第13話 模擬戦
僕達は、対人戦ができる場所に向かっていた。
ただ、気になることがある。
「ねえ、レイナ、カレナ、その手に持ってるものは何?」
そう、二人が刀のようなものを持っていたのだ。
「……武器?」
うん、それは僕にもわかる。
「これはな、班長、私たち姉妹の愛用武器なんだ。これにエンチャントして戦うってわけ」
あれ?レイナってエンチャントできるの?
「レイナって、この前は普通に魔法使ってたけど……」
「……その時は、修理に出してた」
何をしてそうなったのか聞きたかったが、我慢した。
「……そうなんだ」
そうこうしているうちに、目的の場所に着いた。
「ここが、練習場所」
大きい。
「……大きいね」
本当にでかい、いくら使ってんだろう?
その時、後ろから声が聞こえた。
「おいおい、お前らもここにきてんのかよ」
セネルだ。
「セネルたちこそどうしてここに?」
「あぁ?セネル様だろ?偽物の首席さんよ」
……むかつく、マジでムカつく。
「……アル、こんなやつほっといていこう」
……レイナ、そういうのはもっと静かに言おうよ。
「あ⁉︎誰がこんな奴だって?雑魚がほざくなよ」
……あ、やっぱり聞こえてた。
「雑魚はあんたたちでしょ?」
カレナ⁉︎
おいおい……
「じゃあやるか?」
「良いけど?」
……もういいや、どうにでもなれ。
「話は聞かせてもらったよ」
先生⁉︎なんでここに。
「どうしているんですか?」
「なんか、こっちに面白そうなことが起きそうだったから」
……先生。
先生って仕事無いのかな?
「じゃあ、先生、ジャッジ頼んでもいいですか?」
……カレナ。
なんとも思わないのか。
「いいけど、ルールはどうするの?」
「そりゃあ、本番と同じ感じだろ」
……セネル、お前もか。
「了解した」
……はぁ。
こうして、紅白戦が始まった。
「……班長、すまん」
「いいよ、気にしないで、僕もちょっとムカついてたから」
「そうか……」
一回戦…どうしよう、誰に行かせよう?
「班長、まず私たちが行っていいか?」
レイナ…助かる。
「わかった、お願いするよ」
「当然だ、元はと言えば私のせいだからな、絶対に勝ってくるよ」
この試合は、ペアが2回行われて個人をするから、残りは決定だな。
「じゃあ、班長、行ってくる」
「アル……まかせて」
「うん、怪我だけはしないでね?」
第一回戦
僕達は、応援席に来ていた。
「へー、凄いねこんな感じになってるんだ」
中は、なんというかコロッセオみたいな作りになっていて、応援席とステージ?の間に透明な膜が張ってある。
「そうだよ、中から音が聞こえないし、中も外の音が聞こえない」
ジャックか。
「この膜は何?」
「中からも外からも魔法を通さないようにしてる」
…なるほど、無いと危ないよね。
「そうなんだ、あ、始まるみたい」
どうやら始まるみたいだ……対人戦は初めて見るな。
おっと、まず レイナとカレナがエンチャントをした。
相手は…あぁ、あの二人か。
トミー(だっけ?)は、地面を盾のようにしていて、アリー(だよな?)はその盾の後ろにいる。
なんでだ?と思っているとジャックが説明してくれた。
「男は盾を作って相手の初手を止める気、女は多分回復魔法」
なるほどな。
周りには誰もいないし、中には声が聞こえないみたいだから、聞いてみるか。
「ねぇ、前から聞こうと思っていたんだけど、どうしてジャックは色々知ってるの?僕のことも他の人のことも」
「それは、君と同じだから」
どういうことだ?僕と同じ?
「同じってどういうこと?」
「君は復讐って言えばわかりやすいかな?」
⁉︎
やっぱり、分かってたか……ジャックには嘘は意味がないだろう。
「うん、そうだよ、僕は復讐すべき相手がいる」
「僕と同じってことは…」
「僕?僕は嘘だよ」
嘘?
「嘘って……どういうこと?」
「それは秘密、ただそれのおかげでいろんなことが分かるようになった」
人の本音とかだろうか?
というか、今更だが口調とかなんか違う気がする。
しかも、こんなに喋るんだな。
「それじゃあ、なんで首席じゃないの?普通、優れたものにしか能力はいかないんじゃ……」
「それはもちろん騙したから」
「騙した?」
「そう、自分の力を騙してギリギリ入れるようにした、まぁ君と同じクラスになったのは偶然だけど」
「そんなことができるのか?」
「うん、できるよ、人の心を読むこともね」
…復讐って何かできるのかな?
呪うとか?なわけないか。
「じゃあ、読んでみてよ」
「それじゃあ、何か考えてみて」
……そうだなぁ、ん?
というか、シーナはどこに行った?
「シーナさんなら、監督のところに行ったよ」
……おお。
「凄いな、というかなんで?」
先生のところへ行く用事なんてあっただろうか?
「棄権するから」
……は⁉︎
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