第五話
〜アリッサ視点〜
今日も昨日のようにゴブリンの討伐に行ったユウトさんが、気絶した状態で、ギルドマスターに抱えられてギルドにやってきた時は、
「ユウタさんでも倒せなかった魔物が来たのですか!?」
と、ギルドマスターに思わず詰め寄ってしまいました。
それを見たギルドマスターは、きょとんとしたあと、私に、ついてくるよう指示を出して、ユウトさんを医務室で寝かせたあと、ギルドマスターの部屋に直行しました。
ついてくるよう指示された私も、もちろん一緒です。
部屋の中に入るなりギルドマスターは
「ユウタでも倒せないとさっき言っていたが、それはどういうことだ?」
と質問してきました。
私は、彼がユウタさんであり、昨日のゴブリン討伐の時に群れを全滅させただけでなく、キングゴブリンも倒してしまったことを伝えました。
するとギルドマスターは少し考え込んだあと、突然大声で笑い出しました。
「アッハハハ!そうか、そういう事か!」
私は当然、何がなんだかわからなくなります。
「彼、ユウタと言ったかな?さっきそこでスライム、それも一匹にに負けたんだよ。」
驚きです。対策さえ知っていればスライムなんて、子供でも倒せるのに……
「彼、見たところ対策を知らない様子だったよ。いやー、最初はただのバカかと思ったが、そういう事か!」
「そういう事とは何でしょうか?」
「ん?ああ、それは教えられんな。すまないな。こればかりは彼の許可がないとな!」
それを言われてしまうと、何も言えません。
しかし、これだけは言わせてください。
「あの人はどんだけ規格外なんですか!?」
スライムに負けたキングゴブリンをソロで倒す人って、なんなんですか!
「あ、そうだ。これ、ゴブリンの耳5個な。彼が持ってた。依頼だろう?暇なら処理しといてやってくれ。これが彼のギルドカードな。」
はぁ………
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜優太視点〜
バレた…異世界人だってバレてしまった…!
「何故わかったか知りたいという顔をしているな?」
「……ああ、何故わかった?」
「まず一つ。スライムなんて、対策を知っていれば子供でも倒せる。そしてその対策法はこの世界では常識だ。それなのに君、ユウタくんは知らない様子だった。」
その通りだ。
「だがこれは、君が弱いという条件がない場合の話だ。しかし、これが2つ目だが、君は昨日キングゴブリンを倒したそうじゃないか?」
!?どこでそれを…アリッサか?
「お察しの通り、アリッサくんだ。しかし彼女も悪気が――。」
「わかってるよ」
「――…それならばいい。」
やらかしたな…
「そして3つ目。私が誰か、という質問に君は答えられなかったな?」
「?それがどうした?」
「ついでだから名乗るとしようか。私の名前はメア=ディーネだ。メアと読んでもらって構わない。そして………ギルドマスターをやっている。」
な、なんだってーー!?
「冒険者なのにギルドマスターを知らない人はいない。もしそうならよほど老けているか……この世界のものではない、のどちらかであるということだ。」
「そして極めつけにさっきの本…というわけか。こりゃ一本取られたな。」
「ハッハッハ!……………それでなんだが、1つ提案がある。」
なんだろう、監禁されるのか?やだ怖い。
「私はギルドマスターをやっていると言ったが、研究者もやっているのだよ。」
嫌な予感がする。
「それでなんだが、君にこの世界の常識を教えて、戦闘の訓練をしてやるかわりに、私の研究に付き合ってはもらえないだろうか。異世界人なんて珍しい検た………人は是非来てほしいのだよ。」
この人検体って言いかけたな!?
「それって、解剖とかか!?」
「いやいやいや、流石にそんなことはしない。ただ、この本の翻訳をしてくれ、とか、そういうものだ。」
よかったぁぁぁぁ。
「私の家の場所は君の地図に書いておいた。明日来てほしい。それと、できれば住み込みであってほしいんだが………」
「わかった。」
宿だしな。
「よかった。これで帰りの時間とかを気にしなくていいわけだ。」
「お、お手柔らかに頼む…」
「ハハッ。じゃあ、明日。あ、それと、ゴブリンの耳はもう処理済みだ。これ、ギルドカードな。」
い、いつの間に……あ、寝てる間か。
「あ、ありがとう。」
なんだかんだで体調の良くなった俺は、アリッサにお礼を言った。ついでに明日からギルドマスターの家に泊まる旨を伝えたら
「もう驚きません。」
と、呆れながら言われた。何故だろうか。
「それと、ギルドマスターにキングゴブリン討伐のことを話したら、Dランクになる事が決定しました。おめでとうございます。」
おお、それはうれしい。
「ちなみに、世界最速のランクアップだそうです。」
………………それは呆れられるわ…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ええー!もう行っちゃうの!?まだ2日しか経ってないよ!?」
明日出ることを伝えたら、ヴェルが急に叫びだした。
(そんなに俺のことが好きなのか!)
