第31話

 赤、それは炎の色。

 ゆらめき、いずれは消える輝き。


 青、それは水の色。

 ゆらめき、底の見えない先の闇。


 相反する二つの色は、相反することで認め合う。

 互いが互いを引き立てて、そして一つの個を作る。


 だからこそ、一つでは駄目だった。

 二つでなければ、駄目だった。


 少女は謡う。悲しみを。

 少女は詠う。苦しみを。


 やがて永劫の時を経て、少女は新たな色を見る。


 未来を紡ぐ、白と黒。


 そんな二人の、色を見る――。





  ◎◎◎◎





 黒づくめの尋問からは、結局大した情報は得られなかった。

 わかったのは『崩れた色彩』がアルテを狙っているということ。


 ルフィア達がこの街にくる直前に、『崩れた色彩』はアルテがこの街にいるとの目処を着けたようだった。


 その点では、間に合ってよかった、と言うべきことだろう。


「……原因は、原因はわかりますか。ヴィエナ様?」

「何かが阻害しているとしか解らぬ。妙な感覚だ」


 そして襲撃の後、アルテは再び状況を整えて、魔術を発動した。


 しかし、結果は失敗。


 アルテでは不足していた色の力をオルレニアが補ったはずであったが、おかしなことにオルレニアがどれだけ力を注いでも、魔術は発動しなかったのだ。


 時間にして四半刻もの時間、オルレニアは力を注ぎ続けた。


 それは、アルテの倍以上の力であったという。


「では、私の用意した素材が悪かったかな?」

「その可能性もある。出来る限りの事を考えるしかあるまい」


 オルレニアは小さくため息を吐いた。


 その視線は、隣で意気消沈するアルテへと向けられている。

 成功を確信していただけに、失敗した反動は大きいのだろう。


 落ち着いたように発言をしてはいるが、彼女のその声には動揺がありありと聞いて取れた。


「あの、オルレニアさん」

「どうした」


 そんなアルテを見て、ルフィアは思わず口を開いた。

 知識的には全く劣っているルフィアだが、それでも知恵を絞れば少しの助力にはなれるだろう、と。


「ケビンさんに、素材を用意してもらってはどうでしょう?ノーグ商会は確かに大きな商会ですけれど、ケビンさんなら貴族ならではの通商ルートを持ってると思うんです」


 今、ユエンが用意した素材が悪かったという話を聞いたが故の提案。


 ケビンには借しがある。

 彼ならば――少々の打算はあれど――協力を惜しまないはずだ。


「ふむ……試してみる価値はあろう。奴ならば良質の物を揃えることも容易い筈だ」

「ケビンとは、ヴァロータで君たちと対立していた貴族かね」

「はい。男爵ながら底の知れない人です」


 ルフィアの返答に、ユエンはふむ、と天井を仰ぎ見た。


「それならば、ケビン殿を経由してサルマン殿に接触したほうが良い。彼は錬金術師に対しての援助を行うために、かなりの素材を蓄えている」

「……この辺りの、領主だったか」


 サルマン・エイゼンシュテイン伯爵。

 その名前は、この街に来る前にオルレニアとの会話で出てきたものだ。


 なるほど、錬金術師の区画を作るほどの者ならば、たしかに良質の素材を持っているだろう。

 ケビンが彼との関係を持っているかはわからないが、あの狡猾な男ならば、おそらくは何らかの接触をしている可能性は高い。


「ノーグ商会を通じて連絡を送るとしよう。それまで、出来る限りのことを試すしかあるまい」


 ノーグ商会とケビンは、ヴァロータでの一件以来協力体制を取っている。

 手紙を託せば、早馬を使って一週間以内には連絡が帰ってくるだろう。


 オルレニアの提案に、アルテは力無く頷いた。


 ユエンは特にそんなアルテを気遣うつもりはないようだ。

 二人の関係とは実利的なものがほとんどで、特にユエンはその傾向が強いらしい。



「……さて、私は君にあまり興味はないのだがね。先ほどの戦いぶりは、少し驚いたよ」


 アルテとオルレニアが魔術的な会話をするために部屋を去った後、ユエンがルフィアにそう言った。


「強い、君はとても強い少女だった。だがしかし、すこし脆いね。危うい感じがするよ」


 ユエンはオルレニアとの会話ではまともな話をするが、ルフィアとの会話になるとこうだ。

