第10話 同盟
僕たちが外に出てみると、村の外から煙が上がっていた。
「僕、ちょっと行ってきます」
そう言い僕は煙が上がっているところへ向かった。
煙が上がっている場所に近づくとそこには……
「あ、アキトさん」
レイカと師匠がいた。
「……師匠、なんですかこれ?」
僕は師匠に指をさして聞いてみた。
「……クレーターだ」
師匠達のいる場所の近くには、クレーターができていた。
……えっと。
「アキトさん‼︎どうですか、これが私の魔法の威力です‼︎」
……正直この獣耳少女、怖いです。
レイカの魔法の威力がここまでとは……
「アルバさん、私が討伐隊に入っても大丈夫ですよね?」
「あぁ、この威力なら問題ない……ただ」
師匠が考えていることと僕が考えていることは多分同じだろう。
「ただ……なんですか?」
「次からは威力を落としてくれ、味方に怪我人が出そうだ」
そう、威力が強すぎて周りに被害が出そうなのだ。
「分かりました、次からは抑えます」
「……レイカよかったな」
僕は一応レイカを褒めた。
「はい‼︎これでアキトさんと一緒にいれます」
ん?なんか目的が違うような気もするが……まぁいいか。
「それで師匠、ここどうしますか?」
僕はクレーターを指差して聞いてみた。
「また今度治す、今日はもう戻ろう」
なんだか師匠は疲れていた。
「「はい」」
僕たちは村に戻った。
「あ、アキトさん‼︎」
村に戻るとメリアが僕を呼んだ。
「どうかした?」
「なんか近くの村の村長がアキトさんに会いに来ましたよ?」
近くの村の村長?
どうして僕に会いに来たんだろう?
「ありがとう、それでその人今どこにいるの?」
「村長の家に行きましたよ」
まぁ、違う村の村長だもんね、挨拶でもしに行ったのかな?
「分かった行ってみるよ」
僕は村長の家に向かった。
「おぉ、お前がアキトか」
中に入るとそこには、40代後半ぐらいの男性がいた。
「えっと……」
この人が近くの村の村長かな?
「ああ、すまない自己紹介がまだだったな、俺はマダラス村の村長ガロンだ、よろしく頼む」
「よろしくお願いしますガロンさん、ところでどうしてここに?」
「そのことなのだが……謝りに来たんだ」
え⁉︎僕に謝る?
なんでだろう?
「昨日、俺の村のやつが迷惑かけたらしいからな」
あー、そのことか。
迷惑というか……そこらへんはちゃんと言ってないのだろう。
……女の子を襲ったとか。
「あー、いえいえ全然ですよ」
「そうかすまなかったな……それとここに来たのはもう一つ理由があってな」
もう一つ?
なんだろう?
「ガロンはこの村と同盟を組もうって言ってきたのじゃよ」
村長さんが説明してくれた。
村長さんとはこの村の村長さんだ。
「同盟って……どうしてですか?」
「それを話すためには、みんないた方がいい……アルバとメリアをよんできてくれ」
「分かりました」
僕は二人を呼びに外へ出た。
「それで、どうして同盟を?」
僕はみんなを呼び集め村長さんに再び聞いてみた。
今この部屋には、僕と村長さんとアルバとメリアとレイカとガロンさんがいる。
「ガロンの情報では最近色々な場所で争い事が多いらしい」
争いというと……戦争だろうか?
だから自分の村を守るために同盟を?
同盟なんか組まなくても守れるのでは?
「ああ、あと同盟を組もうとした理由としてはもう一つあってな……それはアキトじゃよ」
え、なんで僕?
「そこからは俺が言う、アキトお前魔法が効かないんだってな」
ガロンさんがそう聞いてきた。
多分あの三人のだれかが言ったのだろう。
「そうですけど……」
「まさかと思うが、イルティーじゃないよな?」
イルティー?
「イルティーってなんですか?」
「なんだ?知らないのか……つまり異世界からこの世界にきたんじゃないのかってことだ」
え……どうしてわかったんだ?
「どうしてそう思うんですか?」
「この世界ではたまに飛ばされてくるんだよそういう奴らが、でそいつらは何か特殊なスキルを持ってる」
「………」
「で、お前は魔法が効かない、俺は昔会ったことがあるんだ異世界から来たやつで魔法が効かないやつを」
……もう言ってもいいだろうか?
「そうです、僕は違う世界からここにきました」
「⁉︎」
「みんな黙っててごめん」
「いやいや、びっくりはしたがお前はお前だ変わらんよ」
師匠……ありがとう……
「そうですよ、アキトさんはアキトさんです」
メリアも……
「で、だイルティーがこの村にいるなら同盟を組めば心強いし安心できる、だから同盟を組もうって言ったんだ」
「ガロンさんの村にイルティーはいないんですか?」
「いるわけないだろ、そこらへんにいたら大変なことになる」
……数は少ない……と
「えっと……もう一人いるんですが」
そう言い、僕はレイカを見た。
「……同盟を組んでくれ、頼む」
今度は本気で頭を下げてきた。
そこまで……
だがそれは僕が決めることではない、村長さんが決めることだ。
僕は村長さんの方を向いた。
「別に大丈夫じゃよ」
その一言で同盟が成立した。
そして、話し合いが終わったあと僕はガロンさんに話しかけた。
「ガロンさん教えてくださいイルティーについて」
僕はそう聞いた。
「わかった、イルティーというのは……」
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