第3話 公開時に散った長編作品の冥福と今後のご健勝を祈る


 新しく戦略を立て直す必要があった。より、ナチュラルに、そしてチャンネラーに目をつけられずに読んでもらう方法を模索する必要があった。奴らはいい意味でも悪い意味でも、目立つ作品に鼻が利く。しょっぱなから盤上を荒らされたくなかった。


 自分に選択できる選択肢は以下の通り。これらは、まあ一般的にすぐ思いつく方法だと言っていい。


 ツイッター爆撃(宣伝)、レビュー爆撃、フォロー爆撃、そして、☆爆撃。そして、裏でまことしやかに囁かれている複製アカウント(通称複垢)。


 結論から言うと、ツイッター、レビュー爆撃を選択。その時ここはルール無用の戦場だった。他にも選択肢はあったが、自分はそれを選択した。基本的に目的は大賞を獲ること。もちろん、読んでもらいたいってのもあるが一番はそれだった。

 別に他の方法を選択した人を責める気はない。そもそも、こんな話を書いている時点で、そんな資格も無いし。ここには、審判がいてファウルをしたら退場させられるのだから。だから……頼む……通報しないでね(フリじゃありません)。


 ここで、自分の中でキーになる想定があった。仮想読者、仮想運営の想定。どうすれば仮想読者に読んでもらい、どうすれば運営の評価がいいだろうか? それを必死に考えた。

 その時点で複製アカウント、☆爆撃は選択肢から外した。これは、運営にバレると思った。そして、チャンネラーの餌食になるとも思った。

 コンテスト応募の目的は大賞を獲ること。運よく1次を通過したとしても作品数が少なくなった時に精査される気がした。と言うか、してくれそれは。頼むから。今後のためにも、私のためにも。


 読者が読んでもらうのには自分がまず、読むしかないと思った。少なくともフォローしただけでは自分の興味は動かない。だから、フォロー爆撃では読んでもらえない。読んで貰い、かつ評価も貰うためにはそれなりに自分が読んだという意思表示をしなければいけない。 


 そして、もうカクヨムの目新しい機能、レビュー機能。新着欄に乗る実弾は限られている。しかし、この機能を有効活用することによって、名前が売れる。最初に面白い1文を考えることによって、読者の興味をひくことが出来る。その作品が新着を続けることによって、自分の名前が、ユーモアが新着欄に載り続けるのだ。作者は、評価されかつレビューで興味が惹かれるのだ。自分なら嬉しくて読んでしまう。まさしくウィンウィンの関係が誕生した瞬間だった。

 そして、これはおそらく運営の意図することでもあったと思う。


 しかし、より多くの者にレビューを書くためには数多く作品を読破しなければいけない。より文字数の適度な作品(5000文字程度を基準に設定)を選択した。

 喫茶店に籠った。そして生まれて初めて、コーヒーを5回おかわりした。

 より、面白いレビューを。読者の目に留まって、その作品も自分も読まれるようなレビューを。そう思い続けながらランキング実装前に投入した爆撃は約50に昇った。 

 注)作品は、全て楽しく読ませて頂きました。


 ここで、サイト開設時に犠牲になった作品の多くは公開時すでに長編だった作品だ。私が幸運だったのは、そもそも作品ラインナップの文字数が劇的に少なかった。何とか10万字に到達した作品1つ。7万字にやっと到達した作品が1つ。そして、後に疾風怒涛の働きを見せる作品『医魔女』が5万字。撃てる実弾に限りがあったので、そこまで多くの文字数をしょっぱなから投入できなかった。そして、もう1つの幸運は話数毎の文字数の少なさだ。新着欄に載るためには、常に更新と言う実弾を撃ち続けなければいけない。ヘタすれば1話600文字に満たないような作品のクズ特性は、ここヨムヨムにおいては奇跡的優位に働いた。


 彼らには同情を禁じ得ない。チャンネラーに踊らされた(勝手に踊った?)自分も、それだけの文字数のある作品を書いていたら迷わずそれを選択しただろう。それだけ、読者、運営に懸けた期待の現れでもあったと思う。


 しかし、同情などこのヨムヨム戦場においては意味をなさない。立ち止まっている暇はない。少しでも自分が生き残るために、まだレビューを書かれていない作品に自分の爪痕を残す必要があった。銃弾を撃たれた戦友がいても、治療に立ち止まるなんてことはどうしてもできなかった。


 ただ、祈る。公開時に散った長編作品の冥福と今後のご健勝を祈る。

 

 

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