第25話
教会からヴァロータへ戻り、話の内容をロンバウトやケビンに伝えると、ロンバウトは特に悪い顔はしなかったが、ケビンが呆れたような顔をしていた。
教会を相手に対等に交渉をしようとするなど正気の沙汰ではない、ということらしい。
それからイヴやシルヴィアも含めて話し合いをして、ルフィアとオルレニアは、しばらく旅をすることに決めた。
いくら金銭に余裕があるとは言え、それは使えば減るものであり、それにヴァロータに定住することは、『
それに、ルフィアがもともとヴァロータを中心として、北の中央部を動き回る傭兵のため、旅に出るということに対して別段断る理由がないという事もある。
さらには傭兵としての成長を求めているルフィアにとって、流れの傭兵とは夢の一つだった。
一人では実力も、信頼も、金銭も足りなかったために、長らく実現を諦めていた事だ。
もちろん、いくらヴァロータから離れることが多かったと言え、ルフィアには関係を持っていた人物も多い。
旅の支度や挨拶まわりを終えてから出立するということにして、オルレニアとルフィアの二人は動き始めたのであった。
◎◎◎◎
よく金もないのに愚痴を吐きに行った酒場に礼をして、ときどきタダでパンをくれた粉屋の主人に挨拶をして、ときどき依頼に誘ってくれた気のいい傭兵連中に別れを言い。
思えば、いろんな人に救われていたんだな、とルフィアは温かな気分になる。
坂の上から見れば、ヴァロータは巨大な街だ。
円形になった外壁の中に、様々な人々が生きて、暮らしている。
かつて囮と言われた街とは、とても思えないほどにすばらしい街だと、素直に思う。
「そうか……旅に出んのか」
「はい」
白教会の一室で、窓から見える景色を眺めながら、ルフィアの言葉にゲルダンはそう呟いた。
そして、遠くを見るように目を細めて、はぁ、と息を吐く。
「少しだけ、話を聞いてくれや」
こくりとルフィアが頷いてから、ゆっくりと口を開いて、ゲルダンは語りだした。
「……俺が、初めてお前ぇと出会った時のこと、覚えてるか」
まだルフィアの背丈が今より頭二つほども低かったころの話。
まだゲルダンが、『大熊』と呼ばれていたころの話だ
「雪で真っ白になった森ん中で、お前ぇを見つけた。はじめは死んでんのかと思った。
血まみれで、近くには狼の死体。
ナイフを持って倒れていたお前ぇは、一体なんだと思って近づいた俺に向かって、思い切りナイフを突き出した」
そう言ってゲルダンはふっ、と笑う。
「取り抑えてはじめて、側で死んでる狼を、お前ぇがやったんだって気付いた。
力だけなら俺に及ぶような狼を、俺の半分くらいのちっこい娘が殺してたんだ。
それで俺は、お前ぇを傭兵にしようって決めた」
そうだ。
ゲルダンは初めてルフィアを傭兵の世界に引き入れた、言ってしまえば今のルフィアを形作ったその一人である。
当時のゲルダンは優秀な傭兵として名高く、当時のルフィアの目に、その姿は格好良く見えたものだ。
「初めは誰にでもナイフを向けるほどだったのに、俺の依頼に付き合わせて、剣も教えてやったらどうだ。
優しくなることなんて全く教えてないってのに、こんなに優しい娘に育ちやがった」
へっ、とゲルダンは鼻を鳴らす。
そんなことはない、と口にしようとして、ルフィアは思い出す。
たしかに傭兵の仕事関連以外は、ほとんど教わっていなかった。
今の日常は、たしかにルフィアが作ったものだ。
「……そんなお前ぇだからよ。心配してたのさ。あのオルレニアとやらが、本当に信用に値する男なのか」
そしてゲルダンは真面目な顔で、ルフィアに向き直った。
