第2話 だって「悪女」だもん

 担がれだして幾らか時間が経った頃、麻里さんはビルの合間に出来た細い路地の入口で立ち止まった。

 彼女はそこへ体を滑り込ませると、ゴミをかき分け瓦礫を蹴飛ばし奥へ奥へと進んでいく。

その内、突き当りに錆びついた大きな赤い扉が見えてきた。扉のちょうど真ん中あたりに、『悪女探偵 雨宮事務所』と書かれている煤けたボードが打ち付けられている。


 「ここがうちの事務所さ。夜になる前に辿り着けて良かったぜ」


 背の高い雑居ビルに囲まれた路地の先、コンクリートで塗り固められた壁の中に埋まっているようにして存在するこの事務所に、案内なしに辿り着くのは中々難しいだろう。

 ましてや、夜に一人でこんな場所を探し出すのは至難の業の様に思えた。


 「おーい!戻ってきたぞ!開けてくれー!」

 麻里さんはドアをドンドンと蹴りながら叫ぶ。

 「早く開けてくれー!サイコでも美奈でもどっちでもいいからー!学校今日休みだろー!」


 目の前の扉が軋みながらゆっくりと開く。室内からはオレンジ色の蛍光灯が漏れ出て、ドアを開けてくれた人の姿が浮かび上がってきた。


 「うるさいわよ……姉さん……」

 「ただいま美奈!いやいや、新人迎えに行くだけだったのにすっげぇ面倒な目にあっちまったよ。とりあえずミルクティー用意しといてくれ」


 麻里さんと言葉を交わす女性は、青白く無表情な顔で担がれた俺を見つめた。腰まである黒いロングヘアの合間から、麻里さんとよく似た顔がじぃっと食い入るように俺の顔に近づいてくる。


