第14話 模擬戦終了

「はぁ?棄権する?」


「まぁ、聞いてよ、僕たちが棄権しても君が勝てばいいんだ」


 そんな話か?


「いやいや、なんで棄権するの?」


「じゃあ、本気で戦ってもいいの?」


 本気ってなんだろう?


「本気って?」


「つまり、神器使ってもいいの?」


 ……別にいいんじゃないか?見た目は普通の武器なんだし…僕のはちょっと禍々しいけど。


「いいんじゃないか?相手が死ぬわけでもないし」


 相手に怪我がなければいいんだ。


「死ぬよ?」


 ……え?


「守られてるんじゃ…」


「それは、ちゃんとした場所ならね、練習場所じゃあ多分無理」


 ……まじで?


「力を抑えるとか…」


「いやだ、つまんないもん」


 ……わがままかよ。


 ……はぁ。


「レイナとカレナが負けたら終わりだぞ?」


「大丈夫、もう勝負がつくから」


 え?どういうことだ?


「ほら……あの姉妹って対人なら最強じゃないかな?」


 そう言って、ジャックが指をさした方では、レイナがトミーにとどめをさしていた。


「ね?」


 ……




「……まじかよ」


 本当にジャックは棄権をしていた。


「何ブツブツ言ってんだ?雑魚が」


 …無視。


「それでは、三回戦、ファイト‼︎」


 …三回戦が始まった。


 とりあえず、僕は相手の初手を見ることにした。


「グランドソード‼︎」


 無詠唱⁉︎


「うぉ⁉︎」


 地面が盛り上がり剣のような形になった。


 すごい……当たったら痛そうだ。


「やれ、ぶっ殺せ‼︎」


 セネルが命令すると剣がこちらに来る。


 思ったより速い。


 ……ならば。


「ウィンドガード‼︎」


 こちらも無詠唱で返す。


 土の剣は、風の壁によって弾かれる。


「チッ……なぁ」


 セネルが話しかけてきた、精神攻撃だろうか?


「なんだ?」


「お前って本当に馬鹿なんだな」


 ⁉︎


 そう言うと、僕の真下から、剣が出てくる。


「なんで、さっきので終わりだと思うのかな?」


 くっそ、油断した……


「ガハッ」


 やばい、モロに食らった。


 僕は真下から出てきた剣によって空中に投げ出される。


 痛い……投げ出された僕はそのまま地面に叩きつけられる。


 ぐぅ…


 というか、やばい‼︎早く起き上がらないと……


「逃がすわけ無いだろ」


 ダメか…


 くそ、腕と足を封じられた……


 そして、セネルは僕の頭を踏みつけた。


 痛い‼︎


「やべぇ笑いが止まんねえ、こんなのが首席かよ、まじで雑魚じゃねぇか、なんでこんな雑魚がこの学校にいるんだよ」


 セネルは喋ってる間にも僕の頭を踏みつけてくる。


 くっそ……踏みつけられて、反撃ができない。


「なんだその目は、無様だな、そんな雑魚だったら誰も守れねぇぞ、家族も兄弟も仲間もなぁ‼︎」


 …プツリ


 僕の我慢が切れた。


 ……本気でやろう。


「レペンs「そこまで‼︎」


 ……え?


「あぁ⁉︎なんでだよ?」


 セネルが先生に文句を言っている、まぁそうだろう、勝っていたのだから。


「それはですね、ジャック君が」


 ジャックが?


 どうして?


「ふざけんな、なんで止めるんだよ‼︎」


 セネルが怒るのはもっともだろう。


「なんでって……止めないと君が死ぬから?」


 ……え⁉︎


 あ…神器……


「は⁉︎馬鹿じゃねえのかお前、今まで何を見てきた?」


「……止めなきゃ本当に死んでたよ?」


 ゾクッ


 ⁉︎


 冷たくて低い声だ……こんな声も出すのか……


「……………」


 セネルは言葉に押されて何も言えてない。


「止めてよかったよね?」


「………チッ」


 どうやら、諦めるようだ。


「先生、ジャッジを」


 セネルの勝ちだろうか?


 あの時点まで普通に勝ってたし。


「両者引き分け‼︎」


 …そっか、ジャックがなんか言ってくれたのだろう、まぁ良かった……


 こうして、三回戦が終わった。


 そして、練習場所から出る際、ジャックに呼び止められた。


 どうせ、あのことだろう。


「……殺したかった?」


 やっぱり…けど止めてくれたおかげで僕は助かった。


 その質問に僕は。


「いや……止めてくれてありがとう」


 それしか言えなかった。


 それから数日後……



「さぁさぁ、盛り上がってきました‼︎」


 魔法大会、準決勝になりました。


 この大会までに練習などをしてみんな強くなりました。


 姉さんは、開会式の時に紹介されてたけど、あいつらはまだ来てないようだ。


 今は、二回戦でシーナとジャックペアが戦ってます。


 一回戦で、レイナとカレナが勝ったからこれを勝てば決勝なんだけど……


「おぉーっと、Dクラスのジャック選手の攻撃でフィニッシュだ‼︎」


 ジャックがめっちゃ強いです。


 まぁ、ジャックは神器使ってるけど……


 ジャックの神器はトランプ?みたいな形をしている。


「この大会、Dクラスはハストレイ姉妹、ジャック選手の謎の武具により個人戦までに行かず勝ち上がっています、このまま決勝も個人戦まで行かずに勝ってしまうのか⁉︎」


 やっぱり神器とは見られてないみたいです。


 というか……なんかすごいことになりました。

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