 意味が混同している、奇妙な言動をする。


「褒めてるんですか?」

「褒めているさ。君は私を守ったからね」


 結果的にルフィアは、ユエンに傷一つ負わせなかった。

 ユエンは全体的にルフィアを軽く見ているような感じがするが、その結果は素直に認めているのだ。


「しかし君はオルレニア頼りだ。彼がいなくては、随分と不安定だろう」

「それは……」


 確かに、ユエンの言うとおりである。

 プラーミアに来てから、ルフィアはオルレニアがいることを前提とした考えで動くことが多くなっている。

 何かをするとき、大抵はオルレニアの言葉に従っているのだ。


 先ほどの戦いも、オルレニア任せの作戦だった。


「ああ、別にそれを悪い事とは言わないがね。私が君という傭兵を信用できないという話だよ」

「あなたが、信用なんてするんですか」

「するさ。例が欲しいなら、君の実力は信用しているよ」


 目を細めて、小首をかしげて即答するユエン。


 ルフィアは一歩引くと、ため息を吐いた。


「さて、前置きはこの程度か。私がこの話をした理由はわかるかね?」


 オルレニアがいなければ、ルフィアが不安定だという話。

 ユエンが意味もなく、ただルフィアを責めるためにそんな話をするわけがなかった。


「オルレニアさんが、私から離れる、と?」

「その通り」


 パチンと指を鳴らし、部屋の隅に置いていた椅子に座り込むユエン。


「私はサルマン殿と話をする際、オルレニアだけを連れていくつもりでいる。その間、アルテを守るのは君一人だ」


 いくらケビンの伝手があるとはいえ、頼む本人がいなくては話にもならない。

 そうなると外に出るリスクの高いアルテよりユエンが行くべきだが、彼を守るにはルフィア一人では実力が不足している。


 そうなると、オルレニアを連れていくしか無いわけだ。


「その間、君は不安定のまま今の状態を保っていられるのか。私はそれが、気になるのだよ」


 くくく、とユエンは嗤う。

 いやらしい嗤いだ。ルフィアを試しているのだろうか。


『その分は、我が補えばいいだろ』


 ルフィアが言葉に詰まっていると、その隣から声が響いた。

 人型を崩して、銀に輝く大狼になったウラガーンだ。


「はじめて、君の声を聴いた。面白いな、頭に響くようだ」

『……気持ちの悪い人間め。これ以上ルフィアを惑わすな』


 楽しそうに興味を示すユエンに、ウラガーンは敵意をむき出しにする。

 どうやらユエンは、オルレニア以外とは相性が悪いらしい。


 恐らくは、オルレニアとも良い関係ではないだろうが。


「まあ、そうだね。銀狼殿ならば補填できるだろう。君ら二人が揃えば、そうそう虚は突かれないさ。まあ、頑張ってくれたまえ」


 くるりと手のひらを返すように、先ほどまでの意見をひっくり返して去っていった。


 ユエンのこういうところが、とても苦手なのだ。

 自分の発言に関する責任や誇りといったものが感じられない、不安定な言葉ばかりを口にする。

 自分の周りに今までいなかった人種だからこそ、発言の内容にかかわらず、ルフィアはやりにくさを感じていた。


 そんな、なんともいえない心情を胸の内に抱いたまま、ルフィアは用意された部屋で眠りに就いたのだった。






  ◎◎◎◎





「我らは魔術の再調整を行う。ルフィアよ、貴様にはノーグ商会へ手紙を届けるついでに、サイラスと素材の話をして来て貰いたい」


 翌日、オルレニアはいきなりそう言った。


『崩れた色彩』に目を着けられた以上、復活の魔術に気づかれたならば、邪魔をしてくるのは間違いない。

 早く動かなければ面倒なことになる、ということだ。


 幸い、ルフィア達はノーグ商会とは友好的な関係にある。

 商会と損得の関係であるユエンでは得られないなにかを、得られる可能性があるはずだ。


 本来ならば交渉事はオルレニアがいれば簡単に済む話なのだが、念のため、魔術の再点検は必要である。

 そして復活の魔術は半日やそこらで点検が終わるほど簡単なものではない。


 そこで、自由に動けるルフィアに白羽の矢が立ったということだ。


「行きましょうか、ウラガーン」