 「姉さん、この子が新人なの?何で担がれてるの?」

 「ああ、電話してきた左京くんだ。何があったのかは――まあ察してくれ」

 「そう……」


 彼女は表情を変えること無く、興味なさげにそう言うと奥へと引っ込んでいってしまった。


 「あれは妹の美奈だ。見た通り薄暗くて陰気な奴だが、あれでも中々良い奴なんだぞ?」

 「は、はぁ……っていてててて!麻里さん、足に!足に!」

 「うん?どうした左京くん。……なんだ、ドアノブがぶつかってるだけじゃないか」

 「さっき刺されたところにぶつかってるんですよ……!いてっ!」

 「大の男が情けない声を出すんじゃないよ?まぁ、放っておくのも可哀想だから手っ取り早く処置してやるよ」


 そう言うと麻里さんは、靴を脱いでつま先で器用に靴をそろえ、足早に部屋の奥へと進んだ。

 丁度そこが応接室なのだろう、簡易な装飾がしつらえてある赤いソファーの上に俺を置くと、そのまま元来た廊下へと去っていった。


 「……いってぇ……。何だかツイてないな……」


 一人ソファーの上で、痛みに歯を食いしばりながら唸る。

 何か気を紛らわせようと、上半身を起こして部屋の中を見渡してみた。


 色あせたオレンジ色の壁面には、色んな資料が所狭しと貼り付けられている。

 黒いインク染みの塊にしか見えない長文の資料や、手配犯か、あるいは人探しのためか、大きく誰かの顔が印刷されたコピー用紙。

 壁に貼るスペースがないために、一部は一本の釘で無理やりまとめられて小冊子の様にすらなっている。


 「……一応、探偵業をやっているってのは本当みたいだな」

 「そうよ。もしかして疑っていたの?」

 「ええ、少しは。そもそも悪女探偵っていう位だし……ってうわぁ!」


 誰かが入ってくる気配などしなかったものだから、何の気兼ねもなく声の主に返答して勝手に驚いてしまった。


 「怪しいと思う癖にわざわざ連絡をしてくるなんて変な人ね、あなたは」


 声の主はついさっき扉を開けてくれた麻里さんの妹、美奈さんだった。彼女の持つ銀色のトレーには小さな救急箱と水が乗っている。


 「姉さんが、あなたの治療をしろって。……そう言うことだから、ズボン、脱いで」

 「へっ?あっ、いやっ、へっ?」

 「……あなた足を刺されているのよ?何を勘違いしているのか分からないけど、随分余裕みたいじゃない。……服を着たままだとやりにくいでしょう、治療が」

 「あっ、治療……そうですよね。ははは……」


 笑ってごまかしてみるが、美奈さんは表情をこれっぽっちも変えない。

 だが、応接室のライトの元で見る美奈さんは、薄暗い玄関で見るよりも随分と綺麗な人だった。


 麻里さんが言うように、暗い雰囲気と表情こそは変わらないものの、むしろ青白い肌と濡れた様な長い黒髪にはその方が映えるようだった。

 控えめなフリルがちりばめられた黒いワンピースも、こういう雰囲気の人だからこそ似合うんだと思う。


 「……何見てるの?」

 「いえ、特に何も。別段何も」

 「そう。じゃ、さっさと治療したいから、脱いで横になって……」


 俺の視線に気付いても、彼女は眉すら動かさない。


 「ふふっ、なぁんだ……血の跡は派手だけど、意外と傷、浅いのね。絆創膏一枚でも大丈夫そうじゃない」

 「いやとんでもなく痛いですよ……。ナイフでグリグリされたんですから」

 「その割には随分余裕そうね」

 「今までそれなりには色んな怪我をしてきましたからね……あいてて……」


 実際問題、生計を立てていくためにいろんな仕事を渡り歩いてきたが、中には結構危険な橋を渡るものもあった。戦場跡の瓦礫撤去なんかは序の口で、地雷撤去をさせられたこともある。


 仕事をあっせんしてくれたおっさんは「こんなもん簡単だ」なんて言いながら作業をしていたが、取りかかってものの数秒で顔色を変えて逃げ出したのをよく覚えている。幸い、地雷が爆発しても誰も死者は出なかったが、吹っ飛んできた破片が腕に突き刺さった時は流石に大泣きした。


 「……はい、これで終わり、と。頭の方の傷は軟膏でも塗っておけば大丈夫そうね」

 「ありがとうございます、美奈さん」

 「別にいいのよ。それより――」


 美奈さんはくるりと振り返ると、「サイコ、まだなの?」と声を張った。すぐさま、応じるように「はーいー」と元気な声がしたかと思うと、とてとてと走ってくる足音が響いた。


 「美奈ねえちゃん、今行くよー」


 可愛らしい声の持ち主は、随分と幼い少女だった。見たところ、まだ10歳になるかどうか、と言ったところだろう。

 少女は小鳥のようにぱたぱたと俺の元に駆け寄ってくると、美奈さんや麻里さんと同じ様に俺の顔をまじまじと見つめてくる。


 「こらサイコ。家の中を走ってはダメでしょう?麻里姉さんみたいになっちゃうわ」

 「えへへー、ごめんなさい。美奈ねえちゃん、このにいちゃんが新しくお仕事する人なの?」

 「ええ、新しく入った左京くんよ。左京くん、この子は妹の彩子(あやこ)。私たちはサイコって呼んでいるけれど」

 「よろしくね!左京にいちゃん!」


 そう言うと少女はにっこりと笑って見せた。俺も笑って返そうと思ったが、幼い少女の瞳が妙に暗い色に支配されているのに気づき、一瞬戸惑ってしまう。


 「あ、ああ、うん。こちらこそよろしくね。えーと、サイコちゃん、で良いかな?」


 ぎこちなく返事をすると、サイコちゃんは口元に浮かべていた笑みをふっと消し去り、品定めをするようにまた俺の顔を見つめてきた。




 「――そもそも貴様の観測できる主観的及び諸々の客観的空間に、価値を認めることが出来ず、妥当な判断を下すことが出来ぬからここに来たのだと我は推測する。故に中庸たる貴様は我の観測通りであれば、最大公約数的な正当で高尚なる信念を打ち砕く悪になる」



