彼女たちは魔法少女!!

彩葉屋 仙左衛門

プロローグ『世界よ、これが魔法少女だ』

「もう一度確認するぞ。敵の出現地点は『京都第3』。お前たちは最寄りの『京都四条転移門』に転送されるから、そこから即座に現場に向かってくれ。確認されただけで禍神まがかみの数は25。ランクは第八等が2体に第九等が3体、残りの20体が第十等だ。――まあ、お前たちなら余裕だろう」


 俺の言葉に、目の前に立つ三人の少女が力強くうなずいた。その表情は驕りなどではない、実績に裏付けられた確かな自信に満ちている。


「1分あれば十分です!」


「まあ、片手間で片付けてあげるよ」


「でも油断はしないよー!」


 元気よくそう言って笑みさえ見せる三人に、俺も確かな信頼を込めて頷いた。


「あぁ、頼んだぞ三人とも。終わったら原宿でクレープを奢ろう」


「わー、約束ですよ!」


「一撃ですり潰す」


「表現が物騒! でもクレープは楽しみ!!」


 先ほどよりも一層笑顔を輝かせる辺り、やはり彼女たちも超常の力を持っている以外は普通の少女である。多少言っていることは物騒だが。


「さあ、あまり悠長に話しているわけにもいかない。手早く頼むぞ」


 禍神まがかみが出現する次元門の周囲には無人地帯が広がり、そこを覆うように結界が広がっている。しかし、その強度も無限ではない。

 結界が破られてしまえば無人地帯の外へと禍神が解き放たれ、決して少なくない被害が出るだろう。そうなる前に、結界の内部で奴らを倒すことこそが、彼女たちの役目である。


「任せてください!」


「余裕だよ」


「出発進行ー!」


 気負いなく言葉を紡ぎ、転移門を潜る三人の少女たち。俺も職務を全うするために、その後に続いてゆく。

 彼女たちは魔法少女。我ら『魔法少女統括機構まほうしょうじょとうかつきこう』が世界に誇る、対禍神のスペシャリストである。 

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