第17話 崩壊

「どう……して………?」


 どうして姉さんがここに?


「……アルが………見え……た……から」


 ……そんな………


「はぁ、聖女様を殺すつもりはなかったんだがな」


 セネルがそう呟いた……まさか……


 嘘だろ⁉︎


 やめてくれ……幸せが……


 崩れる。


「やめ……て……くれ」


「嫌だね」


 ……


 そう言い、セネルは槍を……


 僕に再び赤い液体が降りかかる。


 あぁ……幸せが.……崩れた。


 そして……僕の心も………崩れた。


 殺す……


 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す


 絶対に‼︎


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"」


 僕は叫んだ。


「レペンス」


 神器を出す。


 これで、セネルを……


 絶対に許さない。


 許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない


 僕が、セネルに襲いかかろうとしたその時。


「止まれ」


 そう背後から声が聞こえた。


 ⁉︎


 あれ…体が.……動か……


「勇者様……」


 セネルが僕の背後を見て呟いた。


 え………


 背後を見ようとしても、体が動かない。


「ご苦労だったなセネル、あとは任せろ」


 ……あいつの声だ。


 龍次…僕を殺したやつの一人。


「はい、了解しました」


 そうして、セネルはどこかへ行った。


「久しぶりだな、裕也、いや今はアルフレインだっけか?」


 あいつが僕の目の前に来た。


 やっぱりこいつ…あの頃から、変わっていない。


「よぉ、久しぶりだな」


 僕を殺した時と同じ笑いを浮かべている。


「きっさ…まぁ……殺してやる」


 こいつのせいで…父さんと母さんと姉さんが……


「なんだ、久しぶりの再会なのに、まぁ出来るもんならやってみろよ、ほら早く」


 体が動けば、こんなやつ……


「くっそぉぉぉ……絶対に許さないからな」


「許さないか、うーんどうしようかなぁ…殺すつもりはなかったんだけどな、死ぬか?」


 悔しい。


「ほかの…奴らは……どうした」


 こいつ以外の三人はどこかに隠れているのか?そう疑問になり聞いてみた。


「あ?あいつらか?あいつらは今それぞれ遊んでるんじゃないか?」


 遊ん…でる?


 じゃあ、こいつ一人のせいなのか。


「なんで……こんなこと……」


「なんでって、そりゃあ、ねぇ?」


 …クソ野郎が。


「……面白いだけで…人を殺すのか?」


「いや、それは違うぞ」


 は?


「じゃあ……」


 どういうことだ?


「お前を不幸にしたいから殺した、それだけだ」


「こい……つ……」


 今すぐに殺してやりたい。


「それじゃあ、お話はここまでにして、さよならするか」


 ……ダメか…もう。


「……呪ってやる」


「してみろよ、タイム」


 そう呟くと、刀のような神器が出てきた。


 タイム…か。


 花の名前なら…花言葉は勇気……か……矛盾している。


 そして、龍次は刀を僕に振り下ろした。


 あぁ、今度こそ、終わりか。


 ごめん、父さん、母さん、姉さん……僕、何も出来なかった……


 そして……復讐すら……


 その時、一人の少女の声がすぐ側から聞こえた。


「テレポート」


 …テレポート?


 そして、僕と謎の少女はその場から消え、龍次だけがその場に残った。


「チッ……逃げたか、まぁいい、俺がお前に地獄を見せてやる」


 龍次は、地面に横たわる三つの人だったものを見つめ笑った。

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