第12話 ドラゴン再び

 なんでまたドラゴンが⁉︎


「……なんでしょうかこの声」


 レイカが聞いてくる、ドラゴンの声を聞いたことがないのだろう。


 というかさっき村の誰かが叫んでいたんだけど……


「この声はドラゴンだ、僕ちょっと行ってくる」


「待ってください‼︎ 私も行きます」


 レイカはついてくると言った。


「……危険だぞ」


「攻撃は任せてください……本気で行くんで」


 レイカの本気はあれだが……今回の場合は助かる。


「わかった、行くか‼︎」


「はい‼︎」


 僕たちが外へ出てみるとドラゴンはまだ遠くにいた、だがこのままでは必ずこちらに来るだろう。


「アキトさんどうしますか?」


 ここではレイカの魔法は使えない……村の外に行くしかない。


「レイカ、ついてきて」


 僕はダッシュで村の外へ出た。



「はぁはぁ……まだドラゴンは遠くにいるな」


 遠くにいるのだが進行方向はこっちだ……


「あれですか……おっきいですね」


「あぁ、あれは本当にヤバイ」


「どうします?」


 ここにきたのはいいのだが、ドラゴンを村ではなく僕たちに寄せる方法がなくては……


「レイカ、あれに向かって魔法打てるか?」


 何か当てれば怒ってこっちにくるのではないか?


「……もう少し近づいたらいけそうです」


「そうか、じゃあ宜しく頼む」


「本気でですか? それとも抑えて?」


 今本気でやったら後が大変になる……


「あいつを怒らせるぐらいかな……お願いできる?」


「わかりました、やってみます」


 そう言い、レイカは何か唱え始めた。


「扉よ開き、我に力を与えたまえ、我が唱える魔法は誰かを守るためにある、己の欲のためではなく誰かのために」


「レーザー‼︎」


 うぉ‼︎


 そう唱えると、魔法陣だろうか? レイカの前に現れた魔法陣からレーザーが出た。


 一直線でドラゴンに向かっていく。


 っと当たった……どうだ?


「ふぅ……多分こっちにきますよ」


 レイカがそういうので信じよう。


 そして……


「ギャオオォォォォォォォ‼︎」


 レイカの言った通りこっちにきた……やっぱりでかい。


「……これが………ドラゴンですか」


 レイカはその大きさに驚いているようだ。


「うん、怪我しないでね」


 僕は、小太刀をかまえた。


「はい、アキトさんも」


 レイカも魔法を唱える準備をした。


「アキトさん、どうやって倒しますか?」


 僕の力では倒せないだろう、だがクレーターを作るぐらいのレイカの魔法なら……


「予定では、レイカの魔法で倒そうと思ってる」


「わかりました、本気の魔法を使うのに詠唱がいるので時間稼ぎお願いします」


「わかった‼︎」


 僕は、ドラゴンに向かって走った。


 この前はいけた……ならば今回も。


 僕が近づくとドラゴンは大きく口を開けた。


 そして炎を吹いてきた。


「ふっ‼︎」


 ぼくはその炎を手に持つ小太刀で切った。


 そしてその勢いのままドラゴンに突っ込んだ。


 よし‼︎ 一発目‼︎


 僕がドラゴンを切ろうとした時。


 バサッ


 ⁉︎


 ドラゴンが後ろに飛んだ。


「うわっ⁉︎」


 僕はドラゴンが飛んだことで起きた風圧で吹っ飛んだ。


「アキトさん⁉︎ 大丈夫ですか?」


「大丈夫……レイカは詠唱に集中して」


 どうしよう……


 僕一人では時間稼ぎは難しいかもしれない。


「アキト‼︎ 大丈夫か?」


 え……僕は声が聞こえた方を向くと……


「師匠……どうして」


 そこには師匠がいた。


「どうしてって……そりゃあ村にドラゴンがくるって聞いたから構えていたんだが、アキトとレイカが村の外へ行ったって聞いたからな」


「……そうですか」


 ……ちょっと体が痛い。


「お前大丈夫か? 俺に手伝えることは……」


「それじゃあ、レイカが魔法を唱える間、時間稼ぎするんで手伝ってください」


「わかった」


 体が痛いけど……ここで終わるわけにはいかない‼︎


 再び僕がドラゴンに近づくとドラゴンはまた大きく口を開けて炎を吹いてきた。


「だから効かないっての‼︎」


 僕は再び小太刀で切った。


「アキト‼︎」


 僕は師匠の声が聞こえた。


 え?


 その時、僕の視界の端にドラゴンの尻尾が見えた。


 あ……やばい。


「インペグナブル‼︎」


 その時、僕と向かってくる尻尾の間に師匠が入ってきた。


「ぐぅぅ……」


「師匠⁉︎ 大丈夫ですか⁉︎」


「……俺は大丈夫だ」


「アキトさん‼︎ いけます‼︎」


 よし‼︎


「レイカ‼︎ どでかいの一発頼む‼︎」


「わかりました‼︎」


「知恵よ、我の力になりすべてのものを守る力となれ、この力は欲のためではなく守るために使う」


「カラプス‼︎」


「アキトさん‼︎ すぐにそこから離れて‼︎‼︎‼︎」


「わかった‼︎ 師匠、僕の後ろに来てください‼︎‼︎‼︎」


 その時、ドラゴンの上空に何か力が集まったのを僕は感じた。


 僕は上を向くと……ありえない大きさの魔法陣ができていた。


 ……マジで? 僕は魔法陣の大きさを驚きつつ勝利を確信していた。


 ドオオォォォォォォォォォォォォォン‼︎‼︎‼︎‼︎


 魔法陣から魔法が放出される……僕は両手を前に突き出した……重い。


 ……やばい、押される……


 けど……師匠を守らなくては。


「うおぉぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」


 その瞬間僕を押すものはなくなった……


 え⁉︎ ……やったのか?


 ギャオオォォォォォォォ‼︎‼︎‼︎


 ……え⁉︎


「なんで、倒れてない?」


 ドラゴンはまだ無傷でそこにいた。


 ……………ダメだ、死ぬ。


 僕は恐怖に飲まれていた。


 だが……


「ギャオオォォォォォォォ‼︎」


 ドラゴンは飛び、逃げて行った。


 ……どうして?


「生き残ったのか?」


 僕はそう呟いた師匠の声が聞こえ……意識を失った。

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