 ノーグ商会の門の前に立ち、ルフィアは隣に立つウラガーンへ声をかける。

 人型のウラガーンは言葉を発することができないが、もしもの場合は力強い護衛になる。

 巨大な狼を相手にして、押さえつけられる相手などそういない。


 それは『崩れた色彩』が相手でも同じことだろう。



 門をこえると、すぐに大柄な案内人が現れた。


 ぎくしゃくとした動きを見る限り、傭兵なのだろう。

 どうやら、傭兵を使わなければならないほど、サイラスは忙しいらしい。


 傭兵の後についていくと、ヴァロータの支店と同じように複雑な道を歩かされた。

 どうやらノーグ商会の支店は、ほとんどがこの形状をしているようだ。


「お館様は、この奥にある扉の先に居る」

「ありがとうございます」


 頑張って丁寧な言葉を使う傭兵に銅貨を握らせて、ルフィアは先に進む。

 言われた通りに廊下の奥へ進むと、いかにもといった少し豪奢な扉があった。


 すぅ、と深呼吸して緊張をほぐしてから、コンコンと扉を叩く。

 すると中からサイラスの、入れという声が聞こえた。


 ルフィアはゆっくりと扉を開ける。


「サイラスさん……?」


 中に入ると、サイラスは執務机と睨み合っているところだった。


 ルフィアが入ってきたというのに、黙々とペンを走らせている。

 彼はおそるおそるといったルフィアの声に反応して顔を上げると、険しい表情をにこやかなものに変化させた。


「――これはこれは、貴女様でしたか」


 サイラスは疲れなど見せないといわんばかりに立ち上がり、小さく礼をしてみせる。

 ルフィアもそれに合わせて、真面目な表情を作った。


「この度は、どのような用件で?」


 そして、すぐさま商人の顔になる。


「用件は二つ。まずは、ユエンさんとの取引についてです」


 ルフィアの言葉を聞いて、サイラスの目元から微笑みが消えた。


「『形無し』の錬金術師殿との取引、ですか」

「はい。彼との取引で扱っているものは、本当に最高品質なのですか?」


 そして続いた言葉を聞いて、再び微笑みを取り戻した。


「それは勿論です。彼との取引は、そういう条件の下で行われておりますから」


 そして、成人もかくやといった笑顔で怪しい言葉をつらつらと述べる。


「本当に?」

「ええ、貴方様に嘘を吐く理由はありません」


 サイラスに、実際嘘を吐く理由はない。

 ルフィア達とノーグ商会は友好的な関係であるし、錬金術師との懸け橋であるユエンとも悪い関係になることは避けたいはずだ。


 ルフィア達が今の状況であるからこそ疑っただけの為、これ以上詮索する理由はないだろう。


「わかりました、疑ってごめんなさい」

「いえいえ、それよりも商品についての苦情でなくてよかったというものです。アレはとても困りますゆえ」


 特に質問の意図を追及することもなく、サイラスは小さく一礼した。

 基本的に一度売ったものについての話は、そういうこと・・・・・・が多いのだろう。

 特にルフィア達のような優遇すべき者の言葉ならば、思わず表情を崩してしまうほどには面倒らしい。


「して、もう一つの要件とは?」

「手紙を、届けてほしいんです」


 次の用件なら、サイラスの気を遣わせることはないはずだ。

 ルフィアは手紙を取り出しながら、そんなことを思う。


「ほう、手紙ですか。貴女様方が手紙を出すとなると、ケビン様ですかな?」


 するとサイラスは少し悩んだ素振りを見せたあとに、そう言った。

 ルフィアは思わず、えっ、と声を上げそうになる。


「……当たりです。どうしてわかったんですか?」

「素直な反応は良いものですが、気を付けたほうがよろしいですぞ」


 驚いた顔をするルフィアを見て、サイラスはハハハと声を上げて笑った。

 ルフィアの反応から答えを誘導したのだ。もしもこれが重大な情報についての話だったならば、大きな失態になっていた。


 ルフィアが自分でも自覚している通り、素直なことは欠点なのだ。


「さて、一先ずは了解いたしました。ケビン様への手紙は三日、いや、鳥を使って二日以内に届けます。ユエン殿に依頼された品より良いものが手に入れば、そちらに連絡することとしましょう」


