第22話 姫君のサイクロップス退治②
人間の村を荒らし破壊してまわる一つ目の巨人、サイクロップスがいた。
【放浪の姫君】レィナスは被害にあった村人たちの為と、討伐による功名の為に、サイクロップスを探した。
そしてレィナス姫は、荒野にいるサイクロップスを見つけた。
レィナス姫はその姿を見て絶句した。
トロールをはるかに超える巨体は、もはや生物というよりも建造物であった。
恐ろしいことにその塔ほどもある巨大生物は、意思を持って自在に動き回るのである。
サイクロップスが歩くと、地響きが起こった。
サイクロップスがうなり声を上げると、見渡す限りの空気が轟音とともに震えた。
サイクロップスが腕を振るうと、巨大な潅木が音を立てて倒れた。
「あんな怪獣を、人間が倒せるわけがないじゃないか!」
レィナス姫は当初の予定をすべて忘れ去り、サイクロップスに背を向けた。
しかしサイクロップスは、一つしか残っていない瞳の端に動く、小さな影を見逃さなかった。
サイクロップスは雄叫びを上げて、レィナス姫の元へと走ってきた。
「うわ、こっち来た! ひぃぃぃ」
レィナス姫は全速力で荒野を駆け抜けた。
幸いなことにサイクロップスの速度よりも、レィナス姫の走る速さの方が勝っていた。
追いつかれることはないだろう。しばらくは。
《君が怪物を倒すと言うのか。それは勇気があることだな。それでは怪物の目の前で、もう一回君の勇気を確認するとしよう》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます