第11話 再開

 僕は今、街の中心のようなところに来ています。


「ねえねえ、アル君、アル君はどこに行きたい?」


「うーん…どこになにがあるかわからないからな」


「じゃあ、イロイロ見てまわろうよ」


「うん、そうしよう」


 こうして、僕たちはいろいろ見ることになった。


 …その日の帰り。


「アル?」


 僕は誰かに呼び止められた、この声…どこかで…


 僕が振り向くとそこに。


「ね…姉さん⁉︎」


 姉さんが居たのだ。


「なんで⁉︎ここに」


「いやぁ、今度、魔法大会でいろいろすることになっててね」


「姉さん…勇者と冒険するんだよね?」


「あれ?もう知ってたのか、驚かそうとしてたのに…ところで、そこの女の子は…彼女?」


「ち、違うよ、紹介するよ、魔法学校で一緒のクラスになった、シーナ=メロード、あと僕が居候させてもらってる家の娘さん」


「…………」


 あれ?


「おーい、シーナ?」


「聖女様⁉︎」


 うぉお⁉︎びっくりした…


「その名前で呼ばれるとね…」


「だ、だって私たちの憧れですもん、というかアル君⁉︎聖女様とどういう知り合いなの?」


 あれ?言ってなかったっけ?


「ルフナ=レオーネは僕の双子の姉さんだよ」


「え⁉︎」


「初めまして、シーナちゃん、アルがいつもお世話になってます、あと私のことを呼ぶ時は、ルフナでいいよ」


「えぇ⁉︎」


「よろしくね、シーナちゃん?」


「は、はい…ルフナ…ちゃん」


「うん、同い年だから、ちゃんのほうがいいよね、あ、シーナちゃん、デート中悪いんだけど、アルを借りてもいいかな?」


 デートじゃないって…


「は、はい大丈夫ですよ」


 反論…はない方がいいか。


「ありがとね」


「い、いえ、じゃあ、アル君先に帰ってるね」


「うん、ごめんね急に」


「いやいや、大丈夫だよ」


 ひとまず、シーナと別れた。



 シーナと別れた僕たちは、姉さんに誘われてある店に入った。

 そこに入ると、個室に案内された。

 …姉さんすげえ。


「ごめんね、デート中に」


「だから、デートじゃないって…というか姉さん何か用があったの?」


「いや、特に用事はないけど、この町に来たら、アルを見かけて、話しかけたって感じかな」


「そっか、でも、ほんと久しぶりだね」


「うん、そうだね三年…かな?ところで、アルはあれから強くなったのかな?」


「…わからないけど、魔法学校で首席になれたから多少は強くなったと思う」


「へー首席かぁ…すごいじゃん」


「ありがと、けど、不安もあるんだ、僕が首席でもいいのかな?」


「そこは自信を持ちなさいよ、私の弟なんだから」


 …そうだよな、自信を持たないと。


「うん、そうだよね、ところで姉さん」


「ん?どうしたの?」


 僕はどうしても聞きたいことがあった。


「勇者って、どんな人たちなの?」


 そう、これだ、あいつらはこの世界でどんなやつなのか知りたい。


「うーんっとねぇ…強いけど、怖い人たちかな」


「怖い?」


「うん、何か焦ってるような…まぁ私が思っていた勇者様ではなかったかな…」


 …あいつらが、焦ってる?


「なのに、どうして一緒に冒険なんかしようと思ったの?」


「うーん、それが私の夢だったからかなぁ」


「そっか…」


「ねぇ、アルさ、魔法大会で優勝してよ」


「え?なんで?」


「だって、そしたら一緒に冒険できるじゃん」


 やっぱり知ってたか…


「そうだけど…」


「だけど?」


 …勝てるかわからない、とは言えなかった。


「ううん、なんでもない、わかったよ」


「じゃあ、約束ね」


「うん」


「久しぶりに話せてよかったよ」


「うん、僕も」


 こうして、姉さんとの再会は終わった。



 家に戻ると、興奮したシーナがいた。


「ねぇ、アル君の姉さんって凄い人だね‼︎うわぁ、あの聖女様と知り合いになっちゃったよ‼︎」


「うーん、僕もあんな美人になってるとは思わなかったな…」


「え⁉︎あんなにっていうと…アル君とお姉さんってそんなに会ってなかったの?」


「うん、僕が七歳の時に別れたから…約三年かな」


「そうなんだ…ごめんね」


「え、なんで謝るの?」


「私がいなかったらもっと話せてたかもしれないし…」


「いやいや、シーナが出かけようって言ってくれたから、姉さんに会えたんだよ、ありがとうね」


「えへへ…あ、そういえば、目標って決まった?」


 目標か…


「うん、決まってるよ」


「そっか、目標ってなに?」


「いや、言わなくても明日言うんだからさ」


「そっか」


「シーナ、アル、ご飯よ」


「「はーい」」


「アル君、行こ」


「うん」


 目標か…僕の目標は、決まっている…アルフレイン=レオーネとしての目標は…

 けど、本当の僕の目標はなんだろう。

 復讐して…それで終わりなのか?

 …僕は今のこの生活が幸せだ、姉さんがいて、シーナがいて…みんながいて…僕はこの生活を失いたくない。

 けど…復讐をすれば…必ずこの幸せは壊れる…

 僕はどうすれば……

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