Chapter 6.1

小里は御手洗と千堂達にさんざんつるしあげられた後、しぶしぶ山陰地方のある山に資材を運び込んだことを白状した。


「車でこれるのはここまでです」

御手洗の運転するランドクルーザーは、めったに使われていなさそうな林道を

のぼり、行き止まりについた。

この先は細い山道が続いているようだ。


「この先です……」


心なしか小里の足取りは重い。


「私も二週間ほど前に一度きただけですが」


山道が急になってきた。

御手洗がうめく。


「いったい全体、なんでこんなことに手を貸したんだ?」


「……ですから、何度ももうしあげたように、他社を出し抜く特番をとるために、チュパカブラを隠すたのだといわれたのです。この事は誰にも言うなと。犬塚さんからは連絡が来なくなるし、世間的には行方不明ということになり、警察に届けたり、奥さんは千堂さんに捜索依頼を出したりで、おかしいとは思い始めていたのですが、いまさら言い出せなくて……」


「馬鹿な!!特番の為にわざわざ、密輸なんてする必要がどこにある。百歩譲って、そうだったとしても、犬塚もチュパカブラに付き添って密入国しているじゃねえか……なんでそんな危険を冒す必要があるんだ」


千堂は疑問に思った。

「……しかし、よく航海中や搬送中、チュパカブラが暴れなかったものだ」


「全く暴れませんでした。麻酔剤でよく眠ってましたから」


「チュパカブラを眠らせる? いったいどうやって!?」


千堂と高坂は思わず顔を見合わせる。


UMAハンターたちはチュパカブラを何年も前からターゲットにしている。

チュパカブラを眠らせよう、あるいは毒殺しようという試みは出尽くしていた。結論としてチュパカブラには通常の動物に有効な毒物は効かないと言う事になっている。


小里はようやく立ち止まった。

「ここです……」


そこは古い小屋だった。炭焼きの施設ようだ。

もう長い間使われていなかったようだが簡単に補修がしてある。


中に入ると……なにかの腐臭のようなにおいが充満している。

炭焼き釜の跡と思われるところに檻がある。


高坂は何かを発見した。

「おい、檻の中に……なにかいるぞ」


思わず、覗き込む一同。中にあるのは……動物の死骸。


御手洗がハンディビデオを構える。

「チュパカブラかっ!?」


千堂は呆然とつぶやいた。

「これは、チュパカブラじゃない!」


「……ただの犬の死骸だ」

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