 「……は?え?」



 幼い少女にはとても不釣り合いな、訳の分からない言葉のオンパレード。加えて、さっきまでの元気で明るい声とは真逆な、妙に落ち着いた声でもって、彼女は俺を圧倒してきた。

 一体全体、サイコちゃんが何を言っているのか見当も付かない。


 「サイコ、また訳の分からない哲学書でも読んだの?もう仕方ないんだから……。姉さん、またサイコがおかしくなっているのだけれど」


 美奈さんは呆れたように溜息まじりに麻里さんを呼んだ。

 どたどたと足音が鳴り響き、菓子パンをくわえた麻里さんが俺たちの前に現れる。彼女は狼狽える俺を見てクスクス笑うと、サイコちゃんの前に屈んだ。


 「最近よく電波を拾ってくるなぁ。ほんじゃサイコ、一発入れるぞー」

 「あらゆる問題領域にて自らの判断基準とそのプロセスを確立しない場合は、貴様の中庸は仮初の物となり、実行不可能となる。つまりは絶対的な中庸という観点から見て、二元論を完全に破棄することが貴様の悪としての、そう、悪としての――あいてっ!」


 パコン、とか、ピコン、とか、そんな感じの音が似合いそうな空手チョップがサイコちゃんの頭に命中する。


 「おうサイコ。目ぇ覚めたか?」

 「痛いよぅ、麻里ねえちゃん……」


 サイコちゃんは涙目になりながら、小さな手で頭をさする。その様子には、つい先ほどまでの不可思議な雰囲気は全く感じられなかった。


 「びっくりしただろ、左京くん?サイコはたまーに訳わかんないこと言い出すんだ。意味あるのかないのかも良く分かんないんだよねぇ。アタシらは電波を拾ってきてる、って言うけど」

 「ははは、ちょっと驚きました……」


 とは言うものの内心相当ビビりまくっていた。

 勿論いきなり不可思議な言葉のラッシュを浴びたことにも驚いたのだが、それよりもサイコちゃんの言っていた「悪」という言葉が気がかりだった。一体何を指しているのか皆目見当も付かない。

 サイコちゃんに訊ねてみようと思ったが、目に涙を溜めている彼女に聞くのはどこか躊躇われた。


 「さてさて、治療は済んだのか、美奈?」

 「もう終わったわよ……」

 「ん、分かった。それじゃあ左京くん。今ここにいるアタシら3人がこの『悪女探偵 雨宮事務所』の職員だ。これから新しく君を迎え入れるわけだが、その前に雇用契約書にサインをしてくれ。仕事の説明はその後からだ」


 そう言うと麻里さんは俺の横に座り、ホチキスで束ねられた用紙を手渡してくる。そこには驚くほど細かい字で長々と文章がつづられていた。

 丁寧にじっくり読んでいけば、半日くらい読めそうなレベルである。


 「あー、なんせこの業人街での探偵業務だろう?アタシらを騙そうっていう輩も多いんだよね。おかげでこんなに長ったらしい注意事項を書かないといけない訳。そんなにちまちま読まなくてもいいから、最後のページにある署名欄にちゃっちゃと記入してくれよな」

