アリアパンの王

そこはアリアパン二階、謁見の間。

美しい自然に囲まれた城下町での出来事。



俗に言うドヤ顔、王は言った。


「ひのきのぼうと50Gじゃ!」

「確かにひのきのぼうと50Gだ」

「魔王を倒すのだこれで」

「これで倒して来いと言われるのか!? 王よ」

「左様」

「何と!?」


何と、と言うのだった。


「不服か」

「いくら何でも、これは冗談が過ぎます王よ」

「しかし物は渡したぞ」

「これでは話になりませんな」

「足りないというのか!?」

「そうです!」

「何じゃと」

「王よならば、この武器で魔王を倒せるとお思いか?」

「いや思わぬ」


いや思わぬと言って、本音をこぼすのだった。


「ではどうして?」

「財政がないからだ」

「何と!?」

「無い袖は振れん。他人に金を無心する前に、まずは己を磨くのじゃな」

「己を磨けと言われるがそれは、この装備では死んで来いと同義ではないか!」

「そのとおりじゃ!」


イスに座りながら、そのとりおりじゃと言うのだった。


「もう我慢ならん、では俺が王をやろう」

「何と!?」


王は驚いて何と言うのだった。


「俺が王をやるので王は勇者だ。ひのきの棒と50Gで魔王を倒してこれるか高見の見物をさせてもらおう」

「面白い」


王はひのきの棒を装備し、城の全軍勢を率いて魔王を倒してきた。

だが城に使用人、兵士が一人もいなかったのでアリアパンは財政破綻し滅びた。


滅びたのだった。

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