第4話「無能のチート転生者狩り」
ワープした先はどうやら森林地帯のようだった。
「よし、手っ取り早く転生者を探すか」
死神というのはなんて便利なのだろう。脳内に近くに転生者がいることを知らせる情報が入った。
「どこにいやがるんだ? っと、そのまえに武器を用意しとくか。んで羽根もはやして黒いコートを着て死神っぽく……」
大鎌を持った羽根の生えている黒ずくめの男。多分それらしくなっただろう。おっと、あそこに転生者らしき一行をハッケーン。くそっ。あんな女ばかり集めたパーティでイチャコラしやがって。
俺は威厳ある態度を意識してその転生者の前に立ちはだかった。
「む、なんだお前は! 見たところ人間じゃないな! 勇者の俺が魔法攻撃で粉砕してやる!」
おうおう、初対面から不躾な奴だなあ。これは多分地獄行きだろう。ただの推測だけど。
「あんたが勇者様か? ええと、元日本のさえない男子高校生であったが転生し魔力無限チートを得た、と」
俺は脳内に表示された転生者の情報を読み上げる。
「な、なんなのこいつ!? ユウスケ様、さっさとやっつけてください!」
肌色面積の多い服を着た頭の悪そうな女が叫ぶ。
「お前、俺のことを知っているのかなんなのか知らないが、ふざけた素性をしゃべって俺に恥をかかせたことを後悔させてやる!」
なんだこいつ。俺が魔力無限チートごときで調子に乗ってる男に負けるわけがないだろう。
「お、そうだな。めっちゃ後悔しとくよ。そんじゃさよなら」
俺は鎌を振るう。最高級の防御魔法を展開したようだが、死神の鎌は魔法なんて貫通する。残念だな、魔法に頼らずしっかり回避する実力を身に着けてればこんなあっさり恥ずかしい死に方で死ななくて済んだかもしれないのに。
首チョンパ。パーティメンバーは驚きのあまり口をパクパクとさせている。俺は転生者の魂を瓶に入れてそいつらを見る。
「安心しな。俺が欲しいのはこいつの魂だけ……と言いたいところだけど、気が変わった。そこの女がヤラせてくれたら見逃してやるよ」
俺はそう言って頭の悪そうな女を指さす。
「え? わたし? い、いやよっなんで! え、みんなちょっと、どこいくのよっ」
「いただきまあす」
このあとめちゃくちゃセ○クスした。
「ううん、なんかあっけなくてつまらねえ。最初だからって簡単な奴を選びすぎたか。まあとりあえず慣れるまではこうやって雑魚を狩りまくるか」
「勝吉ぃっ! 早かったね! すごいよ!」
「おお、ヒメか。ほれ、転生者の魂だ」
俺が転生者を瓶から出すと、魂はたちまち転生者が転生する前の人間の姿に戻った。
「うう……」
「ほら、私についてきなさい。閻魔様のところまでいくよ」
「あ、あなたは死神ですか? ウホッかわいいなぁ。あ、そうだ! 僕は魔力が無限な勇者なんですよ! ここを見逃してくれたらそんな僕の仲間に――」
「馬鹿言わないで、その力はもうないでしょ。ちょっと運良くチートを貰えたからって調子に乗らないで。それに私は勝吉一筋なんだからっ」
そう言ってヒメは転生者を連れて行ってしまった。なんというか間抜けな奴だったな。あんなやつでもチート貰えりゃ勇者になれるとか笑っちまうよ。
「さ、とりあえず簡単なのをいくつかこなしたら、ちっとはむずそうなのも狩ってみるか」
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