第9話 魔法紹介

 それから僕らはそれぞれの班に分かれた。


「うーん…じゃあ、もう一度自己紹介みたいな事する?」


 僕は、みんなにそう提案した。


「いいんじゃないか?でも、また自己紹介ってのはなぁ…」

 カレナさんだ。


「そうだなぁ、じゃあお互い魔法を見せるっていうのは?」


「そうしようよ!」


 こうして、僕たちは、魔法を使っても被害が出ないようにと、外へでた。


「うーん、じゃあ誰からやる?」


「…私からする」

 レイナさんだ…やっぱり物静かな人だ。


「じゃあ、レイナさんよろしく」


「うん…だから離れて…あとレイナでいい」

 …デレ?いやなんでもないです。


 そう言うとレイナは魔法を唱えた。


「魔法展開…ウォーターショット」


 そう言うと、水の玉がでた。

 おぉ…というか…はやっ‼︎

 その水の玉はめちゃくちゃ速かった。

 時速200kmはあるじゃないか?


「さっすが姉さん、岩に穴を開けただけあるな!」


 …岩に?穴を?

 …それを人にやったら…想像しただけでも恐ろしい。


「じゃ、じゃあ次は…」

 お、落ち着け、僕!


「私がするよ、あ、先に言っておくカレナでいいからな」


「うん、わかったよカレナ、じゃあよろしく」


「ふぅ…魔法展開…イフリートエンチャント」


 そう唱えると、カレナの右足に炎が集まった。

 へぇー、魔法の付与ってできるんだ。


「ふっ」


 ドォォォォォォン‼︎‼︎‼︎‼︎


 …右足を地面に向かって蹴ったと思ったら、隕石がぶつかったような衝撃が起きた。

 熱い⁉︎衝撃で出た風が熱い⁉︎


「…さすが」

 背後から声が聞こえた。

 レイナ…僕を盾に使ったな。


 というか、さすがって…

 …この姉妹って……恐ろしい。


 カレナがこっちに戻ってきた。

「あー、班長、どうしようか?地面にクレーターができたんだけど?」


 カレナ…お前のせいだろ……てか班長って…


「なおす」

「えっ⁉︎」


 そう言うとジャックは魔法を唱え始めた。


 ジャックは小声で唱えたが、僕には聞こえていた。


「サクリファイス…リセット」


 そう唱えると、地面が元に戻った。


 …ティーネ、何者?この人。


 なんで……サクリファイスを…


『うーん…アルみたいにじゃなくて、ルフナみたいな感じかな、加護というか…』


 姉さんみたいな?ともあれ只者ではないよね?


『まぁ、加護を受けれるだけの能力があるってことだからね』


 …そうこうしてるとジャックがこっちに来た。


「大丈夫、誰にも話さないから、君のことも、左目の秘密も」


 ⁉︎


 …なんで⁉︎なんでばれてる?どうして?何か間違えた?どこで?


『アル、落ち着いて、もしかしたらそういう能力かもしれない』


 ……そう…だよな……。


『落ち着いた?』


 うん、ありがとう、ティーネ。


『どういたしまして』


 どうすればいいと思う?


『うーん、さっきの感じだと被害なさそうだしほっておいていいんじゃない?』


 わかった。


「ジャック、凄いな、元に戻せるなんて」


「うん、直すの得意だから」


 なんか、秘密がありそうだな。


 それより、周りに怪しまれなかったか?


「私は回復なので…」

「…班に一人は必要…助かる」

「ま、シーナちゃんはまた今度でいっか」


 …よかった、怪しまれてないようだ。


「じゃあ、次は僕だね」


 …僕は、あの日から魔法展開ができなくなった…その代わりにサクリファイスを使うことになった。

 さっきのジャックの時は聞こえてなかったみたいだけど、サクリファイスって聞こえるのはまずい…

 僕は小声で言った。


「サクリファイス…イフリートレイン」


 そして、周りに出た火の玉を一つにして地面に落とした。


 ジュウウウウウウウ……


 …あ。


「「「溶け…た?」」」


 やっちまった…


 僕の元にジャックを除くみんなが集まってくる。


「アル君、さっきの火の玉どのくらい熱いの?というかアル君って」

 シーナ…ジト目って…

「アル、お前って…」

 …カレナ、そんな目で見ないで。

「…アルって」

 …ごめんなさい。

「「「化け物?」」」


 …まさかこんなことになるとは。


 そんな中、僕は、腹を抱えて笑っているジャックが見えた。

 ………あとで、校舎裏によびだそう。

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