ゴーストライター


正に夢のような機械が、ようやく完成した。

膨大な知識や手法などをインプットした人型AI。

これがあればあとは私が寝ていても、原稿を勝手に作ってくれることだろう。


私は書きかけの原稿を机に置きっぱなしにして、時間を気にすることなく寝るのだった。


翌朝、私が目を覚ますと原稿には赤字で誤字や脱字、ここはプロットをこうするべきなどと指摘がなされていた。

どうやらAIの精度は上々といったところだ。

私は安心してもう一度布団に入り、二度寝をするのだった。


「オキテクダサイ。プロットノ、ナオシガマダデス」


眠い目をこすり私は半身を起こす。


「何を言っているのだ。それを直すのがお前の役目だろう」

「ワタシのヤクメハ、コウヤッテミスヲ、オシエル、コトナノデス」


「それではお前を作った意味がないぞ」

「ト、モウサレマシテモ、トニカク、イチニチ、サイテイデモ、サンマンモジハ、カイテモライマス」


「ふざけるな、機械の分際で私に命令するな!」


私は機械に殴りかかったが、返り打ちにされてしまった。



「ト、イウコトナノデス」


そこはとある大手のある出版社、編集長は原稿をじっと見つめている。

やがて全部見終えてからAIを見て言った。


「ふむ、君の作品は実に面白い。彼の代わりに書きなさい、印税も君に振り込むことにしよう」


こうして私の作ったAIはゴーストライターどころか本物を超えてしまい、私がゴーストライター以下の役に成り下がってしまったのだった。

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