 机の隅に置いてあった紙に、ささっとペンを走らせるサイラス。


 既に初老の身だというのに、きびきびとした動きは一切の淀みがない。背筋の伸び具合やその観察眼の鋭さも、商人だけの実力では培えないものだろう。


 オルレニアが油断ならないと言ったのも、こういった部分があるからか。


「他に、なにかありますかな。貴女個人からの要求などは?」


 ここで要求しても、サイラスは悪い顔はしないだろう。

 だがそれはルフィア個人に対する、心情的な貸しとなる。


 あの時よくしてあげたでしょう、というのは、商人の使う常套句だ。


 サイラスに限ってそのようなことは言わないだろうが、念のためという事がある。


「いえ、大丈夫です。必要な時は購入させていただきますから」

「それはありがたい。これからもどうぞ、我らが商会を御贔屓に」


 サイラスもロンバウトも、ルフィアに対して丁寧に振る舞ってはいるが、おそらくその実力を認めているのはオルレニアだけだ。

 証拠に、ルフィアと話をするサイラスは、少し気が緩んでいるように見える。


「それでは。また何かありましたら、私の下をお尋ねください」


 軽く礼をして、サイラスのいる支店長室を出た。


 中にいる間は気づかなかったが、外に出ると周囲の雑音がよく聞こえる。

 機密性の高い話をする場合のために、かなりの防音が施されているようだった。


 そして居心地悪そうに現れた大柄の案内人について行き、ノーグ商会を後にする。


 そのまましばらく、ルフィアは商会から離れるように歩き、人の多い広場で立ち止まった。


「ウラガーン、気分は大丈夫?」


 隣にいるウラガーンに問うと、肯定するように頷く。


 サイラスと向かい合っている間、ルフィアとウラガーンは胸のうちに違和感を感じていた。

 それはノーグ商会を離れてしばらくしても収まらず、この人ごみに入るまでずっと続いていた。


「『崩れた色彩』と何か関係があるかもしれない。あとでオルレニアさんに聞いてみましょう」


 その違和感は、ヴァロータのユーリと会話したときのような気持ち悪さで。

 きっと、『黒』に関係するなにかであった。






 ◎◎◎◎






「そうか。ユーリと同じ気配となれば、油断は出来んな」


 邸宅に帰ったルフィアの話を聞き、オルレニアは口元に手を当てて考え込んだ。


 想像以上に早い『崩れた色彩』の襲撃、失敗する魔術、加えてケビンへの連絡には二日が掛かり、そこからサルマンへと連絡するとなると、一週間近い時間が掛かってしまう。


 そこに、悪魔の気配だ。


 これについては、最も厄介な情報が入ったといって良いだろう。


「どうやら奴らは相当前から此処にアルテがいると、検討を着けていたらしいな」

「きっとヴァロータでわたし達が悪魔を倒したから、焦ってるんだと思います。でないと、いくらなんでも急ぎすぎてる」

「さっさと事を終わらせてアルテをヴァロータへ向かわせるべきだが、魔術の完成が出来ぬ限り、アレは動かぬだろう」


 オルレニアがいる限り、負けることはないだろうが、それでも限度がある。

 悪魔が出現すれば街に被害は出るし、朝から晩までアルテと付きっ切りで行動することも難しい。


 万が一を避けるためには、素早く行動を終わらせることが重要となる。


