第6話 成長

 今、僕はオークを倒しています。


「師匠、僕いつまで倒していればいいんですか?」


 かれこれ一時間は倒しています……というか一時間戦ってもまだたくさんいるって……


「んー、あと少しかな」


 まじですか……


 師匠は今何をしているかというと、僕が倒したオークに向かって何かしています。


 そして、その何かをするとオークが消えます……何をしてるんだろう?


「師匠、何をしてるんですか?」


「ん?これはオークを魔法倉庫に入れてるんだよ」


 魔法倉庫……


 あー、もしかして回収してるってことはあの肉になるんですかね……?


「へー、そんな魔法もあるんですね……若干、いやかなり羨ましいです」


「これは便利だぞ、どんな大きさでも入れれて容量は無限‼︎しかも、中に入れたものは時間が止まるってとこがいいな、ま、お前には使えないんだがな」


 嫌味……ですかね?


「そんなこと分かってるから、羨ましいって言ったんですよ」


 はぁ……僕は魔法が効かないけど、魔法も使えない……魔法が使えない異世界って……


 僕は、悲しくなってくるのでオークを倒すことに集中した。


 一時間後……


「そろそろいいぞ」


「……了解です」


 トータルで二時間は倒していたから、体が……


「ところでアキト、見た感じ戦い方が上手くなった気がするぞ」


「本当ですか?」


 おぉ、師匠に褒められた。


 まぁ、ここのところずっと戦っていたから、オークぐらいなら会話をしながら戦えるぐらい余裕になってきた。


「じゃあ戻るか、今日はオークの肉だな」


 やっぱり‼︎


「本当ですか?」


「あぁ、マリーに作ってもらう予定だから美味しいぞ‼︎」


 ……美味しいのは良いんだけど……なんか……ね?


 …こうして、僕達は村に戻った。



「「ごちそうさまでした」」


 この世界でもこのような挨拶はちゃんとあるからあまり怪しまれない。


「そう言えば、アキト」


 晩御飯を食べてゆっくりしていると師匠が話しかけてきた。


「なんですか?」


「そろそろお前を討伐隊に入れようと思ってるのだが……」


 おぉ、ついに来た‼︎……まあ、あの時はゴブリンすら倒せなかったからな。


「本当ですか?」


「あぁ、いつからがいい?」


 いつから……あ、そうだ。


「うーん……じゃあ明後日とかでもいいですかね?」


「まぁいいが、明日何か用事があるのか?」


「えっと、ガンデスに武器をもらおうと」


 そう、僕はガンデスに武器をタダでもらう約束をしていた。


「あぁ、そういう約束もしてたな」


「はい、気持ちを切り替えるために武器も変えようかなって思ったんです」


「わかった、じゃあ討伐隊のメンバーにもそう説明しておく」


「はい、ありがとうございます」


 僕は村長の家で寝泊まりさせてもらっているので、村長の家に帰る前にガンデスに会って帰ることにした。



「ガンデス今良いかな?」


「おう、なんだアキト用事でもあるのか?」


 ガンデスは、仕事をしていた。


「うん、実はこの前の約束の……」


 覚えてるかな…?


「あぁ、武器か、ところでアキトはなんの武器を使うんだ?」


 あ、そういえば言ってなかったな。


「素早く動きたいから小太刀にしたんだけど」


「ほう、アキトは珍しい武器を使うんだな」


 …え?


「珍しいんだ……」


「ああ、でもちゃんと品はあるから大丈夫だぞ、ちょっとアレンジできるが、どうする?」


「あ、じゃあ明日またくるんでその時でもいいかな?」


「おう、全然いいぞ」


「ありがとうございます、ではまた」


「おう、じゃあな」


 こうして僕は小太刀をタダでもらうことになった。


 明日が楽しみだ。

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