第6話 反撃と神器と出発

 そして、再び時が動き始めた。


「力を使えるようになったってどういうこと⁉︎」


『私の力の一部を使えるようにしたってこと』


 …声は聞こえるが、姿が見えない。


「え…どこにいるの?ちょっと助けて」


 そうしていると、魔物がこちら向かって走ってくる。


「やばい‼︎…魔法展開‼︎」


 ………


「ダメだ、魔法陣が出ない‼︎」


『じゃあ、サクリファイスって言ってみて』


「サクリファイス‼︎」


 その時、僕は誰かの声が聞こえた。



 …サクリファイス起動します。


 起動にあたり自己犠牲開始………中断します。


 ティーシポネーと契約済み…能力発動。


 能力:復讐者発動


 神器生成…完了


 神器名:デスサイズ


 …登録完了



「…デスサイズ?」


『そう、それが私の能力の一つ、神器デスサイズ』


「…それってどうやって出すの?」


『その神器に名前をつければいいのよ』


「デスサイズじゃなくって?」


『違う違う、新しい名前をアルが付けて』


 …何にしようか…ってやばい魔物がすぐそばに来てる⁉︎


 ……………


「…レペンス」


 そう言うと僕の右手に、禍々しい大鎌が現れた。


「これが…神器…」


『そうよ、その神器を使って魔物を倒して』


 僕は、目の前まで迫って来た魔物をレペンスで切ってみた。


 スパッ


「え…」


 すると、魔物は真っ二つに切れた。


「強すぎる…」


『そりゃあ、まあ神器だからね』


 神器というのはなんというか武器というより兵器という感じがした。


 というか…


「ティーネこれってどうやってしまうの?」


 ,…しまい方がわかんない。


『ティーネって誰?』


「ん?君の名前」


『なんで?』


「だって、名前がないと呼びにくいし、ティーシポネーっていう名前からもじったんだ」


『…まぁいいわ、神器は、手から離れれば消えるわ』


 僕がレペンスを離すとレペンスは地面に吸い込まれるように消えていった。


『というか、私の名前がわかったのね』


「うん、サクリファイスを使ったら分かったんだ」


 それと、気になることも聞こえた。


「あと、自己犠牲とか復讐者とかも聞こえたんだけど…どういうこと?」


『それは…サクリファイスの反動みたいなものなの』


『えっと、まず自己犠牲から、サクリファイスを使ったら自己犠牲といって何かを失うものが発動するの、例えば、下半身を無くすとか…でも、私と契約をしたから、不必要になったの』


『復讐者っていうのは、私の二つ名みたいなものよ、つまり私は復讐の神ってこと』


「復讐者…復讐の神…?」


『そう、アルをこの世界に連れてきたのもこの私、復讐の神だからね』


「復讐…そっか、ありがとう」


『え⁉︎なんで感謝するの?』


「そりゃあ…この世界であいつらに復讐できるから?」


『ふふふ、アルって面白い人ね、ところで前の世界での名前の方がいい?』


「いや、アルでいいよ」


『それと、なんで神機の名前がレペンスなの?』


「えっと、それはね、前の世界である花の名前の一部なんだ、その花言葉に復讐っていうのがあるんだよ」


『そうなんだ、というかそろそろ帰らなくてもいいの?』


「え…やっば!帰らないと」


 やばい…急がないと…


 それと、父さんに話したいことがあるし…


 -------


「…ただいまー」


「遅い、こんな時間まで何をしていた?」


「父さん…ごめんなさい…魔法の練習を…」


「じゃあ、なんで服がそんなに汚れている?所々破れてるし」


 僕は言い訳ができそうにないので魔物と戦ったことを父さんに話した。


「実は…」


「なに⁉︎魔物と戦った?」


「うん」


「魔物って…アル、大丈夫だったのか?」


「うん、ちょっと危なかったけど、倒せたから…」


「倒した⁉︎」


「うん、それと…父さん、僕、十歳になったら王都に行きたい」


「聞きたいことが沢山あるが…どうしてだ?」


「僕、みんなを守れるぐらい強くなりたいんだ…だけど…今日魔物と戦ってこのままじゃいけないと思って…だから、王都で魔法の勉強がしたい」


「十歳なったらって…魔法学校に行くつもりか?」


「うん、姉さんが十歳になったら、王都にある魔法学校に入学できるって…前に話してくれて…」


「アル、それは本気で言ってるんだよな?」


「うん、本気だよ」


「…はぁ、分かった、ママには俺が言っておく、それともアルがママに話すか?」


「いや、父さんが話して…あと、ありがとう」


「僕はもう寝るよ…今日は色々とあったから」


「あぁ分かった、パパが話そう…それと、おやすみ」


 -------


『…王都に行くの?』


「うん、勉強したいからね」


「今、僕が七歳だからあと三年後だけどね」


『そっかぁ、私も楽しみだなぁ』


「ついてくるの?」


『そりゃあ、アルの半分は私みたいなものだし』


「そっか…じゃあ、これからよろしく、ティーネ」


『あ』


「どうしたの?」


『あんまり外で、私に話しかけないようにしないとね』


「なんで?」


『そりゃあ、周りから見たら独り言だもん』


「………あ」


『あと、それまでにもっと強くならないとね』


「うん、僕は強くなるよ、あいつらよりも、もっと」


 -------

 …三年後


「じゃあ、行ってきます!」


「「行ってらっしゃい!」」


「「にぃに、行ってらっしゃい」」


『ついにこの日が来たね』


「あぁ、そうだな!」


「アル、何話してるんだ?」


「あ、いやなんでもないよ」


『いきなりやっちゃったね』


「…………うん」


僕は十歳になった、これから王都へ行って魔法学校に入学する予定だ。

僕は強くなる…復讐のために。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る