 「は、はぁ……」


 一応何が書いてあるのか確認しようとしたが、麻里さんがしきりに早くサインするようにと促してくるのでしぶしぶ最後のページへと飛んだ。


 そこにも相変わらずびっしりと黒く細かい文字が連なっていたが、下の方に忘れられた様にぽっかりと記入スペースだけが空けられていた。

 一瞬躊躇ったが、何も命をとられることも無いだろうと思い『四戸左京』と手早くサインする。


 「うん、これで雇用関係がアタシ達と左京くんの間に結ばれたって訳だ」

 麻里さんは満足げにそう言うと、雇用契約書を俺の手から素早く取ってぺらぺらとめくっていく。


 しかし契約書をめくるにつれて、麻里さんの顔はどんどん険しくなっていった。


 「うーん……。ありゃ、これはもしかして……」


 ページをめくる速度がどんどん早くなっていく。どう考えたって、あの異常な文章量をそんな短時間で読めるとは思わないのだが……。

 俺は急に不安になり、傍に立っていた美奈さんとサイコちゃんの顔を交互に見る。

 美奈さんは呆れたように目を閉じて溜息をついていた。サイコちゃんは先程までの泣き顔はどこへやら、楽しそうに笑っていた。



 ――何となく、嫌な予感がする。



 この場にいる『』抜け出してしまおうと思い、俺はそっと腰を浮かす。だがそんな俺の心を見透かしたかのように、麻里さんの手は俺の腕をがっちりと抑えていた。


 (や、やばいぞ……!このまま居たらやばいって……!)

 体をよじるようにして、何とか麻里さんの拘束をごく自然な形で逃れようとする。だが彼女のしなやかな細い手指は、その見た目から想像できない位ビクともしなかった。


 「左京くん。大変申し訳ないなぁ……。これは雇用契約書じゃなくて、ここに来るまでの諸経費と怪我の治療費の請求書だったみたいだ。ちなみに金額は1000万円」




 ――やられた。




 「サイコに雇用契約書を持ってくるように伝えたはずなんだけどねぇ。見ての通り小さい子だからさ、間違ってしまったようだ。本当にごめんなぁ」


 口では謝っているが、麻里さんの目は随分と楽しそうに笑っている。憎たらしい位、ゆるふわ系の可愛らしい顔にぴったりの笑顔だ。


 頭の奥がどんどん熱くなって、視界がぐらついていることに今更気付いた。

 おまけに部屋から美奈さんとサイコちゃんがいなくなっている。今この応接室にいるのは、俺と麻里さんだけだった。

 声を絞り出すように反論する。


 「そ、そんな……。キャンセルさせて下さい……!」

 「いやぁ、そうさせてあげたいのは山々なんだけど。この請求書は『上記の契約事項を全て承諾した場合のみ』サインを求める物なんだよねぇ。つまりここに君のサインがあるって事は、書いてあることを守ってもらわないといけないんだよ。大きな所でいくと、そうだな、『請求した諸費用はサインした日より半年以内に支払うこと』」

 「ははは半年……!?」

 「うん、半年。半年以内に1000万円よろしく!」


 お使いでも頼む様にあっけらかんと麻里さんは言うが、俺は更なる眩暈に襲われる。

 1000万円なんて金、あるわけがない。稼いだことも、ましてや見たこともない。どう考えたって払える訳がない。


 「無理です……。そんなの払えないです……。っていうか、そんな請求書、不当ですよ!こんなの認められるわけない!」

 「……左京くんさぁ。ここがどこだか分かってる?」


 麻里さんの顔から笑顔がたちどころに消え、ドスの利いた声で俺の胸倉を掴む。叫び散らすことこそないものの、あの暴漢どもを叩き潰していた時と同じ冷徹な顔だ。


 「ここはどうしようもないクズ共で作られた業人街。左京くんの考えてるような法律だとかルールなんかは守っちゃくれねぇんだよ」


 背中に一筋流れる嫌な汗。呼吸は荒くなり、彼女から顔を逸らそうとしても恐怖心で体が動かない。


 「ででででででも、人を騙すのは悪いことじゃないですか……!」


 我ながら最悪の一言を言ったものだと、妙に冷静になる。

 誰がどう考えたって、こんな理不尽な状況下で『騙すのは悪いことだ』なんてド直球な正論を言ったらどうなるかは火を見るよりも明らかだろう。


 待ってましたといわんばかりに、麻里さんは俺の胸倉を更に強く掴んで彼女の方へと引き寄せる。彼女のふんわりとした甘い香りが一層強く漂い、栗色のゆるふわヘアーが俺の顔に触れた。

