第9話 討伐隊

 次の日……


 ……体が動かない⁉︎


 僕が目を開けると……


「レイカ……重い」


 僕の体の上にレイカが乗っていた。


「早く起きてください、朝ですよ」


 ああ、起こしにきてくれたのか。


「起きるからどいてくれ」


「はい」


 そう言うと、レイカは僕の上からどけた。


「今日は討伐隊のところに行くんですよね?」


 なんだか、レイカはワクワクしている。


「そうだよじゃあ、朝ごはんを食べたら行こうか」



 朝ごはんを食べた後……


「これから行くところは知ってると思うけど討伐隊っていうところで昨日会った師匠が団長をしているんだ」


「そうなんですか、私も入れますかね?」


 どうなんだろう……入れるのかな?


「わかんないけど……レイカって何か魔法とか使えるの?」


 もしレイカが討伐隊に入れなくても魔法使えたらいいなと思って聞いてみた。


 ……僕が使えないからね。


「えっと前の世界なら使えましたけど、この世界でも使えれるんですかね?」


 おっと、使えるようだ。


「多分使えれるんじゃないかな?僕は前の世界に魔法っていう概念がなかったから効かないわけだし……」


「じゃあ、今使ってみてもいいですかね?」


 今⁉︎それはダメだろう。


「それは師匠の前でやった方がいいよ、もしかしたら討伐隊に入れるかもしれないし」


 一応僕の時も師匠はついてきたし……テストみたいなのがあるのかな?


「そうですよね、私魔法には自信があるので期待しておいてくださいね」


「うん、期待しておくよ……っとここだね」


 僕たちは討伐隊の拠点についた。


「なんか、大きめの家みたいですね?」


 レイカはそう言っているが僕はその建物を見てワクワクしていた。


 なぜなら……異世界ものでよくあるギルドのような建物だったからだ。


 とりあえず僕たちは中に入ることにした。


「すみません、アキトですけど」


 中は予想通りギルドのようになっていた。


「おう、きたか……っと昨日の子もいるんだな」


 師匠が僕たちを迎えてくれた。


「はい、村長に聞いたら大丈夫だって言ってくれましたから、それと泊まるだけでなくてこの村に住むことになったんですよ」


「ほう、そうなのか、えっとレイカだっけか?俺の名前はアルバだ、この討伐隊の団長をしている、よろしくな」


「よろしくお願いします、この村に住むことになりましたレイカといいます、えっと……アルバさん?お願いがあるんですが……」


「お?なんだ」


「私を討伐隊の一員にしてくれませんか?」


「うーん……レイカは今何歳だ?」


 年齢を聞くのか……まぁ小さい子に戦わせるのもあれだもんな。


「十八歳ですけど」


 え⁉︎まじで⁉︎


もっと子供だと思ってた。


「そうか、では魔法とか武器は使えるか?」


「武器はわからないですけど、魔法は使えます」


「なるほどな、じゃあ今から見せてくれないか?」


 やはり、テストみたいなものがあるのか……


「ここでですか?」


 ……レイカって天然?


「いやいや、外でだ」


「分かりました」


「じゃあ、アキト行ってくるわ」


 え……僕も行きたい。


「僕も行きたいです」


「お前は討伐隊の奴らに挨拶でもしておけ、まぁ今は大抵出かけていて人数は少ないがな」


「……わかりました」


 こうして、僕だけがここに残された……


「あれ?アキトさん来たんですか?」


 背後から僕を呼ぶ声が聞こえた、この声は……


「うん、今日から活動しようと思ってね」


 メリアだ。


「そうなんですか、ところでさっきの女の子誰ですか?」


 やっぱり気になったのかな?


「いや、昨日村の外でモンスター倒してたら声が聞こえて、男三人に絡まれてたから助けた女の子だけど?」


「……可愛いですね」


 可愛い……かな?


 うーん、改めて考えてみると可愛いのかな?


「まぁ、そうだね」


 僕は一応肯定しておく。


「……はぁ………あ、アキトさん討伐隊のメンバーを紹介しましょうか?」


 ん?どうしてため息?


「うん、頼んでもいいかな?」


「はい、分かりました、と言っても私含め三人しか今はいないんですけどね……」


 少ないな……けどそのくらい討伐隊は忙しいのだろう。


「じゃあ、まず一人目バンさんです」


 男の人が紹介された。


「おう、よろしくな……アキトでいいよな?」


「はい、いいですよ」


「じゃあ初めましてバンだ、この討伐隊で最速って言ったらこの俺だ、まぁよろしく頼む」


 最速……なるほどなるほど。


「よろしくお願いします、僕も速さを重視したいのでいろいろと教えてください」


「アキトも俺と同じタイプか……なら俺は先輩だな」


 先輩……バン先輩って言えば喜んでくれるかな?


「よろしくお願いしますバン先輩‼︎」


「‼︎」


 あれ、どっかに行っちゃった。


 ダメだったのかな?


「初めましてアヤト、私はノイ……バンなら多分恥ずかしくなっただけよ」


 ノイさんか……綺麗な人だ。


 バン先輩……恥ずかしくなったって……


「よろしくお願いしますノイさん」


「アキトさん、ノイは凄いんですよ」


 ん?なにが凄いんだろう?美貌?


「……全くすごくないわ」


「いやいや、地面をえぐるほどの魔法はノイぐらいよ」


 地面…………?


「とりあえずはこのくらいですかね」


 えぐる…………?


 バン先輩とノイさんか……討伐隊って凄い人たちがいるんだな。


「みなさん、よろしくお願い…」


 ドォォォォォォン‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎


 その時、地面が揺れて爆音が聞こえた。


「え、なに?」


「多分……魔法よ」


 ノイさんが説明してくれた。


 魔法……?


 一体誰の……


 あ……もしかして。

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