第8話 獣耳の少女

 ………………獣耳……


「あの、すみませんこれ、解けますかね?」


 女の子が話しかけてきた、あ…そうか魔法で縛られてるんだった………


 獣耳が衝撃的すぎて忘れてた………


 僕はその女の子に触れた、すると縛っていた魔法が解けた。


「え………」


 女の子は驚いているようだ、まぁ仕方ないだろう僕が体に触っただけで魔法が消えたのだから。


 ……セクハラ、じゃないよな?


「えっと、なんか僕って魔法が効かないし使えない体質なんだ、だから触れるだけで魔法が解除されるんだよ」


 一応簡単に説明した。


「え⁉︎そうなんですか⁉︎……珍しいですね」


 獣耳の少女に言われてもな……


「僕の名前は、アキトこの近くの村にすんでる」


 自己紹介をしておく。


「アキトさんですね、助けてくれてありがとうございます、目を覚ましたらこんな場所にいて………」


 ん?どっかで聞いたことある話だな……


「それって………」


「信じれないと思いますが、転移したみたいなんですよ、私」


 あ、それ自分だ!


 ………というと仲間なのか?


「へぇそうなんだ」


「はい…信じれないですよね?」


「いや、僕は信じるよ」


 だって、僕もだし。


「えっ⁉︎本当ですか?」


「うん、だからこんなとこにいる……と」


「はい……で、いざ動こうとしたら、あの人たちに絡まれて……」


 あんなことになっていた……と。


「アキトさん、図々しいかもしれないですが、私をあなたが住んでる村に行かせてくれないですか?」


 やはり、さっきのことがあって一人で動くのは怖いのだろう。


 村に行くのは問題ないと思うけど………


「えっと……名前は何?」


「あっ、すみません……私の名前はレイカです」


 レイカちゃんか。


「じゃあレイカちゃん、案内するよ」


「本当ですか⁉︎ありがとうございます、あとちゃん付けしないでください」


 …………


 僕はレイカを村に案内することにした。




「おいおい、アキト女の子を連れてどうした?」


 師匠……


 あ、ちょうどいい。


「あのー、師匠ちょっといいですか?」


 僕はとりあえず師匠に聞いてみた。


「ああいいけど、どうした?」


「この女の子、レイカって言うんですけど獣耳が生えてるんですよ」


「ほう、本当だな」


 あれ?驚かない?


「驚かないんですか?」


「あぁ、昔どこかで見たことがあるからな、でもなんでこんなところに……」


 ……どうしよう、誤魔化せるかな?


「えっと、なんか道に迷ったみたいです」


「そうなのか」


 …チョロ……師匠は僕を信じてくれる人だ。


「で、この村に泊まらせることって可能ですかね?」


 できれば、住めればいいんだけど……


「うーん、わからんが村長に聞いてみろ」


 やっぱりそうなりますよね。


「わかりました、ありがとうございます」


「おう、気にするなじゃあまた明日な」


「はい、おやすみなさい」


 僕は村長のところに行くことにした。



「村長さん、すみません」


「アキト様、どうしたのですか?」


 村長さんには話してるし、いいよな?


「えっと……この子、レイカっていうんですけど、僕と同じらしいんですよ」


「ふむ、異世界からこの世界に転移してきたと」


 さすが村長さん、話が早い。


「えっ⁉︎」


 あれ?なんでレイカが驚くのだろう…あ、言ってなかったっけ?


「言ってなかったっけ?僕も違う世界からこの世界に来たんだ」


「えっ⁉︎そうなんですか⁉︎聞いてません……」


 言ってなかったようだ。


「それで村長、レイカがこの村に住むことって可能ですか?」


「アキト様が言うなら大丈夫ですよ、ただ………」


 ただ?


「とりあえず住む家がないのでここで生活することになりますが……大丈夫ですかな?」


 うーん、それは僕が決めることではないな。


「レイカ、一緒になるみたいだけど、いいかな?」


「はい‼︎大丈夫です‼︎村長さんありがとうございます」


「いやいや、この村が賑やかになることはいいことですよ」


 いやぁ、この村って本当にいい村だね。


 レイカをこれからみんなに紹介したいところだけど……もう遅いしなぁ。


 明日は明日で討伐隊だし……そうだ!


「レイカ、明日僕、討伐隊っていうところに行くんだけど付いてくる?」


 そのついでに紹介もできたらいいなと考えたんだけど……


「ついていきます‼︎」


 お、ついてくるようだ。


「じゃあ、今日はもう遅いから寝ようか?」


「はい、それではまた明日」


 僕は自分の部屋に戻ろうとした……


「レイカ、なぜついてくる?」


「え⁉︎一緒の部屋じゃないんですか?」


 ……それは色々とアウトだろう。


「村長さん、レイカがそこの部屋使ってもいいかな?」


「いいですよ」


 村長さんの許可が下りたということでレイカには僕が使ってる部屋の向かいにある部屋を使ってもらうことにした。


「じゃあ、レイカはこっちで寝てよ」


「……はい……分かりました」


 どうして落ち込んでるんだろう?


 まぁいっか。


 こうして、1日が終わった。

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