 でも今は、ちっとも嬉しくなかった。


 「あのさ。もう一つ言えばここは『悪女探偵 雨宮事務所』だ。そしてアタシは所長の雨宮麻里だ。悪女って名乗ってんのに、悪いことしない訳がないだろ。逃げたっていいんだぜ?そん時は地の果てまで追いつめて、君から金になるものを文字通りだけさ」


 これが何もない日常の中で聞いたセリフなら、苦笑いするなりつっこむなりしただろう。だがこんな状況で笑って見せる余裕はなかった。


 「でも、本当にそんな大金ないんです……!家族もいないし、貯金もないし、友人も……」

 「そりゃそうだろうさ。そういう人間だから業人街なんかに来る破目になる」

胸倉を掴んでいた手がぱっと離され、俺はソファの上に倒れこむ。


 「そこでだ左京くん。君に一つ提案がある」

 「提案……?」


 恐る恐る麻里さんの様子を窺うように顔を見上げる。今度は怪しげな笑みを浮かべていた。


 「君は金を持ってない。だったらやることは一つ。君の体を商売道具にして稼ぐしかないじゃないか」


 そう言うと麻里さんは、これ見よがしに電卓をたたきおもむろに計算を始める。

 ふとテーブルの上にぶちまけられていたチラシに目を落とすと、「各種臓器高価買取中」と恐ろしい文字が躍っていた。





 ――ああ、やっぱり。





 もうどうしようもない。俺の人生、こうもあっけなく終わるとは。

 誰が悪い?

 戦争?政治家?俺を残して死んだ両親?それとも目の前にいる麻里さん?

 あるいはそんなの関係なくて――俺が悪いのか?



 「それじゃ、今度はこっちの契約書にサインしてくれ。呆けてる場合じゃないぞ」


 色んな考えや、思い出の断片なんかが絶えず頭の中でぐるぐるしている。何も考えられない。というか、何も考えたくない。

 だから麻里さんが手渡してきた契約書にも言われるがままサインをした。手が震えてしまい、読めるかどうか怪しい位汚い字になってしまった。



 「うーん、何とか読めるから良しとしようか。さて、今度こそ雇用契約書へのサインは完了したってことで――ようこそ、『悪女探偵 雨宮事務所』へ。歓迎するよ、四戸左京くん。これから一緒に頑張ろうな!」




 最初、この人が何を言っているのか全く分からなかった。

 ごちゃごちゃしている脳内を何度も整理しながら、麻里さんの言葉を一つ一つ解析していく。



 雇用契約書。

 サイン完了。

 ようこそ。

 歓迎。

 一緒に頑張ろう。



  ――つまり。




 「――俺、殺されないんですか?」

 「はい?何言ってんの?」

 「内臓売るんじゃなかったんですか?」

 「いやいやいやいや、何言ってんのさ。君がここに応募してきたから、アタシが雇う。それだけの話じゃん。何で内臓売るんだよ」

 「だって1000万円作るために俺の体で稼げって」

 「そりゃその通りだよ。ここで助手として働いてもらうってこと。1000万円分、きっちり働いてもらうから。まあ半年以内だとちょっと難しそうっぽいからね、もう少し長く見てやるよ。飯と寝床くらいはあるから安心しな」


 その言葉を聞いた途端、目から大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちた。緊張の糸がたちまちの内に切れて、安堵感と困惑が怒涛の勢いで押し寄せる。


 「大の男が何泣いてんの。もしかして内臓売る方が良かった?」

 「ち……違いまずぅ……!喜んで働かせで頂ぎまずぅ……!」


 両手で涙をぬぐい続けるがとめどなく零れ続ける。

 そんな俺を見て、麻里さんは少し困ったように笑いながら髪をかき上げるのだった。




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