「違うわよ、何言ってるの。同年代の人が消えると話し相手がいなくなるってだけよ。」
どうやら違うようだ。
「あと5日分どうする?返金にする?また来た時までためとく?」
「返金で頼む。」
「わかったわ。」
「25000ミヌ返金よ。カードだして。」
「あい。」
「こうこうこうっと。これでおっけ〜。じゃあ、明日出るんでしょ?気をつけてね。」
「おう。」
その夜もすぐに寝てしまった。夜のイベント無いのかな………
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
移動中、道に迷ったこと以外は特に何もなかった。
「ここか。」
マスターの家は国の東の端にあった。
いや、家というよりはもはや屋敷だった。
「で、デカイ……」
門番に話はついていたらしく、すんなり通してもらえた。
門から屋敷までの道の間、ギルドマスターとの接し方など、いろいろ考えていた
「やっぱりいろいろ、教えてもらうんだし、敬語の方がいいかな。」
そうと決めたからには屋敷の扉の呼び鈴を鳴らす。
考えている間に既に着いていたことは内緒だ。
ガチャッと扉が開き、中からギルドマスターが顔を出した。
「おお、来たかユウタ。」
「お、おはようございますギルドマスター。今日からお世話になります。」
「ハハッ。いやいいんだ。私も手伝って貰うんだしな。あと、メアと呼んでくれて構わない。それに、昨日みたいな話し方でいいぞ。」
「それは助かるよギルドマス「メアだ。」ター……」
「メ、ア、だ。」
呼び捨てろということか?
「め、メア…さん」
「メアだ。」
「はぁ………これでいいか?メア」
負けた。
なんか気恥ずかしいが、ギルドマ…メアがこんなに喜んでるんだしいいか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
メアの屋敷はとても広かった。メイドさんもいる。流石メア様、わかってる。
…………あれ?あの子は……
「あ!あのスライム時の女の子!」
「ん?おお、その子は私の知り合いの子どものリリィでな、魔法とかを教えてほしいということで私にあずけてきたのだよ。さっきのスライムも、私が『物理攻撃でスライムを倒せ。』という指示を遂行していたんだ。まあ、無理だったようだがな。まあ、君も私が教えるんだ、君から見たらリリィは先輩ということになるな。」
年下の先輩………なんかダブったみたいでやだな……
「さて、明日からの予定を話そうか。午前中は魔法の属性を増やしてもらう。昼食をとって昼は戦闘の練習だ。夜はリリィが眠くなるので、君には私の研究の手伝いをしてもらう。」
眠くなるって、リリィは子供だなぁ。
「了解…って明日から?今日は?」
そう聞くとメアは不敵に笑い、
「今日はこれから……常識と魔力操作でリリィに追いついてもらう。」
と言った。
「安心しろ。飯は食わせてやる。私がな。」
それは、はい、あ〜ん。みたいな感じでせうか!?
「冗談だ」
少し悲しい。
「さて、早速やるか。」
「リリィが丸1日かかったこと、君は何時間でできるかな?」
神様、僕の夜はまだ先のようです。
「だって、スライムに特攻とか、バカでもなかなかしないぞ?」
「うぐっ!」
ここでリリィが参戦。
「お兄ちゃんバカなのかと思いました。」
その後もしばらくこれが続き、俺の心は………ズタズタになった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
名前:ユウタ ジンノ
種族:人間族、異世界人
ステータス
レベル13
体力…178/178
魔力…130/130
筋力…39(+8)
敏捷…35
耐久…33(+3)
器用…29
精神…30
意志…27
幸運…7
装備
アイアンソード絶
革の鎧
スキル
鑑定Lv1
生物の名前及びレベルがわかる。
パーティーメンバーのステータスがわかる。
物の名前と詳細の一部がわかる。
自分の鑑定レベルより高いレベルの隠蔽がかかってるものは読み取れない。
魔法
光魔法Lv1
称号
異世界人
詳細:異世界から来た人に送られる称号。言語自動翻訳(様々な言語が、認識した時に自動的に翻訳される)限界突破(レベルの上限がなくなる。それに加えて必要経験値ダウン、取得経験値アップがつく)の効果を得る。
注釈:隠蔽可能
武術の心得:武術の経験があるものに送られる。対人型攻撃力の上昇効果が付く。
残金:565900
ギルドランク:D
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