束してくれたうえに、名前まで聞いてきました。

 私は嬉しくて堪りませんでした。


「私の名前は………アリッサです。」


 そう答えた私の顔は恐らくニヤけてました。

 は、恥ずかしい………



 それが今日の朝方の話です。

 そして今は夕方、もうすぐで日が沈むという時に、ユウタさんがやって来ました。…………………血だらけで。


「ゆ、ユウタさん?どうしたんですか!?」

「ん、特に何もないぞ?」


 様子からして怪我はしてないようです。よかったぁ…するとユウタさんは


「それより、ゴブリンの右耳を持ってきたから、処理を頼む。」


 と言ってきました。 あれ?今朝依頼受けてましたよね?早すぎませんか!?


「 あれ?今朝依頼受けてましたよね?早すぎませんか!?」


 あ、声に出てしまいました。


「ああ、たまたま偶然群れに遭遇してな、全滅させてきた。」


 え!?


「ゴブリンの群れ?何体くらいですか?」

「20体だった。」


 20!?下手をすると、普通のオークと変わらぬ強さを持つって言われてる、ゴブリンキングがいてもおかしくはない数じゃないですか!


「よくご無事でしたね……その規模の群れだとゴブリンキングがいる可能性もありますので…。」

「ゴブリンキング?」


 え、知らないの!?子供でも知ってるのに…


「端的に言うと、ものすっごく強いゴブリンですね。」

「なら、いなかったな、みんな弱かったんで」


 本当に無事でよかったです、また受付人数0人になるとこでした……。


「では、処理いたしますね。耳はどこにありますか?」

「この袋に入ってる。」

「わかりました。」


 やっぱりこの量は異常よ……初めてだもん。

 あれ?この大きさは……


「あの、ユウタさん…」

「ん?」

「これ、ゴブリンキングの耳なんですけど……」

「え、ああ、あの少し大きかったやつか。あれがゴブリンキングなのか?キングにしちゃ弱いんだな。」

「『弱いんだな』じゃないですよ!?あれはパーティーで倒すものですからね!?ソロで倒すなんて、Bランク並みですよ!?」


 何この人、キングあっさり倒しちゃったの……


「え、そうなの?まあいいや、でどうなんだ?」

「まあいいやじゃないですよ………依頼については達成です。報酬100ミルお渡しします。他のゴブリンの耳は1つ100ミルで、ゴブリンキングの耳は15000ミルで買い取ります。どうしますか?」

「全部売却で。」

「わかりました。ということで、1万飛んで240ミルお渡しします。ギルドカードに入れますか?」

「ああ、頼む。」

「ではこちらにカードを置いてください……はい、完了しました。何はともあれ、初依頼達成おめでとうございますね。」


 初依頼達成どころか、キング倒してましたけどね!


「ありがとう。あと、ゴブリン討伐の依頼まだ残ってるか?」

「え?あ、はい、ありますよ。同じのでよろしいですか?」

「ああ。」


 またゴブリン倒すのね……ゴブリンキラーとか称号つかないかしら……


「はい、受領しました。どうかご無事……いや、要りませんね。」

「ハハッ。まあ、気をつけるよ。」


 久しぶりの受付で出会った人はとても規格外の人です。そして、あまりにも規格外だったので、一番大切なことを伝え忘れてたのです!


「あ、ユウタさん!その服!………あ行っちゃった…」


 そう、ユウタさんは返り血で汚れ、とても臭かったのです。




 その時、私は知りもしませんでした。彼がもっと規格外であったという事を………




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ユウタ ジンノ

種族:人間族、異世界人

ステータス


レベル13


体力…178

魔力…130

筋力…39(+8)

敏捷…35

耐久…33(+3)

器用…29

精神…27

意志…27

幸運…7


装備

アイアンソード絶

革の鎧



スキル

鑑定Lv1

生物の名前及びレベルがわかる。

パーティーメンバーのステータスがわかる。

物の名前と詳細の一部がわかる。

自分の鑑定レベルより高いレベルの隠蔽がかかってるものは読み取れない。


魔法

光魔法Lv1


称号

異世界人

詳細:異世界から来た人に送られる称号。言語自動翻訳(様々な言語が、認識した時に自動的に翻訳される)限界突破(レベルの上限がなくなる。それに加えて必要経験値ダウン、取得経験値アップがつく)の効果を得る。

注釈:隠蔽可能


武術の心得:武術の経験があるものに送られる。対人型の相手にのみ全ステータスが向上する。


残金:601900


ギルドランク:E

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