第22話 姫君のサイクロップス退治②

 人間の村を荒らし破壊してまわる一つ目の巨人、サイクロップスがいた。


【放浪の姫君】レィナスは被害にあった村人たちの為と、討伐による功名の為に、サイクロップスを探した。


 そしてレィナス姫は、荒野にいるサイクロップスを見つけた。


 レィナス姫はその姿を見て絶句した。


 トロールをはるかに超える巨体は、もはや生物というよりも建造物であった。


 恐ろしいことにその塔ほどもある巨大生物は、意思を持って自在に動き回るのである。


 サイクロップスが歩くと、地響きが起こった。


 サイクロップスがうなり声を上げると、見渡す限りの空気が轟音とともに震えた。


 サイクロップスが腕を振るうと、巨大な潅木が音を立てて倒れた。


「あんな怪獣を、人間が倒せるわけがないじゃないか!」


 レィナス姫は当初の予定をすべて忘れ去り、サイクロップスに背を向けた。


 しかしサイクロップスは、一つしか残っていない瞳の端に動く、小さな影を見逃さなかった。


 サイクロップスは雄叫びを上げて、レィナス姫の元へと走ってきた。


「うわ、こっち来た! ひぃぃぃ」


 レィナス姫は全速力で荒野を駆け抜けた。


 幸いなことにサイクロップスの速度よりも、レィナス姫の走る速さの方が勝っていた。


 追いつかれることはないだろう。しばらくは。




《君が怪物を倒すと言うのか。それは勇気があることだな。それでは怪物の目の前で、もう一回君の勇気を確認するとしよう》

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