「それでお前ぇらの前に立ってわかった。アレはすげえ。俺なんか歯牙にもかけないほど強く、しかもその強さでお前ぇを絶対に守り通そうとする男だ」
自らの腹に手を当てて、斬られたはずの場所を撫でる。ゲルダンは確かに、内臓ごと腹を裂かれたはずだった。
そんな状態から助かった理由は、わからない。
だが、傭兵の勘が言っている。
自分が助かっているのは、オルレニアの情けだと。
落とし穴の回避、矢避け。
戦闘に於いて、オルレニアはルフィアを守るように動いた。
その後の話もケビンから聞いたが、ルフィアにとって害になる男では無いと、そう思える話ばかりだった。
「だからこそ、気を付けろ」
しかし、ゲルダンも浅い経験をしてはいない。
「あの男は戦いを呼び込む性質をしてやがる。あいつの強さは、戦いの火種みたいなモンだ」
「戦いを、呼び込む……」
オルレニアの強さは確かに、他の追随を許さないほどだと思う。
強い者には、厄介ごとが付いて回るというのはよく聞く話だ。
彼のそばにいる事は、危険に身を投げるも同然という事だろう。
「……実を言うとな。俺はお前ぇがそろそろ行き詰まる頃だって知っていた。ただ、どこかに送り出す勇気がなかったのさ」
頰を掻きながら、照れくさそうに苦笑いする。
「危険かもしれねえが、この旅立ちはきっとお前ぇにとって良い経験になる筈だ。
だが気を付けろ。それで、無事に成長した姿を俺に見せてくれ。そん時は酒でもなんでも奢ってやるよ」
そう笑うゲルダンに、ルフィアは言葉を返すことが出来なかった。
この男が、これほどまでに自分の事を気にかけていた、という事が信じられなかった。
「まあ、なんだ。とりあえず頑張れよって事だ。
金も、関係も、旅立つ為の連れも出来ただろ?あとは行くだけさ」
そんなルフィアを見て、ゲルダンは言葉を続ける。
元気付けようとしているのだろうか。
「ゲルダンさん」
「……なんだよ」
ルフィアは本当に、いろんな人に助けられて、愛されて生きてきたのだ。
笑いながら目に涙を浮かべるゲルダンを見て、それを感じずにいられるものか。
「今まで、ありがとうございました」
「へっ……小娘が一丁前なこと言ってんじゃねえよ」
涙を拭い、ゲルダンはルフィアの頭をその大きな手で撫でた。
「派手に活躍してこい。そんで、戻ってこい。期待してるぜ、駆け出し傭兵」
「もちろんです。『大熊』なんかよりもっと素敵な二つ名を持って帰りますよ」
「言ってくれるな。小娘風情が」
ガハハと笑って、ゲルダンは立ち上がった。
その動きに怪我によるぎこちなさなどいっさい見えない。
そのままゲルダンは背後の棚の引き出しを開けると、中から取り出したモノをルフィアに投げつけた。
「……?」
パシ、と受け取り、ルフィアは布に包まれたソレを見る。
「開けてみな」
言われたとおりに布を剥がすと、中から美しい線を持った短刀が現れた。
「俺が昔使ってた短刀だ。硬く、鋭く、柔軟性も高い。
そこらの剣をへし折るくらい叩きつけても欠けすらしねえ一級品さ」
鞘から抜くと、鈍い鉄色の輝きではない。
一目で名匠が打ったとわかる、銀色に輝く鏡面のような刀身が現れた。
「こ、こんなの、貰っていいんですか?」
「やるよ。どうせ俺が持ってても仕方ねえだろうしな」
そんな訳がない。
これ程の業物であれば、どんな状況だろうと持っていて損はない。
要は、これがゲルダンなりの餞別なのだろう。
「さあ、行った行った。怪我人にあまり無理をさせるんじゃねえ。っててて……」
わざとらしく腹を抑えるが、先の動きを見て、誰が怪我人と言うのか。
ルフィアはフッ、と笑い、立ち上がった。
「では、ゲルダンさん。本当にありがとうございました」
「おうよ。もう貧乏に戻るんじゃねえぞ」
「はい、善処いたします」
最後に、互いに笑顔を見せ合ってから、ルフィアは扉を開けて部屋を出た。
廊下を歩いて、階段を降りて、白教会の建物を出る。
道行く人の目が少しだけ自分に向いて見えるのは、きっと気のせいではないだろう。
別れがこんなに悲しく、暖かいものなのだと、ルフィアはうっすらと視界に靄をかける涙を拭いながら、知ったのであった。
◎◎◎◎
シィ、と鞘から剣が抜かれると、黒く艶消しの塗られた刀身が露わになる。
ほんの少し右腕を引いて、見据えるのは三体の藁人形。
「お見事です」
隣にいるロンバウトがそう声を上げると共に、三つの人形の首が落ちた。
ロンバウトに、オルレニアの一太刀はは見えていない。
オルレニアが剣を抜いて、斬れていない訳がないという事を前提にしての言葉であった。
「やはりこれが手に馴染む。よく出来た剣だ」
いつの間にか刀身を鞘に納めたオルレニアが、そう言ってロンバウトに顔を向けると、ロンバウトは自然な動作で頭を下げる。
「では、ひとまずはそれをお使い下さい。それ以上に良い物を用意できた場合は、こちらから連絡致します」
「出来る限り居場所は教えておくが、急ぎの場合は自分達で探してくれ。次に向かう街に支店があるとは限らぬだろう」
「勿論です。最悪の場合はイヴを送るとしましょう」
そして軽く言葉を交わして、オルレニアは背後へ振り返った。
「待たせたな」
「いえ、剣はすごく重要な物なので、大丈夫です」
申し訳なさそうに言うオルレニアに、ルフィアはにこりと笑ってそう返した。
場所は、ヴァロータを出て少し離れた小さな林の中。
出立の直前でオルレニアが粗悪な剣しか持っていない事をルフィアが指摘すると、ロンバウトが声を上げ、店中の剣を集め、選りすぐりの三本をオルレニアに試させたのだ。
「ところで、イヴさんはどちらに?」
ロンバウトとオルレニアの会話に出てきた少女、イヴの姿が見当たらず、ルフィアはそう問いかけた。
常にロンバウトのそばに控えている彼女がいないのは珍しい。
居ないと言えばウラガーンも見かけないが、森に帰ったのだろうか。
「ああ、彼女なら……」
ふむ、と頷いたロンバウトが、何かに気づいたように顔を空に向ける。
一拍遅れて、ゴウ、と風が吹き抜けた。
『なんとか間に合ったか』
そこには、家一つを優に超えるような大きさをもった竜が、一匹。
ルフィアは剣を抜くことすら忘れて、絶句した。
「オルレニアさん、これは……!?」
「イヴリアナだ」
イヴリアナだ、と言われても。
目の前にいる巨大な竜が、あの少女だと、なにをどう見れば考えられるのかわからない。
そうやって呆気に取られている内に、竜は屈んでルフィアに近づき、その顔を寄せる。
『この姿で会うははじめてだが、そこのオルレニアが言う通り、我はイヴリアナだ。そう警戒するでない』
頭の中に直接響くような声。
口が動いていないところを見ると、実際に音としては放たれていないのだろう。
見れば、縦に割れた瞳孔の美しいエメラルド色の瞳は、まさしくイヴの物であった。
聞こえてくる声も、ほとんどイヴの声である。
「ではイヴさんは、どうして、こんな姿に……?」
『ここまでくるのにこの方が早かったゆえにな。言っていなかったか?これが我の本性だ』
それだけ言うと、イヴはゆっくりと右手に抱えた白い何かを地面に下ろした。
それはとととっ、とイヴの手を抜け出ると、ぶるりと身体を震わせて、周囲を見回す。
『足が必要であろう。時間がなかった故に不充分ではあるが人化の方法だけは教えておいた』
そう言ってイヴの差し示すそれは、白い髪と黒い目を持った、人型のイヴであった。