「ユエンが言うにはサルマンの居所まで、此処から馬で二日だそうだ。そうなると単純に考えるならば、ケビンからサルマンへの連絡は四日程度の時間を要する事になる」


 合計で六日。

 長い時間ではないが、一日に二度も襲撃があったことを考えると、魔術の邪魔をされないためにも、もう少し早くはならないのかと言いたくなる。


「……ルフィアよ。我は二日後に此処を発つ」

「領主様への謁見が可能かわかる前に、行くんですか?」

「ケビンならば、仲介程度、簡単に果たしてくれよう。この方法ならば、仮に失敗であっても無駄な時間消費は抑えられる」


 謁見不可の可能性は大いにあるというのに、オルレニアが言うと不思議と大丈夫な気がしてくるから恐ろしい。

 しかしその話をするオルレニア本人は、あまり乗り気ではないようだった。


「しかしその間、此処を守るのは貴様とウラガーンのみだ。アルテは魔術の使い手ではあるが、『歌姫』としての本来の力は発揮できぬ故に、大した期待は出来ぬだろう」

「任せてください。何としても守り切って見せます」


 胸に手を当てて、真面目な顔でルフィアは言い放つ。

 その頭に手を乗せて、オルレニアは苦笑した。


「貴様の実力を信用していない訳ではないがな。敵もまた手練れであるがゆえに、そう簡単な事では無かろう」

「それなら、他の傭兵に協力を……」

「錬金術師の区画に、入りたいと言う変人はそういまい。我は貴様の成長を願ってはいるが、一人にしておくのは少々不安なのだ」


 オルレニアは、ルフィアに関することについては妙に感情的になる節がある。


 頭にのせられた大きな手をそっと降ろして、ルフィアは微笑んだ。


「オルレニアさん。もしもの時は、わたしに掛けられた魔法が発動するのでしょう?」


 ヴァロータで掛けられた、『緑』の魔法。

 ルフィアが危機に瀕したとき、オルレニアに連絡が行くという魔法。


 連絡が届けば、オルレニアはきっと全力で駆け付けるだろう。

 それはきっと、ルフィアの勝手な信頼ではないはずだ。


「……そうだな。しかしそれだけでは心許ない故、出発の前にこの屋敷の中に幾つか魔術を掛けておこう」

「ずいぶん、過保護なんですね」

「自分の実力を過信するでないぞ、新米傭兵よ」


 まるで無力な子供のような扱いにルフィアは目を細めるが、オルレニアはそれに対して鼻で笑い返した。

 百年以上を生きる傭兵にとってはどんな傭兵も新米のようなものだろう、とルフィアはなおさら視線をきつくするが、オルレニアはまるで気にしない。


 そんなやり取りに、ルフィアはくすりと笑ってしまう。


「何を笑っている」

「本当に、大丈夫ですよ。オルレニアさんほど卓越した剣技でなければ、地を這ってでも逃げて見せますから」


 以前の模擬戦で受けた技。


 オルレニアの剣技を超えるものなど、存在するとは思えない。

 そんな頂点の剣を受けたルフィアからすれば、どれだけ優れた敵であったとしても、逃げ切るだけならばできるはずだという自負があった。


 オルレニアも、自信満々に笑うルフィアに何かを言うつもりにはならなかったらしい。


 馬鹿者め、とそう一言だけ呟いて、小さく笑ったのであった。




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