第19話 茶番


 2016年3月27日18時23分。一応気分は落ち着いた。まあ、これ以上の自業自得も中々無いが、許してほしい。どの面下げてと言いたいのはわかるが、そこはおひとつ。なぜ、こんなに面の皮が厚いかと言うと、これすなわち私の人格という事になるのだろうか。

 一応、火をつけることには成功した。かなり、遅かったし予想よりかなりドス黒い炎だったが。あとは、そのまま消えていくかどうなるかだ。そこは、完全に私のコントロールの外にあるので、いい。どうにもならないことを考えていても仕方がない。地道には、活動していくつもりだが早いところマイナスであれプラスであれ一投を投じてほしいところだ。一番大変なのは、最初に意見を言う者だ。そう言った意味では先ほどの読み専さんは勇気があると言えなくもない。もちろん、批判は嫌だけども。

 そうなると、逆にプラスの意見が言い辛くなるものだ――いや、そもそもその読み専さんの言ったように物語の方向性を誤った可能性もある。

 最初はよかったかもしれない。物語の入りは、確かに評価ももらえていた。PVの少なさで気づいていなかったが、評価の数も日に日に減って行ったのもまた事実。少し、感情に任せて書きすぎたか……いや、いい。これでいい。

 今更反省したところで盤上は戻らない。思いきりやって思いきり失敗するのみ。


 どのみち、私は滑り続けてたじゃないか。振り返れば、ヨムヨムコンテストが開始されてからずっと滑り続けていた。


                *


 あれは、コンテストが実装されて初日だった。私の愛息子である『医魔女』はその時、9位だった。

「よし、これでブーストが掛かる! 一気に下克上行ったらんかーい」

 気分としてはそんな感じだった。

 午前中、ワクワクしながら仕事をしていた。何も手につかず、半分放心状態のまま仕事をこなしていた。携帯を気にしながら、昼休みはまだか……まだなのか、と待ち続けていた。昼休憩のチャイムが鳴ると一目散に食堂へ直行。食べやすいものを選んで恐る恐る携帯を開けた。

 結局、PVが50程度☆が0か2だったと思う。

 なんなんなんなん……言い足りないくらいの「なん」が止まらなかった。と、同時に汗が噴き出た。あっ、これ……オワタ。そう、一時は死を覚悟したものだった。しかし、他の方々のランキングをみるとみなさんそんなに上がった形跡がない。この状況についてしばらく考えてみた。

 あっ、これ☆飢饉がまだ続いている。そう思った。☆飢饉とは運営が出した不正に評価に対するお触れであり、そのせいでみんなの☆の評価が無くなった(決して私の『医魔女』だけじゃない)。

 絶望に肩を落とした。アレだけ……頑張ったのに。吐くほどツイッターして、死ぬほど他の方々の作品読みまくったのに。

 注)他の方々の作品は楽しく読ませて頂きました

 もはや、ヤバすぎて笑えた。明日には他の同作品と一緒に都落ちの憂き目にあうのだと、そう思った。

 その時は、ナルナルサイトのランキングのように24H毎の仕様だと勘違いしていたので、その絶望感たるや半端なかった。

 ……いや、いやいやいや。まて、花よ。こんな時代だ。この逆境をプラスに変えてこそ、真の勝者の道ではないか。いきなり落ちて運営批判? バカ野郎。読まれて落ちたんなら実力だろうが。これは、チャンスなんだ。

 そう、自分に言い聞かせた。そう、私もコメディを愛する者の1人としてこのままじゃ終われない。そう思った。なにか、何かこの怒りを、失望を面白おかしく解説するいい方法は無いだろうか。☆を切望しつつも、そんなことを、考えていた。


 そして、私は総統閣下に手を出した。これは、某有名サイトのパロディで知る人ぞ知るお怒りシーンだ。これしかないと思った。自分でブチ切れずキャラにキレさせることによってコメディになる。そう考えた。

 都落ちするこの怒りを壮大にぶちまけてやれ、ヒトラー。

 以下が近況ノートに載せた茶番です。


―――――――――――――



部下

「『医魔女』が総合32位、ファンタジー部門9位になりました(3/11時点)。医療魔術師の主人公シータがブラック企業さながらに働かされる様をニヤニヤ眺めるという話で、作者曰く今後も期待ができるそうです」


総統閣下

「医療ファンタジーものか……医療関係の読者の獲得も期待できるな」


部下

「閣下……この話は主に診療所でのお話です。心して拝見ください」


閣下

「……」


拝読後・・・


閣下

「この話を10話以降まで見たやつだけ残れ」


部下たち

「……」




  続く








 

 

 

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