どういう事だ、と首をかしげるルフィア達の中で、オルレニアが感心したように口を開く。
「……ウラガーンか」
『うむ』
そんなオルレニアの言葉を受けて、イヴは目を細めて自慢げな顔をした。
『我が竜でありながら人になれるように、古くから生きる動物は皆、馴染みある物へと姿を変えられる。どうだ、驚いたかルフィア』
そして目を白黒させるルフィアへもう一度顔を向けて、そう言った。
「こ、これが、ウラガーン、なのですか?」
『ああ、そうだ。人化には元となる者が必要ゆえに我が姿を真似させたが、其奴はウラガーンだ』
どうにも思考が追いつかない。
目の前にいる白いイヴがウラガーンであり、巨大な竜がイヴであり。
ロンバウトへ視線を向けると、ロンバウトは少し苦い笑みを浮かべてイヴに近づいた。
「イヴ、そろそろ人型に戻った方がいい。私やオルレニア様はなんとも思わないが、君の姿は威圧感があるんだ。
あと、ウラガーン君も、元の姿に戻ってくれたまえ。その方がルフィアさんも理解しやすいだろう」
『……わかった』
ロンバウトの一声でイヴは――渋々だが――少女の姿に戻り、きょろきょろとあたりを見回していたウラガーンが、巨大な狼の姿になる。
まるで絵が描き変えられる様に姿が変化する二人を見て呆気に取られながら、ルフィアは少しだけ安堵のため息を洩らした。
『人の体とは奇妙な物だな、ルフィア』
「わたしにはあなたのほうが奇妙ですよ、ウラガーン」
元の姿に戻るや否や、ウラガーンはルフィアに近付いて鼻を擦り付ける。
ルフィアはその頭を撫でながら、ウラガーンの言葉にそう返した。
「さて……さっきイヴが言った通り、これからの旅に移動手段が必要だろうということで、ウラガーン君をこちらの方で最低限の人化する方法を教えてから連れて参りました。いかがでしょうか?」
「助かる。我は構わんが、ルフィアに歩いての長旅は辛かろう故な」
ロンバウトが自信ありげに言うと、オルレニアが関心したように頷く。
食べ物も道具も、商会にあるもので必要なものはすぐに揃ったが、馬を得るのはそう簡単なことではない。
元々雑貨を扱うことの多いノーグ商会には、手の付いていない馬がいなかったのだ。
それで仕方なく徒歩での旅となった筈だったが、どうやらロンバウトたちの心遣いは想像を超えるほどだったらしい。
教えたのは我であろう、と多少不貞腐れた顔をするイヴの頭にロンバウトの手が乗ると、すこし表情が和らぐ姿が面白かった。
「おい、待ってくれ!」
ルフィアがイヴを見て表情を柔らかくしていると、誰かが大声でこちらを呼ぶ声が聞こえた。
「あれは……」
「ケビンと、山羊足の傭兵団長であるな」
目を細めて遠くを見ようとしたルフィアの横で、オルレニアが淡々と声を上げる。
走って来ている人影がひとつに見えるのは、ジョンと名乗るあの傭兵団長が、ケビンを抱えながら走っているからだろう。
あのたくましい山羊足ならば、たしかにケビンを抱えて走ったほうが速そうだ。
そんなことを考えている内にその人影はすぐ側に到達し、面倒くさそうな顔をしたジョンがケビンを丁寧に地に降ろす。
「どうして何も言わずに去ろうとするんだい!」
そして、ケビンがそう言った。
「貴様に挨拶など必要あるまい。ノーグ商会と関わりを持つのであれば、我らの居場所を知ることなど容易かろう」
「それは、そうだけどね……今回の件ではあれだけ迷惑を掛けたんだ。こう、最後の謝罪をする時間が欲しい」
「迷惑を掛けたという自覚があるのであれば、此処で我らを引き止めるな。今日中にこの林を抜けねばならんのだ」
「オルレニアさん。折角ですから、聞いてあげてもいいと思います」
