Chapter 10.3

夕暮れがせまっていた。


千堂たちは決戦に備え仮設宿泊施設に集合した。

御手洗の用意した網、何のために作られたかわからないがワイヤー製である。


美亜のESP能力で微弱なテレパシーを送れば”M”をある程度誘導することができるだろう。

おびき出しは高坂がやることとなった。

美亜の誘導で高坂をMに発見させるのだ。

カルロスとサラは千堂のサポートに回る。


「”千堂スペシャル”だが対”M”用に改良を加えた」

崎山は軽機関銃ほどの大きさの銃のようなものを千堂にわたす。

形は大きいが片手撃ちのようだ。


タバコ箱大のカートリッジのようなものをマガジンに5ヶ装填する。

崎山が予備のマガジンを渡す。計10発。


予備マガジンの最後の一発は赤く塗られている。

千堂は赤いカートリッジをとりあげる。

「……これは?」


「試作品だ。出力1.5倍。逆にこれでダメならこちらの負けだ。……ところで、優子君には知らせなくていいのかね?」


「決行時間になったら、伝言するさ」




深夜……対”M”戦の決行時間となった。

決戦ポイントの山中にJチームが終結する。

美亜と崎山はヘリで”M”を誘導する。”M”の動きに対応するためもあるが、

千堂から離れる必要があるのだ。

千堂は優子に無線で連絡を取る。ヘリを動かす以上、どうせ優子にこちらの動きが伝わるのだ。


優子の怒気をはらんだ声が聞こえる。

「勝手なことを!! 対”M”作戦は私に責任があります。私も……」


言いかける、優子を千堂が制す。

「君は、万一、俺たちが全滅したら”M”ごと山を焼き払うんだ」


一瞬絶句した優子がさらになにかいいかけるが……

「君には”M”に対する責任があるのだろう?」


回線が切れた。

千堂は今度は美亜に連絡をとる。


「決行だっ!!」



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