第4話 夢と現実と

 僕は、夢を見ていた…

『明日が楽しみだね』


『うん、そうだな』


『9:00集合だからね!』


『分かってるって』


 …これは、あの時の…


『じゃあ…また明日』


『うん、また明日』


 …佐奈……


「…さん……」


 ん?誰だろう?


「ア…トさん」


「アキトさん⁉︎」


「ん……佐奈?」


「何言ってるんですか?アキトさん」


 やっぱり…似てる…けど違うんだよな…当然か、ここはあの世界ではないもんな…


 じゃあ、誰だろう?


「えっと、誰ですか?」


「あっ、すみません、自己紹介がまだでしたね」

「初めましてメリアです、この村の医師兼、討伐隊副団長をしています」


 あぁ、この人がメリアさんか。

 医師…ということは…


「初めまして、メリアさん」


「メリアでいいですよ」


「えっと……メリアは僕を助けてくれた人?」


「はいそうですよ、もーびっくりしましたよ、大怪我してるから回復魔法を使用したんですけど、何かに守られて効かないんですもん」


「あはは…そういう体質みたいでして」


「まぁ、ポーションを使ったら治ったんでよかったんですけど…」


「あーガンデスとアルバは?」


「あの二人ならどっかに行きましたよ?なんか、二人の方がいいだろうって笑いながら」


 ………ナイス‼︎


「そ、そっか…あと、ごめんね、急に倒れたからびっくりしたでしょ?」


「本当ですよ、こっちを向いたと思ったら倒れて、サナってずっと呟いていましたし…サナさんって誰ですか?」


「いや、昔の友人だよ」


「そうなんですか、所で今はもうなんとも無いですか?気分が悪いとか…」


「うん、大丈夫だよ」


「そうですか、それは良かったです」


「ねぇ…」


「はい?なんでしょう?」


 僕は目が覚めてからずっと疑問に思っていることがある。


「なんで、膝枕してるの?」


「なんか、アルバさんがこうしたらいいって…嫌でしたか?」


 嫌ではない、むしろ嬉しいです。


「……」


「あれ⁉︎なんかおかしかったですか?」


 そんな時…


 ぐぅぅぅぅ…


「「あ…」」


 …そういえば、この世界に来て何も食べてなかったんだ…


「ふふ、お腹が空いたんですか?」


 …恥ずかしい。


「えぇ…まぁ」


「じゃあ、グストに行きましょう」


「グスト?」


 どっかで聞いたような名前だ…


「はい、私の友人がやっていて、そこのお肉が美味しいんですよ‼︎」


「じゃあ、そこに行きましょうよ」


「はい、では案内します」


 こうして僕達はお腹を満たすため、グストへ向かった。



「へぇー、ここがグストか」


「はい、では入りましょう」


 そうして僕達は中に入ったのだが…


「「「英雄…アキト様⁉︎」」」


 あ…


 一気に囲まれた…どうしよう…困っているとそこへ…


「はいはい、どいてどいて…お客さん、こちらへどうぞ」


 一人の女性が現れて店の奥へ案内してくてた。


「ありがとう、マリー」


「いやいや大丈夫だよ、というかメリア……ナイス‼︎有名人が来てくれたらこっちは大繁盛だからね」


 …この人がマリーさんか。


「えっと、こちらが私の友人でこの店の店長マリー」


「初めまして、あーアキトでいいよね?私もマリーでいいからさ」


「うんいいよ、よろしくねマリー」


「よろしく、ところで…何しに来たの?」


「えっと、アキトさんにここのお肉を紹介しようと…」


「なるほど…じゃ、ちょっと待ってて、すぐに作るから」


「ありがとうマリー、忙しいのに」


「いいっていいって」


 それから待つこと数分…


「おぉ‼︎」


 唐揚げのようなものが出てきた。


「ね?美味しそうでしょ?味も最高だから食べてみて」


 僕は、そう言われて一つ食べてみた。


美味しい‼︎……けど。


 なんの肉だろう?鳥でも牛でもない…

 初めて食べる肉?


「ねぇ、メリア…この肉って…なんの肉?」


「ん?この肉はオーガの肉だよ」


「オー…ガ…?」


 え…


「うん、美味しいでしょ?」


「う…うん」


 美味しいけど…


「あれ?口に合わなかった?」


「いや、美味しいよ」


 …オーガは無いだろう。

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