ケビンの言葉に無情な言葉を返すオルレニアの袖を引いて、ルフィアはそう言った。
オルレニアはちら、とルフィアに目をやって、わかったと頷く。
「君たちをこうやって引き留めるのは申し訳ないと思っている。だけど、聞いてくれると嬉しい。
シルヴィアの前では格好つけたくてね、言えなかったから」
少し照れ臭そうにしながら、ケビンは謝罪と感謝の言葉を紡ぎ出した。
怪しげな依頼を受けてくれたこと、自分を殺さないで居てくれたこと、悪魔を倒してくれたこと。
そして、結果的にシルヴィアを助けてくれたことへの、感謝の言葉を。
「正直、僕はあのまま悪魔の言いなりになって、いつか殺される物だと思っていた。
依り代として『色の力』を奪われているシルヴィアも、助けられないだろうってね。
……これからも貴族としての立場的に、君たちと敵対しなければならない時もあるとは思うけれど、今回の件の恩は忘れない」
君たちの味方をする、と言わないのがケビンらしい。
一歩前に出て、差し出された手。
オルレニアを見ると、背中を押された。
「ありがとう」
躊躇いがちにケビンの手を取ると、彼は笑顔でそう言った。
胡散臭い笑顔ではない。
ぎこちなく、笑顔が苦手ということが一目でわかる苦笑いだった。
「おいおい、ケビン様。俺にも会話の時間をくれよ」
「……こんにちは、ジョンさん」
「おう、何日かぶりだな」
ケビンが手を離すと、その背後からケビンを押しのけるようにして、赤髪の傭兵団長 ――ジョンがルフィアの前に立った。
下半身をズボンで覆い、その上から皮の腰巻を巻いて輪郭を分からないようにしている。
彼はこうして山羊の足を隠すことで、人の世界で活動しているのだろう。
「俺は回りくどいのは嫌いでね。単刀直入に言うぜ。嬢ちゃ――ルフィア。アンタ、うちの傭兵団にくる気はねえか?」
ルフィアと目線を合わせると、ジョンははっきりと、なんて事のない言葉のようにそう言った。
一瞬、ルフィアの顔が驚きに固まる。
「アンタは強い。恐らくうちに来れば、それなりの名声を得ることも容易いだろうよ」
どうだ?と言わんばかりの笑み。
ルフィアは少し目を細めて、その顔に手の平を突きつけた。
「ありがたいですけれど、お断りします」
「ほう、理由を聞いてもいいか?」
「わたし、個人の傭兵ですので」
理由とも呼べない理由を受けて、ジョンは目を丸くする。
少し強引か、とルフィアは緊張するが、ジョンは大きく笑みを浮かべた。
「やっぱりそうだよなあ、良いじゃねえか!やっぱりそういう、なんだ。……誇りってのは必要だよな!」
「わかっていただけて何よりです」
「もともと無理だとわかってて聞いたのさ。邪魔したな」
ひらひらと手を振って――付き合いも薄い分、執着も薄いという事だろう。
ジョンはケビンの後ろに控えるように戻った。
「……そろそろ、出立するべきでしょう」
「ああ」
ロンバウトが空を見上げて、軽く頭を下げながら言うと、オルレニアが静かに頷いた。
「ではみなさん。ありがとうございました」
「迷惑を掛けた。ではな」
持ち前の明るい笑顔で礼をいうルフィアと、短い言葉だけを吐くオルレニア。
『行くか』
ウラガーンに跨ると、銀狼はゆっくりと走り始めた。
それは三、四と足を進めるたびに速くなり。
少しして振り返ると、外壁が小さく目に映る。
オルレニアと出会い、二週間ほど。
北の大地に訪れる春と共に、ルフィアは初めてヴァロータを離れる。
この旅が、きっと自分の成長に繋がると信じて。
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