第13話 再会

 あの時の僕は……


『ねぇ、彰人、異世界ってあると思う?』


 あの日、佐奈は僕に聞いてきたんだ、異世界は有ると思うかって……


『異世界? なんで急に』


『いや、別に意味はないかな、ただ……』


『僕たち高校生だよ? 現実的に考えるとないと思うな』


 僕はその時は信じなかった異世界なんて……


『……そうだよね』


『まぁ、そんなことよりどこに行く?』


『どこでもいいなぁ、彰人となら』


『なにそのセリフ、まるで僕たちが恋人同士みたいじゃないか』


『ふふ、そうだね……痛っ』


 その時、佐奈は急に頭が痛いと言い出したんだ……


『え? 大丈夫?』


『う、うん……大丈夫、ちょっと休んでいいかな?』


『わかった、じゃあそこのベンチに座ってて、何か飲み物買ってくるから』


『うん……彰人ありがとね』


 その時の佐奈は……何故か悲しそうな表情をしていた。


 そして、僕が自販機で飲み物を買ってそこに戻ると……


 佐奈はいなくなっていた……





「………どこだここ?」


 僕が目をさますとよくわからない場所にいた、ある物は机に椅子に黒板……ここは高校の教室か? 懐かしいな、いつぶりだろう……あれ、ところでさっきまで僕って何をしてたんだっけ?


 ……あ‼︎ ドラゴンと戦ってたんだ……なのになんでここに?


「彰人?」


 僕は聞き覚えのある声が聞こえた……この声は。


 僕は振り向いた……


「……佐奈、どうしてここに」


 そこには、あの時僕のせいでいなくなった佐奈がいた。


「久しぶりなのに……それが第一声? まぁどうしてかっていうと私はここの人間だから?」


 え⁉︎ どういうことだ? ここの人間?


「ここの人間ってどういうこと?」


「だから、私はこの世界の人間ってことだよ」


 え、どういうこと? わからない、混乱してきた。


「……この世界ってどの世界なの? 僕が前にいた世界なのか、それとも転移した世界なのか」


「どっちもちがうかなぁ、ここの世界は私の世界だよ」


 私の世界?


「……どういうこと?」


「彰人ってイルティーっていう言葉知ってるんだよね?」


 なんでその言葉を佐奈が知ってるんだ? イルティーってあの世界の人が使う言葉なのに……


「知ってるけど……それはあの世界に転移した人のことを言うんだよね? なんでそれを佐奈が知ってるの?」


「なんでって……私もイルティーだから?」


 え? どういうこと? 佐奈がイルティー? じゃああの時いなくなったのは……


「え……でも、佐奈は……あの世界に……」


「まぁ、簡単に言えば、私の能力は時空転移みたいなものだから」


 時空転移? どういうことだ? 時空転移なんてありえない……


「そんな……時空転移なんてありえない」


「彰人の魔法が効かないのもありえないと思うけど?」


 え……なんで僕の能力を……


「佐奈がイルティーって……いつから?」


「君に出会った時はすでにイルティーだったよ?」


 どういうことだ? 僕にあった時から⁉︎ じゃあ……


「だったらなんで佐奈はあの時消えたんだ? というか、消えたのは能力のせい?」


「それは……言えない、ただ消えたのは能力のせい……そしてあの世界に彰人を転移させたのも、私」


 佐奈が僕を⁉︎


「……どうして僕を?」


「それは……」


「というかあの時なんで能力を使ったの⁉︎ 僕は……君がいなくなったと思って…… 僕はあの時……君のことが……」


 感情を抑えれない……


「私を助けに来てよ」


 ‼︎


「え⁉︎ どういうこと?」


「私は時空転移の能力を持ってる、なのになんでここにいるのかわからないの?」


 え? 好きでここにいるのでは? もし嫌でここにいるのなら……


「……この世界から動けない?」


「そういうこと……だから君を呼んだ」


 そうだったのか……


「……どうして?」


「彰人を呼んだ世界でちょっとあってね……」


「僕はどうすればいいの?」


「彰人がもっと強くなって、イルティーで集まった国の王に勝ってよ」


「その王に勝てば佐奈はこの世界から出れるの?」


「……多分ね」


 そうか……


「わかった……やるよ僕」


「頼りにしてるよ……今回はごちゃごちゃになったけど次会った時は詳しく話すから……それじゃあ、また」


 別れ……か。


「また会えるのかな?」


「私はこの世界から出れないけど、彰人ならこの世界に呼べるから」


「どうして?」


「それは……私の能力かなぁ」


「どんな?」


「想ってる人ならどんな状況でも呼べれ……………」


 ……………………


「またね」


 そう言われ、僕の視界は暗くなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あ、僕魔法が効かないみたいです シマの紙 @shimanokami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