第10話 班長

 …溶けた場所は、ジャックに直してもらいました。


 …ありがとう、ジャック。


「それじゃあ…どうしようか?」


「「「うーん…」」」


「あ!先生」


 ちょうどいいところに先生がいた。


「ん?アルフレイン君?どうしたんだい?」


「えっと、とりあえず、班の人たちで、魔法を見せ合ったんですけど…その次に何すればいいのかわからなくて」


「ふむ、なるほど…目標を決めるなんてどうかな?」


 ‼︎‼︎


 その手があった‼︎


「ありがとうございます」


 た、助かった…


「目標を決めてたほうがいいからね、どうせ授業なんてないし」


 …ん?

 なんか、聞き捨てならないことが聞こえた気が…


「先生…授業が無いってどういうことです?」


 学校なのに授業が無いとかありえないだろ。


「え?普通は知ってる事だけど?」


「え⁉︎」


「皆さん、知ってますよね?」


 …みんなは、首を縦に振った……まじで?


「えっと…先生……」


「もしかして、アルフレイン君は、この学校についてよく知らないのかな?」


 …そういえば知らない…姉さんがこの学校が良いからって言ってただけだ。


「はい…すみません」


「いやいや、謝ることではないよ、じゃあ、説明するけど…時間かかるかもよ?」


 それは、待ってくれている、みんなに悪い。


「あー、みんな、僕、先生にこの学校について説明してもらうから、今日はもう解散で、あと明日までに目標考えておいて」


「明日は休みだよ?」


 まじかよ⁉︎


 …知らなかった。


「えっと、じゃあ明後日まで」


 こうして、みんなには先に帰ってもらった。


「じゃあ、一回教室に戻ろうか」


「はい…ありがとうございます」



「じゃあ、アルフレイン君はどこまで知ってるのかな?」


「魔法の学校までです…」


「………なるほど」


 ……本当にごめんなさい。


「じゃあ、簡単に説明するね」


「まず、この学校は、魔法を扱う学校で、国の中ではトップクラスの学校だ。さらに、人気の秘密は、授業がなくのびのびと生活できる学校方針にある。そして、目玉といってもいいのが、新入生魔法大会」


「魔法大会?」


「そう、全八クラスで争うトーナメント式の大会だ」


「どうやって争うんです?」


「倒せば勝ち」


「…倒せば勝ちっていうと…怪我はしないんですか?」


「そこらへんは、ちゃんと配慮してるよ」


「それで、えっとその魔法大会で勝つと何かあるんですか?」


「よく聞いてくれた、なんと、クラス全員で勇者様とモンスターを倒せる合宿に参加できる」


 …………勇者。


「そう……ですか」


「ん?嬉しそうじゃないね?」


「え⁉︎いや、嬉しいですよ」


「さらに、今回はある人が参加するから入学希望者が増えたんだけどね…」


 ある人?


「ある人って誰ですか?」


「聖女様だよ、ルフナ=レオーネ」


 姉さん⁉︎


「そ、そうなんですか」


「可愛いって凄いね…そういえば、アルフレイン君もレオーネだったよね?関係があるのかな?」


「…姉さんです」


「ほー、そうなのか、それならばアルフレイン君も優勝狙わないとね、姉さんに負けたくないでしょ?」


 …嫌なところをついてくる先生だなぁ。


「…そうですね」


「あ、魔法大会は、個人が二人、ペアが四ペアだから」


「え?」


「個人は班長がやるから、アルフレイン君とセネル君だね、ペアは、班長がメンバーを組み合わせてよ」


 急に凄いことを言ってくる人だなぁ。


「…わかりました」


「うーん、魔法大会の話が伸びちゃったね」


「すみません…僕のせいで先生の時間を取ってしまって…」


「いやいや、いいんだよ、まぁわからないことがあったらまた何時でも聞いてくれ」


「はい、ありがとうございます」


「ん、気をつけて帰るんだよ」


 こうして僕はメロード宅へ帰った。


「おかえりアル、今日一日どうだった?」


 ジェイクさんだ。


「楽しかったです…けど…」


「けど?」


「学校の事よく知らなくて先生に教えてもらいました」


「そうなのか、いい先生に選ばれたんだな」


「あ、アル君おかえり、パパ聞いてよ、アル君が首席で私が副席だったんだよ‼︎」


「ほう‼︎それはすごいじゃないか‼︎パパも鼻がたかいぞ」


「えへへ…そうだアル君、明日って何か用事ある?」


「え?特に用事はないけど…」


「じゃあ、明日この街を案内するよ」


「え…」


 デート?

 あ、ごめんなさい嘘です。


「迷惑だった?」


「ううん、嬉しいよ、じゃあお願いしてもいいかな?」


「うん‼︎」


 こうして、忙しい一日が終わった…明日も忙しくなりそうだけど…


 あと、目標も考えておかないとな…目標…か。

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